伊豆に暮らす

賢い家づくり

まえがき

家づくりの計画を思い立ってから、完成するまでの間、建築主はさまざまな問題を解決していかなくてはなりません。
資金計画に始まって、法律、税金、設計、工事など気になることばかりですが、
そのほとんどのことが専門的な事がらであるため、
初めて家づくりをされる方にとっては、分からない事だらけではないでしょうか。
そこで、家づくりを考えていらっしゃる皆様方に、「これだけは知っていただきたい事」を分かりやすくまとめてみました。
建築主である皆様方が、これから家をつくりあげていく上での参考書のひとつにしていただければ幸いと思います。
株式会社 玉木 一級建築士事務所
一級建築士 玉木久夫

1.敷地選び

家を建てるということは、あなたの人生の一大事業です。
それは家を建てようと思った瞬間から始まると言えます。
家を建てるには全ての条件は満たせなくとも、致命的欠点がない様な敷地を確保しなければなりません。
たとえ親兄弟から土地の譲渡を受けたり、敷地の一角を使用させてもらう場合でも慎重に選びましょう。
あなたの足と目と耳と、そして専門家(建築士等)の知識と経験を充分に駆使しましょう。

住宅に適した条件

1.まわりにはどんな建物がありますか?

激しい騒音、振動、悪臭等の発生源はないか。
なるべく日曜、祭日以外の日に現地へ行きましょう。

2.日当りはよいですか?

隣棟間隔 敷地の南側、あるいは東側に高いビル、工場、マンション等があると日照を妨げます。
右図は、伊豆地区の冬至における隣棟間隔の目安を図示したものです。
A=2.0H〜2.5H
2.5H:09:30以後、日が当たりだします。
2.0H:10:00以後、日が当たりだします。

3.交通の便はよいですか?

しかし便が良過ぎると、かえって騒音が多くなることになります。

4.日常生活に必要な施設が日常行動範囲内にありますか?
5.風通しはよいですか?

風通しの良し悪しは、回りの環境に左右されます。
周囲にある程度の空地があればよいのですが今日ではなかなか大変です。
夏期の南西の風が確保出来る様に、少なくとも南側に充分な空地が取れる事が理想です。

6.水はけは良いですか?

過去に大雨で冠水したことが有るか、地元の人に聞いてみましょう。
その時は良くても年月とともに、周囲の田んぼや池が埋め立てられ、
今まで貯水池の役目を果たしていたものが少なくなり、冠水する様になることがあります。
埋め立てや盛土する場合には、高さに注意しましょう。
また、まとまった雨の後に現地へ行ってみましょう。
回りの側溝等の排水状況や、敷地の水たまりが長く続いたりしていないか確かめられます。
整地される前の状態を地元の人などに聞いてみる事もよいことです。

7.危険なガケ等はありませんか?

傾斜角30度以上、かつ2m以上の高さがある場合はガケと見なされ、建築制限や擁壁等の建設に大きな費用がかかります。
それに日当りや風通し、水はけ等にも影響します。

8.地盤はよいですか?

整地される前の状況を調べましょう。
例えば、収穫の多かった田んぼの地盤は良くないと言われます。
また、山を宅地造成した所には、削って整地した所と、埋め立てた所があります。
後者では状況によって、地盤が安定するのに数年かかります。
それによって基礎の作り方が違うので注意が必要です。

9.上下水道、ガス、電気、電話は通っていますか?

水道、電気、電話が近くに通っていないと、それを引くのに大きな費用や時間がかかることがあるので注意しましょう。
また、高圧線下の敷地にも注意しましょう。高さの制限がありますので東京電力に確認する必要があります。

住宅が建てられますか? (公法による制限)

1.農地法による許可、及び届出はしてありますか?

農地(田・畑)の場合は、農地法第5条の農地転用の許可を受けるか、届出をしなければなりません。
これがないと所有権移転登記も埋め立ても出来ません。
許可のおりる見込みがない場合もありますので、市役所の農業委員会に問合せる必要があります。

2.都市計画法による許可、確認等は済んでいますか?

市街化調整区域であるか、市街化区域であるか、よく確かめて下さい、市街化調整区域には原則として住宅は建てられません。
ただし、一定の条件が満たされていれば建てられる場合があります。
また、都市計画道路に掛っていないか建築士または市役所、地域の土木事務所担当課に相談しましょう。
(伊東市には市街化調整区域はございません。)

3.建築基準法による制限のチェックはしてありますか?

