伊豆で遊ぶ

バスの終着駅から歩く

深まりゆく秋を求めて

記事引用元:伊豆だより No.576 2008年10月号

バスの終着駅から歩く 伊豆半島をめぐる
交通手段の一つとしてバスがあります。
ぐるぐると伊豆半島を回る路線は
始発駅があれば、
当然終着駅があります。
終着駅が他の路線の始まり、
というのも多いのですが、
その先の路線がない、という所もあります。
住民の生活に欠かせない路線が多く、
観光的なものは少ない、と
思われがちですが、
そこに隠れた名所があり、
癒しの空間があることがあります。
終着駅、及びその近くから始まる
ウォーキングを主に紹介します。
伊豆は今、秋真っ盛りです。
紅葉狩り、史跡散歩、温泉、森林セラピーを
満喫しに出掛けましょう。
スニーカー程度で歩けますが、
できれば軽登山靴が疲れにくい上安全です。
危険な生物(ハチやへびなど)や
有毒植物(ウルシなど)に注意して
楽しんでください。

一碧湖畔めぐり 【伊東市】 歩程:約1時間20分

一碧湖畔めぐり 吉田の池とも呼ばれる一碧湖は、
「伊豆の瞳」の愛称でも知られている。
一碧湖は周囲約4kmのヒョウタン型をした火□湖で、
大きい方を大池、小さい方を沼池と呼んでいる。 伊豆ではボート遊びができる唯一の湖で
コイやフナ、ブルーギル釣りも楽しめる。
雑木林や桜・カエデの林に囲まれた大池の湖畔には、
一周できる遊歩道がつけられ、
桜の広場に与謝野鉄幹・晶子の歌碑がある。
野鳥の森でのバードウォッチングや森林浴のほかに
秋には紅葉狩りも楽しめる。
伊豆高原駅から一碧湖行きのバスで22分、終点で下車。
湖畔に降りてボート乗り場から右回りに遊歩道を行く。
緑濃い雑木林で、野鳥の森には巣箱が掛けられ
野鳥の姿や声がよく聞かれる。
道は小さな枝道もあるが、ほとんど湖畔の一本道。
雑木林からカエデの林に入ると、
あたりはパっと明るくなる。
知る人ぞ知る紅葉の名所である。
一碧湖神社に来ると、今度は桜の木がたくさんある広場。
明るく開けた湖畔を行けば、ここにも桜の広場があり、その一角に与謝野鉄幹・晶子の歌碑が建っている。
ヒョウタンの首に当たる所に観光橋があり、道路を横断して沼池へ向かう。
大池と違ってうっそうとした樹林に囲まれた沼池はアシが繁り、カモ類など野鳥の絶好の生息地となっている。
入ってすぐ左に自然観察橋があり、ここからコガモやオオバンなどカモ類の観察ができる。
起伏の少ない湖畔を一周してみよう。
観光客の姿もなく、森林浴や樹木などを観察して歩く自然散策にはうってつけの場所である。
より楽しむためには植物図鑑と野鳥図鑑、双眼鏡は欠かせない。
湖の周辺には美術館などの文化施設もあるので併せて訪れてみたい所である。

伊豆元気わくわくの森 【河津町】 歩程:約4時間30分(往復)

伊豆元気わくわくの森 森林などの自然環境が、
医療や療養、生活習慣病の予防に
効果が期待できると解り、
平成16年に林野庁などによって
取り組みが始まったのが
森林セラピーである。 セラピーロードとは
専門家によるフィールド実験によって
リラックス効果が実証され、
審査が行われ認定された散策路である。
セラピーロードは一般の道路よりも
道幅を広く取り、緩い傾斜で
歩きやすさが考慮された道である。
静岡県内で初めて認定されたのが
河津町上佐ヶ野の鉢の山に整備された
「伊豆元気わくわくの森」である。
自然林とスギ・ヒノキの人工林に囲まれた
セラピーロードをゆっくりと上ると、
心も体も癒される。
麗の桜の丘(第一駐車場)から
山頂までおよそ1時間。
沿線、及び山頂からは天城の山々と
太平洋の雄大なパノラマが楽しめる。
できれば地球温暖化防止に協力して、
電車・バスを利用して歩きたい。
河津駅から
河津七滝、修善寺駅行きのバスで13分、
下佐ヶ野で下車。
セブンイレブンのある四つ角を
右に入ると、すぐに
伊豆元気わくわくの森の案内板がある。
舗装された広い車道を緩やかに上っていく。
沿線には石塔や石仏が見られる。
バス停から第一駐車場まで、およそ4km、1時間20分ほどかかる。
目の前に広がる「桜の丘」をジグザグと上ると林道に出る。
少し下がって「森の小道」に入りジグザグと上る。
再び林道に出たら、左にセラピーロードを回りこむように上ると間もなく山頂広場に出る。
鉢の山は天城火山の側火山の一つで山頂はお鉢のように凹んでいる。
お鉢を巡る周道路があるので一周してこよう。
火□には古い石仏が数体安置されている。
帰りは桜の丘まで戻り、先の舗装道路を下ればよいのだが、途中、上佐ヶ野親水公園に寄っていきたい。
佐ヶ野川の水を取り入れた親水公園で水車や四阿が設置されている。
先に歩いた車道を経て下佐ヶ野のバス停へ。

