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C型肝炎の新常識

肝臓病のなかで、患者さんの数が最も多いウィルス性肝炎。
原因となるウィルスには、A型、B型、C型などがありますが、
キャリア(ウィルスをもっている人)が200万人以上と推定され、
『21世紀の国民病』ともいわれているのが、C型肝炎です。
C型肝炎が恐ろしいのは、容易に慢性化しやすく、
長い時間をかけて肝硬変や肝臓がんに進展する可能性が高いからです。
こうした最悪のルートを未然に防ぐために、C型肝炎という病気を充分に理解しておく必要があります。

C型肝炎のここが危ない!

C型肝炎の発症と経過 C型肝炎ウィルスに感染すると、ウィルスは肝臓の細胞で増殖を始めます。
すると、私たちの身体に備わっている
免疫システム(ウィルスなどの外敵を攻撃して排除しようとする働き)が、
これを異物として認知し、ウィルスを攻撃します。
その際、肝細胞自体も攻撃を受けて破壊されるため、
肝臓に炎症が起こります。これが急性肝炎です。
急性肝炎になると、一般的には
発熱、黄疸、全身のだるさ、食欲不振などの症状がみられるのですが、
C型肝炎のケースでは、
こうした自覚症状が乏しく、またまったく現われない人もいます。
そのため見過ごされてしまうことが多く、
急性肝炎の約70%の人が慢性肝炎へと進行していきます。
こうなると自然に治ることはなく、
ウィルスの棲みついた肝臓は、
長い時間をかけて肝細胞の破壊・再生を繰り返し、
徐々に線維化して硬くなっていきます。これが肝硬変です。
C型慢性肝炎になった人の約半数が、肝硬変へ進むといわれています。
さらには、肝硬変の患者さんの60〜70%が、
最悪のケースである肝臓がんへと移行します。
肝臓がんの死亡者の約80%は、
C型肝炎を原因として発がんしたケースなのです。
C型肝炎の恐ろしさは、はっきりした自覚症状が現われにくいため、
早期の発見・治療が遅れて慢性化しやすく、
また非常に長い時間をかけて少しずつ悪化していくという点にあります。
C型肝炎ウィルスは、おもに血液を介して感染します。
感染者の多くは、まだC型肝炎ウィルスが発見される以前の
”輸血や血液製剤”あるいは、
かつての”予防接種などの注射”によって、感染したものと考えられています。
しかし現在では、輸血血液の徹底したスクリーニングや使い捨て注射器の普及などによって、
こうした経路で新たに感染することはほとんどありません。
今後、懸念されるのは、ピアスや入れ墨に用いられる道具、覚醒剤の回し打ちに使われる注射器、などからの感染です。
しかしこれらは、充分に予防が可能なものといえるでしょう。
過去の主要な感染ルートは改善されましたが、キャリアがいつどこで感染したのかは、不明な場合がほとんどです。
また、症状がはっきり現われず、気づかないうちに悪化しているのも、C型肝炎の特徴です。
そうした点を考慮して、厚生労働省では、下図の項目に該当する方や、
40歳以上の人は5年ごとに”節目検診”として、肝炎ウィルス検査を受診するよう勧めています。
ちなみにC型肝炎は空気感染や飲食物による感染はありませんので日常の生活であまり神経質になる必要はありません。

ウィルスの感染はここを検査する!

C型肝炎の検査では、まず血液を調べることで、現在の肝臓の状態を知ることができます。
具体的には以下の2つの検査が実施されます。

ウィルスマーカー検査

C型肝炎ウィルスのキャリアであるかどうかがわかります。
まずはウィルス抗体検査で、
血液中の抗体(ウィルスに感染した時に、免疫の働きによって作られる物質)の有無を調べます。
この検査で陽性になると、現在ウィルスに感染しているか、
または過去に感染したことがある、というケースが考えられます。
そこで次には、ウィルスそのものの有無を測定する、ウィルス遺伝子検査が行なわれます。
ここでまた陽性となれば、現在、肝炎ウィルスのキャリアであることが判明します。
また体内のウィルス量や、ウィルスの遺伝子の型などが調べられるので、
検査結果は今後の治療に役立てることができます。

肝機能検査

血液中のAST(GOT)やALT(GPT)などの数値を測定します。
これらは肝臓の細胞に含まれる酵素で、
肝炎によって肝細胞が破壊されると血液中に流れ出し、血中の値が高くなります。
肝臓の障害の程度を知ることができる検査です。

その他、血液検査の結果に基づいて、腹部超音波(エコー)検査、腹部CT検査、肝生検といった、
肝臓そのものを観察する検査も行なわれます。
これらを総合的にみて、C型肝炎にかかっているかどうか、およびその進行状況を診断することができるのです。

C型肝炎の治療法はここまで進んでいる!

現在、C型肝炎の治療は、ウィルスを直接攻撃して消滅させるインターフェロン療法が基本となっています。
インターフェロンとは、
もともと私たちの身体のなかで作られている物質で、侵入してきたウィルスなどを排除し増殖を抑える働きをします。
それを人工的に作り、一定期間注射によって補充することで、C型肝炎の完治を目的とする治療法なのです。
ところが残念なことに、従来のインターフェロン単独療法では、
すべての患者さんに対して有効だとはいえませんでした。
C型肝炎は、ウイルスの量やその遺伝子の型によって、4つのタイプに分類されています。
そのうち、日本人のC型肝炎の約70%を占める難治性のタイプには、大きな治療効果が認められなかったのです。
しかしながら、この10年ほどの間に、C型肝炎の治療法は急速な進歩を遂げました。
遺伝子組み換え技術によって、より強い効果を発揮するコンセンサスインターフェロンや、
血液中でゆっくりと分解されるため、効果の持続性に優れるペグインターフエロンが、
相次いで開発され認可を受けました。
また、新しい抗ウィルス薬リバビリン(内服薬)は、
インターフェロンと併用することで、肝炎ウィルスの排除効果を飛躍的に高めることがわかり、
昨年の12月までに、すべてのインターフェロンとの併用治療が認可されました。
このような経緯によって、C型肝炎治療の最前線では、肝臓の状態、ウィルスの型や量など、
個々の患者さんに応じた治療法(オーダーメイド医療)が可能となり、
C型肝炎の難治性タイプにおいても、治療効果が格段に向上したのです。
ただし、インターフェロン療法には、発熱、食欲不振、うつ状態などの副作用があり、
またリバビリンとの併用は、
貧血、高血圧、糖尿病の患者さん、高齢者(65歳以上)、妊娠中の方などには行なうことができません。
こうしたケースでインターフェロン療法が適さない場合は、肝臓の機能を改善する薬剤を用いるなどして、
肝硬変、肝臓がんへの進行を防ぐ肝庇護療法が選択されます。
いずれにしても、些細なことでも専門医とよく相談し、治療を進めていくことが重要です。