用途地域の中で工業専用地域には住宅は建てられませんので注意しましょう。
(伊東市には工業専用地域はございません。)

以下は敷地と道路の関係について説明します。

敷地と道路の関係-A 住宅を建てるには、
原則として(図A)のように幅員4m以上の道路(公道)に
2m以上接していなければなりません。

敷地と道路の関係-B (図B)のA,B,I,J は公道に接していますが、
C,D,E,F,G,H は接していませんので、
この私道が建築基準法第42条第1項第5号の規定による
「位置の指定」された道路でなければなりません。

敷地と道路の関係-C また、公道の幅が狭く(図C)のような幅1.8m以上4m未満のときは、
その道路の中心線から左右に、
それぞれ2mまでの部分が道路とみなされますので、
この部分には建物や門、塀などを作ることは出来ません。
この事は、後で述べる
建ペイ率や容積率の制限にも影響しますので注意が必要です。

敷地と道路の関係-D また、前述のように
狭い道でかなり以前から家が建ち並んでいる
私道に沿った(図D)のような敷地では、この道が
行政庁による「道の指定」を受けていなければ住宅は建てられません。
市役所または地域の土木事務所担当課で確かめましょう。

なお敷地の広さによって予定規模の住宅が建てられないことがありますので次の事に注意しましょう。
 A:建ペイ率=敷地面積に対して建築出来る建築面積の割合
 B:容積率=敷地面積に対して建築出来る延べ面積の割合
詳しくは建築士、または市役所、地域の土木事務所担当課に相談しましょう。

4.その他の法律による制限

建築物、工作物(擁壁等)の建築などをするとき、
または宅地造成をするなど地形を変えるときに許可が必要な主な地域を次にあげてみます。

A 土地区画整理法に定める土地区画整理事業施行区域
B 都市計画法に定める風致地区(熱海市にはあります)
C 宅地造成規制法に定める規制地域
D 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に定める区域
E 河川法に定める河川区域
F 砂防法に定める砂防指定区域
G 自然公園法に定める国立公園地域
H 航空法による制限

伊豆の場合、G 自然公園法によって規制される地域があります。
詳しくは建築士または市役所、地域の土木事務所担当課に相談しましょう。

終りに民法の法文から、敷地を選ぶのに最も必要な事項を引用してみます。
民法によりますと、
「土地所有者は法令の制限内において自由に土地の利用ができること」とされています。(民法第206条)

2.住みよい家を建てるために

家のできるまで これから家を建てようとしている人にとって、
どうしたら住みよい住宅が建てられるか
ということは最も関心の深いところではないでしょうか。
特に初めて家を建てる人にとっては
 設計は誰に頼めばよいのか、
 工事は誰に頼めばよいのか
など迷うことが多いと思います。
また、工事中にはどんな注意が必要なのか、
気になることがたくさんあります。
住みよい家が、どのような手順で建てられるかについてみてみましょう。
家を建てるにあたっては
 設計料の予算をとって、設計者に依頼するか、
 工事業者に設計から工事までを任せるか、
建築主として迷うところですが、どちらかに決めなければなりません。
一般には、工事業者に一任する場合が多く見られますが、
最近の建築主は住意識も高く
個性的で居住性の良いものを欲しいということから、
設計者に依頼する場合が増えています。

設計図が完成するまで 注文どおりの家を建てるためには、
何よりもまず
そのための設計図を作成することが前提となります。
設計が完了した時点で、
建築主として希望したことがらが、
設計図に含まれていなければ希望どおりの家はできません。
設計図が完成するまでは
 1.設計者を選ぶ
 2.希望条件の提示
 3.現地調査および事前調査
 4.設計・工事監理契約
 5.基本設計
 6.基本設計図の承認
 7.実施設計
 8.実施設計図の承認
 9.建築確認申請手続き という流れになります。

3.予算の把握

こうして立てよう予算計画

家づくりの予算は、大きく分けて本体工事と付帯工事、それに税金や登記などの費用があります。
付帯工事のカーテンや家具、庭や門の費用、そして税金や登記には、いくら見込んでおけば良いか
それらの事を把握しておかなければ思わぬ出費によって支障をきたしてしまう事になりかねません。
全ての出費を洗い出し、手持ち金で足りない分はどんな資金をどれくらい利用するか、
じっくり検討した上で住宅づくりに取りかかりましょう。

どんな費用があるか

1.本体工事費

一般に「坪あたりいくら」と呼ばれているのがこの費用です。
建物の内容によって大きく左右されますから自分の希望と予算を専門家などに相談して検討する必要があります。

A:建築工事費
基礎から、屋根・外壁・内装仕上など建物そのものにかかる費用。

B:設備工事費
 a.電気工事 - 照明器具やコンセントの配線、パソコンケーブル、無線LANなど
 b.給排水衛生工事 - 給水・排水・浄化槽・給湯器・太陽熱温水器・便器や洗面器の取付など
 c.ガスエ事 - 都市ガスやプロパンガスの配管など
 d.冷暖房工事 - クーラーや暖房機の据付・配管など

2.付帯工事

考えようによってはどうにでもなりますが計画をたてる事が必要です。
希望は具体的に全て出しておき予算との兼ね合いで決めていきます。

A:見積りに含まれない工事費
一般に施工業者の見積りには含まれていない事が多い費用で場所によって費用が異なります。
 a.水道分担金と工事費 - 市水道または簡易水道などの水道を利用するためのお金です。
 b.地元負担金 - 地域によっては浄化槽の排水などに負担金がかかります。(分譲地などは注意が必要です)
 c.電話引込み - 新たに申し込むか今まであったものを移転するか、NTTに依頼します。
 d.TVアンテナ -
最初から見積りに入れてもらう場合もありますが、 一般的には電気工事で配管だけをしてもらい 地域にあったアンテナを改めて依頼する事が多いようです。 有線ケーブルを引き込む場合もあります。  e.パソコン端子 - 光ケーブル・ADSL・CATVなど、どれが利用できるのか事前に検討します。

