伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

腎不全と透析療法

腎臓の病気は、はっきりした症状が現われにくく、気づかないうちに進行していきます。
その結果、腎臓の機能が徐々にそこなわれ、やがて「腎不全」という重い病態を招くことが多くなっています。
腎不全とはどのような病気なのか? また、その治療の中心となる「透析療法」とは?

腎不全という病気

腎臓のしくみ 腎臓は、尿をつくり、
体内の環境を一定の状態に保つという、
とても重要な働きをしています。
その腎臓の機能が、
健康なときの30%程度にまで低下した状態を
「腎不全」といいます。
尿を生成するネフロンの数が、
疾病により破壊され、減少していくことで起こります。
腎不全には数時間から数日の経過で発症する「急性腎不全」と、
数年から十数年という
長い経過をたどる「慢性腎不全」とがあります。
急性の場合は、適切な治療を受ければ、
腎機能は大部分が回復します。
しかし、慢性腎不全では、
失われた機能を再び取り戻すことはできず、
また、できるだけ進行を抑えるための治療が中心となるなど、
腎臓の障害は深刻なものとなってしまいます。

慢性腎不全の主な原因

慢性腎不全の主な原因 その腎不全の原因となる腎臓の病気には、大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは細菌感染などによって腎臓自体に障害が起こる場合
(右図の○表示箇所) もう1つは他の疾病の影響によって、腎臓の機能が低下するというものです
(右図の●表示箇所) かつては、慢性腎不全に至る原因のトップは慢性(糸球体)腎炎でした。
ところが現在では糖尿病の増加に伴って、糖尿病性腎症が1位を占め、
また腎不全患者の総数自体も右肩上がりに増えており、大きな社会問題となっています。
生活習慣病の恐ろしい魔の手は、こうしたところにまで及んでいるのです。

腎不全になると…

腎不全とは、腎臓の機能が著しくそこなわれる病態です。
では、具体的にはどのような障害が現われるのでしょうか。
腎臓が果たしているおもな役割と照らし合わせて、みてみましょう。

1.血液を濾過して尿をつくり、血液中の老廃物(尿毒素)や有害物質を身体の外に排出する。

腎不全になると…
 尿毒素が体内に蓄積され、
 疲労感、食欲不振、吐き気、頭痛などの症状が現われる。
 さらに進行すると、けいれんや意識障害なども起こる。

2.尿の濃さや量を調節し、体内の水分や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)の適切なバランスを保つ。

腎不全になると…
 身体がむくむ、血圧が上昇し心不全を発症する危険性が高まる、
 弱アルカリ性の体液が酸性に傾く、肺水腫の原因となる、
 高カリウム血症を引き起こすなど、身体各部にさまざまな障害を及ぼす。

3.骨髄で赤血球がつくられるのを促進するホルモンや、血圧を調整するホルモンを分泌する。

腎不全になると…
 赤血球が減少して貧血になったり、血圧の上昇が起こったりする。

4.ビタミンDを活性化する。

腎不全になると…
 カルシウムの吸収がうまくいかず、骨がもろくなって骨折しやすくなる。

腎不全の治療と透析療法

慢性腎不全は、徐々に腎機能が失われていく進行性の病気ですから、
腎臓への負担を極力抑え、できるだけ残っている機能を温存させることが、治療の最大の目的となります。
その柱となるのは、

食事療法

1.たんぱく質を制限する
2.充分なエネルギー量を摂る
3.塩分を控えるなど

薬物療法

血圧を下げる薬、尿たんぱくを減少させる薬、血液の凝固を抑制する薬、
貧血を改善する薬、尿を出やすくする薬など

の2つです。
治療内容は、患者さんの症状に応じて変わってきますので、
医師、栄養士の指導を継続的に受けながら、強い意志をもって行なうことが大切です。
また、ご家族の協力も必要となってくるでしょう。その他に、日常生活上の注意として、

・規則正しい生活を送り、睡眠時間を充分とる
・過労を避ける
・風邪などの感染症に注意する
・冷えを防ぐ
・喫煙をしない

尿毒症の症状 といった自己管理も必要になってきます。
しかし、さらに病状が悪化し、一般に腎臓の機能が10%以下にまで低下すると、
尿毒症の症状が強く現われてきます。
こうした末期腎不全の病態は、命に関わる事態を招くこともあるため、
腎臓に代わって血液をきれいにする治療が必要となります。
それが透析療法です。
透析療法には、血液透析と腹膜透析(CAPD)の2種類があります。
血液透析は血液を体外に導きだし、
透析器を使って濾過した後、再び体内へ戻すという方法です。
医療機関で行なわれ、1回に要する時間は3〜5時間ほど。これを週2〜3回続けます。
腹膜透析は、自分の腹膜を使って血液を濾過するというものです。
患者さん自身が自宅などで行なえる方法で、1回の処置には30〜40分かかり1日4回行なう必要があります。
どちらの方法にも一長一短があるため、身体の状態やライフスタイルなどを充分に考慮し、
医師とよく相談したうえで選択することが大切です。
また、透析によって腎臓の働きを完全に代替することはできないので、
食事療法や薬物療法は引き続き行なう必要があります。

腎不全を防ぐには先手を打つ

何より重要なことは、慢性腎不全に移行しないよう、
その前段階である腎臓病を予防し、また早期の発見・治療を心がけることです。
腎臓の疾患は、風邪をひいたり、過労に陥るなど、腎臓の負担が大きくなったときに発病しやすくなります。
日常生活のなかで、無理をしない、充分休息をとる、といったことが腎臓病の予防に大いに役立ちます。
糖尿病や高血圧も重大な危険因子となりますから、生活習慣病の予防は、ここでも重要となってきます。
また、腎臓病は自覚症状が乏しいので、日頃から自分の尿をチェックし、

・尿の色が赤褐色である
・尿が白く濁っている
・尿が泡だつ
・尿の量が多い・少ない
・尿の回数が多い・少ない

といった異常を感じたら、ほかに症状がなくても専門医を受診するようにしましょう。
さらに、健康診断などを利用して、1年に一度は尿検査を受けるようにし、
異常がでた場合には決して放置せず、必ず病医院で診断してもらうことが大切です。
腎臓からのSOSを決して見逃さない。
その基本的なことこそが、腎不全予防の先手となり、決め手となるのです。