和歌の浦遊歩道と志太ヶ浦遊歩道 【下田市】 歩程:約1時間30分

和歌の浦遊歩道と志太ヶ浦遊歩道 下田公園は6月に園内を埋める
アジサイの名所として知られているが、
岬をめぐる遊歩道があることを知る人は少ない。
海岸性の亜熱帯植物が繋る森は魚付保安林で、
それを取り巻くような海岸線につけられた遊歩道は
市民の絶好のウォーキングコースとなっている。 伊豆急下田駅から
下田海中水族館行きのバスで7分、終点で下車。
水族館の見学は後にして、
まずは下田公園へ上がってみよう。
舗装された道の沿線には、
地元彫刻家による彫像が並んでいる。
鑑賞しながら上り、
樹林帯を右に入るとお茶ヶ崎展望台に出る。
あずまやがあり、
水族館や下田の海が一望できる絶景地である。
入口まで戻って、さらに上ると鵜島城跡の碑がある。
この地は、かつて北条氏の城があった処である。
馬場ヶ崎展望台へ寄って下り、
開国記念碑・力ーター元米大統領碑を見て公園の入□に出ると、
左手に黒船の艦長ペリー提督の上陸碑がある。
海辺を右に和歌の浦遊歩道を行く。
下田保安部の前を通ると、間がよければ海上保安庁の巡視船が停泊しているのが見られる。
波止場から海に突き出た突堤はつりの名所。
休日にはたくさんのつり人の姿が見られる。
時間が許せば突堤の先端まで行ってみよう。
先端には犬走島があり、トンネルを抜けると赤い灯台がある。
観光遊覧船の黒船号が真近に通り過ぎて行く。
ただし、波の荒い時、風が強い時は危険のため行かないほうがよい。
つり橋のある雁島へも寄っていこう。
下田海中水族館を見学したら志太ヶ浦遊歩道へと向かう。
和歌の浦遊歩道と違って歩行者専用のため、車を気にしなくてのんびりと歩ける。
秋の草花が咲き、潮の香りが懐かしく心地よい。
遊歩道の終点から舗装道を上がり長楽寺を詣でて、伊豆石となまこ壁の古い町並みが続くペリーロードから了仙寺へ。
時間が許せば、このまま歴史の散歩道を歩いて伊豆急下田駅まで歩こう。