B:家具・備品
 a.カーテンなど - おおよその予算を組んでおき、取付ける時に色や柄・品質、それに価格をみて決めます。
 b.家具 -
新たに購入しなければならない家具、 買い替えたい家具、持ち込む家具など、予算に合わせて検討します。

C:外まわり
門や塀、車庫・物置、それに庭づくりなど希望どうりに出来るか検討しておきます。
造園工事は思った以上に費用がかさみます。

3.その他の費用

この中には住宅づくりにどうしても必要になる費用があります。
建て始める前にかかるもの、建ててしまってからかかるものなど忘れずに準備しなければなりません。

A:設計監理の費用
建物には設計と監理が必ず必要です。そして設計と監理の内容によって費用が違ってきます。
建築士に相談し、どの様にしたらどれ位かかるか
業務内容と設計・監理料との関係をよく聞き予算を把握しておきましょう。

B:税金や登記の費用
建物の広さや価格によって決まります。
 a.確認申請時に、市や県に収める手数料
 b.請負契約にかかる印紙税
 c.保存登記や抵当権設定登記にかかる登録免許税
 d.土地や家を手に入れた時にかかる不動産取得税
 e.地目の変更や、表示登記・保存登記の時に土地家屋調査士や司法書士に依頼する費用

C:祭事にかかる費用
地鎮祭や棟上式、その他、大工さんへのお茶菓子など、ある程度見込んでおく必要があります。

D:火災保険
住宅金融公庫など融資機関によっては加入が義務づけられています。

以上、住宅づくりにかかる費用の主なものを挙げてみました。
住家建築予算を計画する為のリストを入れておきますので、
建築士また工事を担当する方と打合せて数字を記入してみて下さい。
予算計画書の中で、※印を付けた項目は、ある程度の範囲で調整ができます。
じっくり時間をかけて検討してみて下さい。
安易に「坪あたりいくら」だからと住宅づくりを始めないで下さい。
終わってみたら税金も払えないということのない様に、しっかりとした計画をたててとりくみましょう。
PDF
予算計画書 [PDF] 12.8KB

こうしてつくろう住宅資金

資金計画は自己資金十住宅融資で構成されます。住宅融資はあくまでも借金である事は言うまでもありません。
借金であれば返済しなければなりません。さらに金利が発生します。
したがって、返済能力に合わせて借りる事と出来るだけ金利の安いものを利用する事が重要です。

4.基本設計

基本設計とは、建物の配置、間取り、外観などを、
あなたの希望内容と、敷地、法規、予算などの条件とに基づいて家造りの基本方針を決める事を言います。
従って、建築主であるあなたが、家族と話し合ったり、
設計者との充分な打合せを持ちながら、検討するという最も労力を注がねばならない段階です。
では、基本設計の内容を具体的に説明します。

生活の内容をできるだけ明確に

(1)どのような家で、どんな生活をしたいか。
(2)今迄の家で、どんな事が便利であり、不便であったか。また、どんな生活の仕方であったか。
例えば(1)では、
 a.イメージ(和風、洋風)
 b.余暇の過し方(趣味、けいこ事など)
 c.来客(接客の場所、パーティー、祭事など)
 d.家事(育児、料理、裁縫、洗濯、掃除、ゴミ処理など)
 e.収納(こたつ、掃除機、自転車、乳母車など)
 f.水を使う部屋(浴室、便所、台所、洗濯室など)
 g.家具(造り付け家具、持ち込み家具など)
これらの事柄での希望を、できる限り多くピックアップして見ます。
家族同志の意見が異っていても、まず全て取り上げるようにします。
また(2)も(1)と同じような事柄について考えて見て下さい。

設計打合せを充分に

希望内容を設計者に伝え基本計画案を作成してもらいます。設計打合せの一例として…

このような事柄について希望内容を伝えます。

また、設計者からの質問に答えたり提案に検討を加えるなどして充実した打合せを行います。
設計者は、この希望内容の把握と同時に、敷地条件、法的制限などの調査に着手し、計画案を作成します。
希望内容がうまく組み込めない事もしばしば出てきますが、
その場合には希望事項の『優先順位』を決める必要が出てきます。

A.どうしても実現したい事
B.できるだけ実現したい事
C.できれば実現したい事

などというように分類して見ます。
この分け方は、以下の点について判断していけば比較的整理しやすくなるかと思います。

a.どんな生活をしたいか
b.どんな暮らし方をしたいか
c.予算、敷地などの条件や将来への計画

基本計画案の検討

計画案として作成された図面をもとに、いろいろな点を検討します。
使い方としては、例えば
『朝起きて台所で水を沸かし朝食の準備、その間に子供を起こして食事。跡片付けをしながら洗濯を…』
などというように、図面の中で『生活』して見るのも良いでしょう。
希望内容と比べてどうなのか、あるいは設計者の提案についてどうなのかを検討します。
そして、これをもとに再び打合せとなります。
それから一つの案からのみ考えるのではなく複数の計画案で比較していくという方法も一層充実すると思います。
また、設計図だけでは、立体的な形や敷地との関係などを把握する事が難しい場合には、
模型や透視図を作成してもらうのも良い方法です。
以上、述べて参りましたが間取りなどは、あなたやあなたの家族だけの事を考えて決めていく事もできますが、
法的な制限などは専門家である建築士に検討してもらわなければなりません。

