伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

夏だから脳梗塞が危ない!

「脳卒中」といえば、冬に起こりやすいというイメージ。
ところが、室内外の温度差や脱水が著しい暑い時季も「脳梗塞」は起こりやすいのです。

3つの脳卒中のなかで増えている脳梗塞

脳卒中といわれる疾患は、「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つに分類されます。
いずれも脳の機能障害を起こし、命を落とす危険もある重篤な疾患です。
近年、脳卒中の罹患率は減少傾向が続いています。
それは、おもに脳出血を引き起こしていた、
高血圧症が全体的に改善され、脳出血が大幅に減少してきたためと思われます。
ところが、脳卒中全体の減少傾向に反して、増え続けているのが「脳梗塞」です。
その割合は、脳卒中全体の約70%を占めているほどです。
こうした傾向は、高齢化が進んだことや、
糖尿病、高脂血症などの生活習慣病患者の増加が、その原因と考えられています。
今後、高齢者の人口がますます増えるにつれ、さらに増加傾向をたどることが予想されている病気なのです。

危険性は夏も高い

脳梗塞を防ぐ習慣 脳梗塞を含む脳卒中は、比較的冬に起こりやすいとされてきました。
これは、高血圧症による脳出血が、
寒い季節に発症率が高かったためです。
しかし脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶える病気です。
血管が詰まる原因のひとつは、水分不足です。
大量に汗をかく夏場は、
体内の水分が不足する状況が、冬場より多いといえるでしょう。
そのため、夏は脳梗塞の発作を起こしやすい季節なのです。
高齢者はもちろん、現在生活習慣病の治療を受けている方、
また動脈硬化の危険因子をもっている方は、右の注意点を心得ておきましょう。

脳梗塞は3タイプ

脳梗塞には、発症のしかたによって3つのタイプがあります。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞 脳の細い血管が詰まるタイプ。
血管は、高血圧などによって血管壁に圧力がかけられ続けると、血管壁が厚くなる。
もともと細い血管の内腔はさらに狭くなり、最終的に血流が止められる。
比較的症状は軽く、以前よりも発症率は低くなっている。

アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞 脳の太い血管が詰まる。
血液中の余分なコレステロールなどが血管壁に入り込み、
アテロームというかたまりとなって血管内腔を狭くする。
やがてアテロームが破裂すると、
そこに血小板が集まってくるため血栓ができ血管が詰まる。
増加傾向にある脳梗塞のタイプ。

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症 心臓にできた血栓が血流に乗って、脳の血管に運ばれて詰まる。
心臓病(おもに心房細動)をもっていると、心臓内に血栓ができやすくなる。
こうした血栓は大きくて溶けにくいため、脳の太い血管を詰まらせる。
ほかの2タイプと比較すると活動時に起こりやすい。
また、突然大きな発作を起こし重篤な症状が多い。

前兆は絶対に放置しない

一過性脳虚血発作(TIA)の症状 脳の血管が詰まって血流が途絶えると、
その先の脳細胞は壊死してしまいます。
そのため、
壊死した部分の脳がつかさどっていた機能に、障害が現われます。
治療によって血流が回復しても、
一度壊死した脳細胞は元に戻りません。
これが、発作後の後遺症となります。
こうした機能障害は、重い脳梗塞の発作を起こす前に、
前兆として現われることがあります。
この症状を「一過性脳虚血発作(TIA)」といい、
脳梗塞の発作を起こした方の約3割が
事前にこの発作を経験しています。
これは「一過性」と呼ばれるように、
症状が一時的なもので途絶えた血流が自然に回復するため症状も消えてしまいます。
その症状や続く時間は、ケースによってさまざまです。
数秒で治まることもあれば、数時間続くこともあります。
一過性脳虚血発作は、重い脳梗塞の発作を起こす前ぶれですから、
症状が治まったからといって放置してしまうと非常に危険です。
右の項目にあるような症状が現われたら、24時間以内に必ず医療機関を受診してください。

脳梗塞の発作を起こしてしまったら

脳梗塞の発作が起きてしまった時は、一刻も早く医療機関で治療を受けることが重要です。
周囲の人は慌てず、すぐに救急車を呼び、衣服を緩め、できれば横向けにして安静に寝かせてください。
発作が起きてから治療を施すまでの時間が、
脳細胞の壊死を最小限に抑えて、後遺症を軽減できるかどうかを左右します。
脳梗塞の治療は、薬物療法が中心となります。
とくに「急性期」といわれる、発作が起きてから1〜2週間までは血栓を溶解する薬の注入などで、
途絶えた血流を再開させることが急がれます。
また、血流を促すものだけでなく、壊死しかけている脳細胞を保護するための薬物投与なども行なわれます。
「慢性期(発症から3週間目以降)」になると、再発予防のための薬物治療とリハビリが、並行して行なわれます。
多くは血栓が作られにくくなる薬物療法が施されますが、
脳梗塞の後でうつ症状が現われるケースもあるため、程度によっては抗うつ薬も有効になります。
そのほか、梗塞を起こした血管を取り除いたり、脳へ血液を送る血管を作るなどの、外科手術が有効な場合もあります。

脳梗塞は治せる、防げる

こんな人が脳梗塞に狙われる 脳梗塞の発作後は、なんらかの形で後遺症が残るため、
リハビリによる機能回復が、治療の一つとして欠かせません。
急性期のうちから、ベッドの上で少しずつ始めることもあります。
具体的には、障害が起きた機能に応じて、
歩いたり字を書いたりする運動機能の訓練、
言語障害などがあるときは言葉の訓練、
嚥下障害があれば軟らかいものから飲み込む訓練などが行なわれます。
リハビリは、自宅療養中も続けることによって、
可能な限り機能障害を回復させるのです。
また、こうした訓練を続けることで、
加齢による身体機能の低下を遅らせることにもつながります。
脳梗塞は、薬物療法できちんと治せると同時に、
生活習慣によって発症を防ぐこともできる病気です。
ただし一度脳梗塞を起こした人は、再発しやすくなっていますから、
喫煙、大量飲酒などの習慣はすぐに改めてください。
とくに心臓病を抱える人は、大きな脳梗塞を起こす可能性が高いため、治療とともに生活習慣の改善が必須です。
危険因子をもつ人(右の図に該当する項目がある人)にも同様のことがいえます。
現在処方されている薬があれば指示どおりに飲み、脳梗塞を防ぐ習慣をつけましょう。
とくに高齢者には、自分で気づきにくい脳梗塞が目立ちます。認知症(痴呆症)の早期発見のためにも、
定期的にMRIなどの検査を受けることをお勧めします。