蓮台寺温泉 湯の華小路 【下田市】 歩程:約1時間

蓮台寺温泉 湯の華小路 蓮台寺温泉は下田市の北、
稲生沢川と蓮台寺川の清流に沿った閑静な山間の温泉地。
かつてこの地に僧・行基が創建した
蓮台寺があったことから、この地名があるが、
その場所は定かでない。 下田温泉の奥座敷的なこの小さな温泉場は、
開湯1300年以上の歴史があり、数多くの史跡が点在する。
下田温泉とは風情が違った老舗旅館も多く、
日帰り入浴できる旅館もあるので
入浴がてら散策するのもいい。
中でも和風の老舗旅館や古い造りの家並みが続く
雰囲気のある所といえば「湯の華小路」である。
石畳で整備された小路には、こんこんと源泉が湧き、
玄武岩をくりぬいた街灯もあり、温泉情緒たっぷり。
下田高校でバスを降りたら湯権現を見て広台寺へ。
伊豆横道三十三観音霊場十九番札所で
花の寺として知られている。
とくに裏山に1000株のシャクナゲが群生し
4月下旬から5月上旬にかけて白やピンク色に染まる。
天馬駒神社は、このあたりで最古の神社で、
安産と下半身の冷え性にご利益があると親しまれている。
吉田松陰寄寓処は、下田沖に黒船が来航した幕末、
密航を企てようとして松陰が滞在していた村山邸である。
松陰が宿泊した部屋や風呂が一般に公開されている。
(見学:大人100円 09:00〜17:00 水曜休)
天神神社は菅原道真公を祀る古社。
本尊は鎌倉時代初期の作と伝わる
大日如来が安置されている。
少し先から右に入った所に仇討地蔵がある。
岡山藩の武士・水野三蔵が、蓮台寺で仇を見つけ、
無事に仇討ちを果たし、その子孫には恨みがないことから、
ここに地蔵を建てたという。
別名子育て地蔵とも呼ばれている。
しだれ桃の林の先から
うっそうとした森沿いに流れる蓮台寺川を下る。
カワセミやたくさんの野鳥が見られる清流が
稲生沢川と合流する間まで続く。
立野公園から国道414号線に出て、下田方面に向かうとなまこ壁の民家が残っている。
川沿いのなまこ壁の民家には、漆喰の壁にレリーフが描かれているのは珍しい。

高野山石仏群 【松崎町】 歩程:約1時間35分(往復)

高野山石仏群 西伊豆の松崎町にある伊豆最古の小学校として知られた
重要文化財・岩科学校から東に入った
八木山の集落の山中に、奇岩がそそり立つ静寂境がある。 その昔、真言密教の霊場であった所で、
たくさんの石仏がこけ蒸して並んでいる。
ここを高野山という。
かつては毎年、春に例祭が催され大変賑わったというが、
今では訪れる人はほとんどいない。
松崎町門野の富貴野山宝蔵院には200体以上の石仏があり、
数の上では及ばないが多種多様の面では、
ここ高野山の方が興味深い。
八木山の終点でバスを降りたら
帰りのバスの時間を確認しておこう。
そのまま県道を進んで風早橋の手前から左の造に入る。
うっそうとしたスギ・ヒノキの林をしばらく進み、
石室に収まった石仏がある分岐を左に行く。
相変わらずのスギ・ヒノキの林で、
昼間でも薄暗い道である。
スギ・ヒノキの林が切れて、
辺りが明るくなると正面に大きな奇岩が迫ってくる。
小さな橋を渡った右手に高野山の入□。
石段を上がるとコンクリート造りの小さなお堂がある。
急な石段を上がった右手に「南無阿弥陀仏」の石塔と
二体の童子を従えた毘沙門天が安置されている。
石段を降りると修験者の草庵があったという広場に出る。
奇岩絶壁に囲まれ、あたりはしんと静まりかえり
何ともいえない霊気に包まれている。
すぐ左手の岩室に釈迦・文殊・不動の石仏が安置され、釈迦座像の台座に「安政五年 峰村講中」と刻まれている。
正面の階段を上がると右の岩室に弘法大師像、その前にも一体あり、台座に安政四年と刻まれている。
草庵後の右端の岩を上ると薬師如来・弥勒菩薩・聖観音の三体があり、
さらに切り立った岩の間を上った所に頭の欠落した阿弥陀如来・虚空菩薩・阿しゅく如来の三体が祀られている。
背後にある大岩が、何かの拍子にグラッときて落ちて来そうな感じがする。
帰りは元来た道を帰る。
時間に余裕があれば、このまま重要文化財・岩科学校まで歩こう(約50分)

修善寺奥の院 【伊豆市】 歩程:約2時間50分(往復)

修善寺奥の院 色は匂へど散りぬるを、
我が世誰ず常ならむ、
有為の奥山今日越えて、
浅き夢見じ酔ひもせず 言わずと知れた
手習歌の一つの「いろは歌」で、
平仮名47文字を重複しないように、
弘法大師が作ったと伝わる歌である。
このいろは文字に「ん」を加えた
48文字を刻んだ石塔が、
修禅寺の山門から
湯船の奥の院までの5kmに建てられている。
この石塔は明治39年、
弘法大師の熱烈な信者であった
高橋為三郎さんによって
建立されたものである。
建てられた当時は僧侶や信者たちの
道しるべとして大変喜ばれたという。
その後の道路整備や宅地化によって
失われたものもあったため、
平成3年に全面的に補修が行われた。
いろは歌の最初の「い」の字は、
修禅寺山門下の石塔の
一番上に刻まれている。
これを知る人は少ない。
補修により新旧取り混ぜて48基。
奥の院の「ん」の石碑まで
順に辿ってみよう。
道順に従って
分かりやすく設置されているので、
探しながら歩くのもおもしろい。
また、いろは道の一部は、
桂谷八十八ヶ所巡拝のコース
にもなっているので、併せて訪ねてみよう。
この二つの石塔のほかにも信仰の道らしく、
各所に道祖神や庚申塔、石仏などがある。
野仏の見方などの参考書を持っていくと、
よく解って楽しい。
帰りは奥の院からバスの便がないので
往復歩くつもりで計画を立てなくてはならない。