5.実施設計

あなたが家を建てる時、家族で話し合ったいろいろな希望や条件を建築士などの専門家に相談し、
あるいは打合せしたり、写真や建築雑誌を見たり、読んだり、
また、知人友人、親戚などの経験をきいたりしながら長い間の夢を実現にむけていくわけですが、
しかし、どんなにすばらしい夢や希望も、それを簡単な間取りや外観図だけを見たり、
口頭だけで施工業者(大工さんや、一般建設業者等)に伝えるだけでは、
正しく理解してもらおうとしてもたいへんむずかしい事だと思います。
数多い希望条件を、正しく伝達するには実施設計を作成するしかないのです。
すなわち、実施設計とはあなたが基本設計の段階で打合わせた諸々の希望条件や敷地の条件、
また、法律的条件等を考慮して、現存しない建物を施工業者に正確に説明するのに必要な設計図の作成といえます。

1.あなたの希望条件や、建築士の意図を施工業者に正しく伝達できる。
2.くわしい見積書の提出を求めることができる。
3.したがって、重要である請負契約を的確にむすぶことができる。
4.以上により、より良い工事監理と施工ができる。

実施設計の種類

それではここで実施設計図について触れてみたいと思います。

実施設計図一覧表 実施設計一覧表で建築確認申請に
最少限度必要な設計図は
03〜06までの設計図があれば事たりるわけですが、
これだけでは法で定められた工事監理はできません。
確認申請とは建物を作りあげていく上での
ひとつの過程にすぎず、
建物全体の設計の中の一部にすぎません。
また、01〜10の設計図は
法で定められた工事監理をする上において
最少限なくてはならないものといえます。
とくに08〜11の設計図は、
その良否によって建物の強度が大きく左右されます。
さらに諸々の細かな施工や部屋のデザイン、
仕上材の使用範囲、建具等の形や種類、
照明器具の位置や品質、コンセントの位置、
給水排水、ガス等の関係と
それぞれの品質等々を知り詳細な工事監理ができる様に
12〜18の設計図が必要となってきます。
つまり12〜18の設計図を加える事により
あなたの満足度を高めていきます。

実施設計図のそれぞれの意味

実施設計図の内容は、文章ではなかなか詳しく表現できにくいので、ここでは概略の説明にとどめます。

01.仕様書

敷地の状態、周囲の状況による対処の仕方、工事全般にわたっての規則、
使用材料等の品質寸法、メーカー等の指定など説明文にまとめたものです。

02.仕上表

外部の屋根、外壁、軒裏、庇、樋、ポーチ、テラス等の仕上
内部各室の床、巾木、腰、壁、天井等の仕上材が一目でわかる様に表にしたものです。

03.公図写し

官庁に保管されている公図を当敷地を含めた周囲を書き写した図で
通常1/500または1/600縮尺で表したもので番地等記入されたものです。

04.案内図

付近の主要な建物を記入した、当敷地までの道案内を示す図をいいます。

05.配置図

建物が敷地のどの位置にどのような方向に建つのかを表わした図面で、
門・塀などの位置、種類、排水溝の位置大きさ構造なども同時に書き表わすこともあります。
おおよそ1/100〜1/200縮尺が用いられます。

06.平面図

建物全体の間取りを書き表わしたもので
この図によって部屋相互間の関連、室の広さ、室の種類、窓等の位置がわかります。
また、家具やステレオ、ピアノ等の備品の配置計画もできます。
縮尺は1/100または1/50が標準です。

07.立面図

建物の外観を各面(東西南北)ごとに表わしたもので屋根外壁等の仕上、
雨樋等の位置、その他、外観のバランスの良否がこの図でわかります。
縮尺は1/100または1/50が使われます。

08.矩計図(かなばかり図)

建物の基準となる断面詳細図で、建物の高さ、軒の高さ、床の高さ、天井の高さ、
断面に表われてくる全部の仕上、梁、柱等構造の寸法値を明確に表わしたもので、
縮尺は1/20が多いようです。

09.基礎伏図

どのような基礎をどのように配置させるのかを書き表わしたもので、
アンカーボルトの位置、床下換気孔の位置、束石の位置等がわかります。
縮尺は1/100が標準とされています。

10.各階床梁伏図

柱の位置、寸法、梁の組み方、大きさ・長さなどを書き表わした図面で
材木の見積り書を作成する上でも重要な役割りをします。
縮尺は1/100が標準とされています。

11.小屋伏図

屋根部材及、それをささえる小屋梁の組み方、寸法長さ等を書き表わした図面で、
やはり材木の正確な見積り書を作成する上で重要です。
縮尺は1/100が標準のようです。

12.各部詳細図

階段、各室の間仕切や押入などの状態、その仕上材、施工状態や寸法、材料の種類などを
細かく書き表わした図面で施工業者が仕事をする上で重要なものといえます。
縮尺は1/20が多いようです。

13.各室展開図

各室内を立面化したもので、部屋の仕上、使用範囲、
窓や出入口の位置や高さ、天井の高さ、室内のデザインなどがこの図面でわかります。
多くは1/30〜1/50の縮尺で書かれています。

14.建具リスト図

アルミサッシや木製建具の使用位置、数量、デザイン、使用材、仕上、
大きさ、厚さ、硝子の種類、使用金物の種類などを書き表わしたものです。

15.天井伏図

06の平面図を天井におきかえたもので、この図面により天井の仕上材、
天井換気口の位置や大きさがわかり、照明器具の位置を決めることにも役立ちます。
縮尺は平面図と同じ場合が多いようです。

16.電気設備図

照明器具の位置種類、コンセントの位置、配線配管の材種、分電盤の位置等を書き表わしたもので、
電力会社へ申請する際にも必要な図面です。縮尺は平面図と同じです。

17.給排水衛生設備図

給水栓の位置や種類、給排管の系統、種類、浄化槽、給湯施設の位置や大きさ、便器、
浴室回り、洗面、洗濯、台所回りの種類、使用勝手を書き表わした図面です。縮尺は平面図と同じです。

18.その他(外構図、家具図、冷暖房設備図等)

いずれもデザインや仕様を図面で表わしたものです。

6.確認申請

あなたが家を建築しようとする時は、確認申請書を市役所の都市整備課を経由して土木事務所の建築主事に提出します。
確認申請書には、住宅の敷地、構造及び設備についての計画図を添付します。
建築主事は建築基準法に適合していれば、あなたに確認通知書を交付します。

7.施工業者の選定と契約

プレハブ住宅でも施工業者の技倆によって差がでてくると言われているくらいですから、
注文住宅では、格段の差がでてくると言って良いでしょう。
入念な施工をする業者を選ぶ事は大変難しい事ですが、
次のような点について調査し選定してみてはいかがでしょうか。

1.詳細な見積書の提出ができるか。
2.住宅に手馴れているか。
3.経営が安定しているようであるか。
4.技術的に手堅い方法をとっているようであるか。
5.アフターサービスについてはどうか。
6.建築現場に比較的近いか。
7.予算の規模に見合った業者であるか。

このような事を調査する訳です。
あなたの周囲に、住まい造りの体験のある信頼できる知人がいたら様子を聞きます。
また、その施工業者の手がけた家を見せてもらいます。
業界名簿や、チラシなどから選んだり、知人の紹介だけで調査なしで選ぶ事は避けたいものです。
建築士に相談するのも大きな収穫が期待できるかと思います。
実物をあなたの目で確めたり、評判を聞くなどして、それなりの作業を必ず行って下さい。

見積書

よく「建築資金は、予定外の追加や変更が出るから、二割余裕をみておけ。」などといわれます。
不備な設計図書と内訳明細のない「坪当りいくら」式の見積書とでは余りにも当然の事と思います。
逆に、それらがしっかり整備されて慎重に行なわれた住宅造りでは、
予定外の工事費及び工事関連費はほとんど必要となりません。
さきに選定した施工業者に設計図を渡し見積書の作成を依頼します。
そして、提出された見積書の検討を行いますが、その方法として下記のような点があげられます。

1.内訳明細書があるか

内訳明細書のない見積書は専門家も検討できません。

2.別途工事が明記されているか。

「見積書記載以外のものは別途工事とする。」などと記されている場合がありますが、
何と何が別途工事なのか明記してもらうようにします。

3.設計図と違っていないか、金額は妥当であるか。

この点は非常に専門的になるので建築士に見てもらうのもよいと思います。
また、建築士に見積書を作成してもらい施工業者の見積書と比較検討するという手堅い方法もあります。

工事契約

いよいよ、あなたと施工業者との間で工事請負契約を結びます。
最近、さすがに口約束だけで工事を行う事は少なくなりましたが、
しかし、契約の内容が粗雑であったり形式的に処理してしまった為にトラブルになったケースも多くなっています。
この契約時点で「どういった事に注意するか」を述べてみます。

1.契約書の書類として次の5点が整っていますか。

1.工事請負契約書
2.工事請負契約約款
3.見積書
4.設計図
5.工事仕様書

上記の書類が全て整っていないと、どのような内容について契約したのか
あなたも施工業者も他の人も分らなくなってしまいます。
それから、契約書と契約約款の書式は「四会連合」のものか、「住宅金融公庫監修」のものなど、
一般によく使われているものにしてもらいます。

四会連合とは、「日本建築学会」「日本建築士協会」「日本建築家協会」「全国建設業協会」の四会を言います。

施工業者独自の書式の場合は、印刷された文面をより一層慎重に検討した方が良いと思います。

2.契約書に記載されている内容を充分検討し把握しましたか。

1.工事請負契約書

工事金額、工事期間、支払条件と金額、印紙添付と押印。

2.工事請負契約約款

契約する上でのいろいろな条件を記したものです。
例えば、工事中の火災、契約不履行、第三者への損害などがあった場合に、
どう対処するかが記載されています。
この約款は、契約の履行上どうしても欲しい書類です。
難解な文章、言葉があったら質問してみなければなりません。