太郎杉歩道 【伊豆市】 歩程:約1時間30分(往復)

太郎杉歩道 天城山自然休養林の中心的施設「昭和の森会館」から
滑沢渓谷を経て、天城一のスギの巨木・太郎杉まで歩く
散策路を訪れる人が増えている。 往復約4km、見学時間を入れて2時間くらいの散歩道である。
滑沢渓谷は
滑沢川のとてつもなく大きな一枚岩の上を
滑るように流れる美しい渓谷である。
太郎杉は目通り9.6m、高さ53mで
天城一の大きさを誇るスギの巨木。
昭和の森会館に併設された、道の駅「天城越え」が出発点。
昭和の森会館の中庭は紅葉の名所です。
(入館料:大人300円 8時〜17時 0558-85-1110)
駐車場から国道に沿って踊子歩道を上る。
山の神を祀るほこらを見てスギ・ヒノキの林を抜けると
滑沢渓谷入□の広い駐車場に出る。
駐車場から今度はうっそうとした照葉樹林に入り、
右下に本谷川の沢音を聞きながら林道を行く。
踊子歩道と分かれ、右へ本谷川の橋を渡った所に
井上靖の「猟銃」の文学碑がある。
この辺りは紅葉の名所で数種類のカエデが見られる。
右にわさび田を見て、次に滑沢川にかかる橋を渡る。
橋から上流・下流を見ると、
どこにも切れ目がない一枚岩であることが解る。
清流が滑るように流れている。
橋下で二つの川が合流し、
そこに竜姿の滝ができているので見てこよう。
滑沢川の河畔は右岸を行っても
左岸を歩いても、この先で合わさる。
一旦、林道に出て、少し先で再び河畔の道を歩く。
また林道に出たら、そのまま林道を上れば太郎杉に着く。
太郎杉の周りは保護のため柵がしてあるので、
触ることはできないがその大きさに圧倒される。

野鳥の森から八丁池 【伊豆市】 歩程:約2時間(往復)

野鳥の森から八丁池 天城山の野鳥の森は、自然休養林昭和の森の一角にあり、
ブナやヒメシャラ、アセビなどが繋る自然林で、
年間を通じて64種の野鳥が飛び交い囀っている。 10月から11月初旬にはカエデやブナが紅葉し、
天城山全体が秋色に染まり
散策には打ってつけの季節である。
修善寺駅から八丁池口行きのバス
(1便8時20分発)
で1時間13分、終点で下車。
2便以降は昭和の森会館発となる。※運行日注意
終点で降りると山小屋風の待会所とトイレがある。
スギ、ヒノキが植栽された舗装道(寒天林道)を
緩やかに上って行くと
15分程で舗装が切れ、コルリ歩道の入口。
ここから森の様子がガラリと変わり
ブナやヒメシャラの自然林となる。
一旦林道に出てオオルリ歩道を上る。
上り切ると展望の良いアオスズ台。
下って再び林道を少し歩き、
佐賀野入歩道(帰りにこの道を下る)を左に見送れば
トイレのある展望所入口。
展望所からはブナに囲まれ、
青く澄んだ八丁池が一望できる。
天気が良ければ富士山も望める。
トイレまで戻って10分ほどで八丁池に着く。
帰りは佐賀野入歩道を下り、
途中からコマドリ歩道に入る。
ブナ林が続く森で、
一旦林道に出てウグイス歩道を下れば
八丁池口のバス停に出る。
八丁池から約1時間。
■注意
八丁池には売店もなければ水場もないので、弁当と水は忘れないように用意しておくこと。
池の水は野生動物などで汚染されていることがあるので、口にしたり手を洗うこともしない方がよい。