3.見積書

今一度、内訳迄確認し別途工事についても同じく確認します。

4.設計図

設計図に記されていない工事はないか別途工事は記載されているかについても、今一度確認します。

5.工事仕様書

住宅金融公庫の融資を受ける場合は公庫監修の仕様書、その他の場合は設計者に整えてもらいます。

3.すぐ押印しないで、検討期間をもらいます。

契約書をとり交わしてから契約内容について、
質問したり、権利を主張したりする必要のないよう念には念をいれて検討します。
この契約内容についても、建築士にアドバイスをもらうのが良いと思います。

4.契約とは…

「あなたと請負者との間で対等な立場で、互いに協力し信義を守り、誠実にこの契約を履行する」という事です。

8.工事監理

「工事監理とは工事が設計図、仕様書のとおりにでき上るよう工事の進渉、でき具合などを
具体的に技術、資材、予算、工程、安全の面から監督指導すること」(技報堂、建築用語辞典より)

このように一般にいわれていますが、
先にも述べましたように、設計図、仕様書等が不備では、完全な工事監理は不可能です。
また、いくらうまく設計計画されても、監理の内容で出来、不出来が決まるといっても過言ではありません。
一般には、あなたが設計依頼をした建築士が継続して監理も行うことが多いようです。
基本的には、建築中の建物は工事が完了して受渡しが完了するまでは、あなたの所有物ではありません。
この工事中に設計図書及び請負契約の記載通りの施工がなされているかを、見とどける役目をするのが監理です。
建築士の項でも述べますように、工事監理のほとんどが建築士でなければなりません。
監理に当る建築士は以上述べた役目の他に、
工事進渉報告、工事完了報告などあなたに工事の依頼範囲におけるすべてを報告することを義務付けられています。
依頼範囲について少し触れてみますと、ここで行う監理は、前項までの基本設計、実施設計の依頼の仕方で決まります。
最低のものは建築士法でいう設計図書通りに単にできているかを照合するもの、
また、前述のように具体的に監督指導までに及ぶ範囲のものとなります。

監理にはどんなものがあるかを述べますと、
工事着手前に施工業者の選定手伝い、見積り書チェック、請負契約立会い等ありますが、
ここでは着手から完成までを表にして大まかにふれてみます。

工事監理の種類
No.監理項目法定監理法定外監理
01建物位置の確認
02遺方検査
03根伐土工事確認
04砕石捨コンクリート立会い
05材木検査
06墨出し型枠検査
07配筋検査
08材木墨付検査
09基礎コンクリート打立会い・アンカーボルト他確認
10設備スリーブ検査
11サッシュ図検図
12上棟立会い、軸組、小屋組、床組検査
13金物本締検査、防蟻、防虫、防腐施工確認
14内法材木検査及び墨付検査
15屋根確認
16中間検査
17サッシュ取付検査
18内法材選定、家具図確認
19外壁確認
20タイル等材料選定及びタイル割り等確認
21電気、給排水、ガス等設備配線、配管検査
22設備機器確認
23木製建具材検査
24木工事完了確認
25内装工事確認
26家具取付確認
27塗装検査
28設備機器取付検査
29建具釣り込立会い
30設備機器テスト立会い
31完了検査
32完成引渡立会い

このように法定外監理はずいぶんありますが、ここに書き表わしきれない部分がまだまだあります。
(たとえば、移動家具、カーテン等また外構全般にも渡ります)
また、法定監理は表でおわかりと思いますが構造的には充分とは言えないまでも、ほとんどの監理を行います。

9.工事開始

家を建てるのはあなたです

請負契約がすんでしまうと工事をするのは施工業者ですが、出来あがったものをただ受取るのではなく、
建築主が施工業者に依頼して建てさせている訳ですから、建築主が家を建てている事をよく認識する必要があります。
工事開始に先立ち建築主は、第三者的な立場で工事を傍観しているのではなく
建築行為の当事者として社会的な責任を持ち、関係者と協力して工事を円滑に進めていく自覚を持つ事が大切です。

工程表について

工程表 工事には経済的な速度というものがあります。
早ければ良いというものではありませんし、
遅すぎるのも不経済になります。
工事を順調に進めるには、
どれくらいの工期が必要かを良く検討する必要があります。
無理をして短かすぎる工期を押しつけたのでは良い建物は望めません。
その為には工程表を作成するのが良い方法です。
この工程表によって工事に無理がないかを概略つかむ事ができます。
また、工事中の遅れなども判り、
残り工事をどの程度いそがなければならないかの判断がつけやすくなります。

近隣へのあいさつ

工事に先立って建築主と施工業者が連れ立って近隣の家に、工事にかかる旨あいさつに行く必要があります。
工事用の車が駐車する予定の前の家や、迷惑のかかりそうな家にも、あいさつしておいた方が良いでしょう。

地鎮祭

工事に着手する前にその土地の神を祭って工事の無事を祈願し、
建物がとどこおりなく敷地とともに安らかなれと願う祭事です。
神社に依頼して来ていただき建築主、設計者、施工業者立ち合いの上儀式を行うのが一般的ですが、
神社からお札をいただき、建築主自身でお払いをする簡略した方法もあります。
要はあなたが主催するものですから、こうした儀式を行うかどうかは、あなたの判断によって決める事となります。

10.工事中

専門的な事は監理者にまかせるにしても、
少なくともこれから述べる時期には、あなたも現場へ足を運び、
工事関係者と打合せをしたり、質問したりして、自分自身も工事に関わる事によって、
現場の様子や工事の内容が良く理解でき、また施工業者も再確認する事が出来ると思います。
家が出来上った時、あなた自身の関わり具合によっては、より一層の愛着が湧く事と思います。

あなたのチェックポイント

1.地なわ張り

境界杭の位置や、敷地境界線と建物との間隔などを決めていきます。
また高さの基準を定めG・L(グランドライン)を決定します。
この様に建物の位置や高さが決まりますので、監理者や施工業者から良く説明を受けて、納得の上決定する様にします。

2.基礎コンクリート打ち

コンクリートを打込む前に基礎の寸法や、鉄筋の配筋状態、換気孔の位置ならびに寸法など確認します。
またアンカーボルトの位置や数量も確認していきます。
この時に次の工程である棟上げの日の打合せなども行っておきましょう。

3.棟上げ時

この日に柱や梁等、構造的なものがほとんど建てられます。土台や柱、梁等の寸法や材種、位置等の確認をします。
上棟式を行う場合には、段取りや内容等は事前に打ち合せをしておきましょう。
この頃には、内外の壁や天井、床等仕上材の見本などによる打合せを行い、材料の決定をしておかなければなりません。
また屋根工事の完了予定日や、公庫の場合には現場審査の予定日も打合せしておきます。

4.屋根葺き完了時

筋違いや火打ち土台、火打ち梁等、耐風、耐震の構造の確認、屋根の防水の状態や
土台・柱等の防腐、防蟻処理の状況などの説明を受けたり確認をします。

5.中間検査

建物が出来上がると見えなくなってしまう筋違いや建築金物を中心にチェックします。
基礎工事中の写真なども提示してチェックを受けます。

6.外部建具取付時

スイッチ、コンセントや、給水栓、ガス栓等の位置や配線・配管の状況などを確認しておきます。
また断熱材などの施工状況なども確認しておきます。
つまり壁の中へ隠れてしまう部分などを良く確認しておきましょう。

7.木工事完了時

内部建具、フスマの取手や錠の打合せ、クロスやカーペット等見本による打合せを行い決定しておきます。
また台所、浴室、洗面所等の設備機器の打合せや、照明器具などの打合せや決定をしておきます。

8.竣工2週間前

竣工予定日の打合せや、完成入居準備、また入居後の家具の配置や使い方など確認しておきましょう。

11.完了検査

あなたの家造りの総仕上げがやってきました。
すぐ入居したくなる気持ちを静めて、監理者(及び設計者)が行う完了検査に、あなた自身も立会って確認して下さい。
また、併行して行政手続きも必要となります。

完了検査の概要

完了検査は、主として目に見える部分について行なわれます。
※目に見えない部分は、工事中におけるチェックがなされていれば、あらためて検査は不要ですし、 むしろ、この時点になると不可能と言っていいほど難しくなります。 主な点をあげて見ます。

1.汚れ、掃除不充分な所など。
2.未完成部分(未塗装部分など)
3.可動部分(建具の状態や施錠など)
4.給排水衛生設備(排水状態や水栓類の作動、衛生器具の固定など)
5.電気設備(点滅、コンセントの通電、暖冷房機器の運転状態)
6.その他、設備図書との照合確認。

これらの点で直さなければならない箇所があれば、監理者が請負者に指示書を渡し「ダメ直し」をしてもらいます。
着工前に確認申請やその他の手続きをしたと同じように、完了時においても行政上の手続きが必要です。
工事完了届けを提出し、行政側の完了検査を受けます。
建築基準法に適合していれば、『完了検査済証』という書類が交付されます。
建築資金の融資において、この完了検査済証の発行が条件になっている場合もあります。

12.引渡し

全ての検査が済むと、いよいよ『引渡し』『受取り』となります。
監理者や施工業者より、さまざまな書類が提出され同時に
機器の取り扱い説明や工事費の精算(追加工事、変更工事)などについての打合せが行なわれます。
単に『引渡し』を受けるのではなく、あなた自身が建物と共に書類についても確認して『受取り』をおこないます。
下記は、引渡し時点の主な書類です。

A.施工業者より提出される書類

1.工事費の精算書
2.機器の取り扱い説明書
3.完成引渡し証
4.工事写真
5.その他(設備竣工図-配管等の記録図ほか)

B.監理者より提出される書類

1.工事監理報告書
2.工事監理簿
3.打合せ記録

13.完了にあたって

表示登記

建物が完了(新築または増築)して一ヶ月以内に、
法務局へ建物の所有権証明書等を添付して申請する登記をいいます。(不動産登記法第93条) ※所有権証明書等とは、建築確認通知書および建物完了引渡証明書、建物検査済証などです。

保存登記

表示登記が完了後、法務局に登録免許税を納付して所有権保存登記を行ないます。
この申請には期限の定めはありません。保存登記をすることによって建物の権利証ができます。
また、同時に第三者に対して対抗する効力も生じてきます。(民法第177条)

土地地目変更登記

田や畑、および山林等、宅地以外の土地に建築した時は、一ヶ月以内に法務局へ地目変更の申請が必要になります。(不動産登記法第81条) 田や畑に家を建築する時は、各市町村の農業委員会に農地法の届出または許可申請を行ないます。
これはあくまで「家を建築してもよろしい」という事だけです。
工事が完了した時は、ただちに農業委員会へ転用完了届を提出しなければなりません。
農業委員会は、目的どおりに出来たかを現地確認し、本人に証明書を発行します。
この証明書を法務局に添付して、地目変更の登記申請を行ないます。

14.住まいの寿命

一般的に木造住宅の耐用年数は、25〜30年といわれています。
この耐用年数(以下寿命という)を延ばす鍵が、保守であり修繕です。それは日常の手入れの中で点検出来ることでしょう。
下記は住宅の寿命を縮める要素となる主な症状となります。

01.老化 - 住宅に使用されている材料のほとんどが、大なり小なりこの現象を起します。
02.さび - 鉄はさびるものです。もちろんアルミや銅もさびます。
03.腐れ - 木造住宅の水回り等の木部に早く現れます。
04.ヒビ - モルタルやタイルの壁や床等に現れます。
05.ゆがみ - 家の変形等ですが、部分的なものと全体的なものがあります。
06.すき間 - 建具や床材、左官壁等に現れます。
07.動き - 障子やふすま等、建具類に現れます。
08.割れ - 04が原因の場合もありますが木材にも起ります。
09.はがれ - タイルやクロス、ペンキ塗部等に現れます。
10.壊れ - 家具や建具・床等で、その機能が失われます。
11.汚れ - 常に人が触れたり、掃除がしにくい所に現れます。
12.落下、はずれ - ドアの取手・タイル、瓦等に現れます。
13.虫害 - ラワン材等に現れます。白蟻が出たら大変です。
14.カビ - 常に湿気のある仕上材等に現れます。樹種によっては木材にも現れることがあります。
15.雨漏り - 屋根や開口部等に現れます。類似例として設備配管等の水漏れがあります。
16.シミ - 雨漏りや結露、インクや酒等をこぼしたあとに現れます。

以上のような症状は年月が経過すると共に、互いに原因・結果となって進んでいきます。
よく、木造住宅の延命のキメ手は、腐朽と虫害対策であるといわれています。
それは前述の各症状の多くの原因の一部になっているからです。
次に木造住宅がどのような経過をたどって傷んでくるか一般的な例を取って表にしてみます。

木造住宅の寿命(30年と仮定します)
3年目 鉄板屋根の部分、鉄板製の樋等にサビが出始めます。
畳の表替えがそろそろ必要です。
幼児がいる家では、ふすま・障子が傷みます。
5年目 外壁のモルタルにヒビが目立ち始めます。
板張り部では、変色、そり、割れが出始めます。
鉄板屋根のペンキの塗替えが必要になります。
10年目 台所、浴室等の水回りの土台が腐り始めます。
雨戸の修理や取り替えが必要になります。
建具の一部にゆがみがでてきます。
外壁モルタルに吹き付けが必要になり、外部側の敷居等の修理も必要になります。
樋の一部に取替が必要になります。
15年目 水回りの所だけでなく北側に面した所で土台や柱下部が腐り始めます。
基礎モルタルの一部が取れてきます。
軒先が痛んできます。
畳床の一部取替えが必要になります。
20年目 鉄板屋根の大部分が腐食してきます。
土台や柱等の腐れが全体の10〜30%位の割合に進んできます。
基礎が一部で沈下を起こすこともあります。
建具の建てつけが悪くなります。
25年目 土台や柱等の腐れが15〜40%位に進んできます。
外壁の一部分が壊れ始めてきます。
内壁の大部分が欠損してきます。
床根太が一部落下して床がぶかぶかになってきます。
30年目 基礎が不規則に沈下してきます。
土台、柱等の腐れが30〜50%位に進んできます。
軒下も腐り、建具の建て付けの悪さが全体に及んできます。

保守は家が完成、引き渡しを受けたその瞬間から始まるといっても過言ではありません。
家は大切な財産ですが、耐久消費材でもあります。保守、点検、修繕は『先手必勝』と心がけてください。

あとがき

建物の設計は、一般的に素人の皆様には困難です。
建築主の安全にかかわることですので、法律により
一定規模以上の建物(住宅も含まれます)の設計ができる人の資格を制限しています。
建築士法は1級と2級および木造の建築上制度を設け、試験を行なってこの資格を与えています。
木造でも60平方メートル以上の建物はすべて建築士の設計監理でなければなりません。
たとえ、設計・施工となっていましても建築士が必ず関与していますので建築するときは進んで相談して下さい。

このようにして、皆様方の家が少しでも住みよく安全になれば幸いと考えております。
まだまだ書き足りないところ、表現の未熟なところもございます。
このページを見ましての御意見・御希望がありましたら、是非お聞かせ下さい。
これからもこのページを充実させ、より良いものにしていくつもりです。
株式会社 玉木 一級建築士事務所
一級建築士 玉木久夫