伊豆に暮らす

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要注意!今、増えているのは大腸がん

男女とも、年々増え続けているがんの一つが大腸がん。
とくに女性では、がんによる死亡の一位が、胃がんを抜いて大腸がんに!
増加の一途をたどる大腸がんから身を守るには?

死亡率はついにトップ

2003年の人口動態統計では、がんで亡くなった人の調査で、
女性については大腸がんが最も多くなったことがわかりました。
これまで1位だった胃がんが減少し、徐々に増加していた大腸がんが、
ついに胃がんの死亡率を超えるという結果になったのです。
男性においても、大腸がんの死亡率は年々増加しています。
罹患率にいたっては、がん患者の総数に占める大腸がんの割合は、
最近になって胃がんと同数のトップになったということです。
(厚生労働省『平成14年 患者調査の概要』) なぜこれほど大腸がんが増え続けているのか、明確にはわかっていませんが、
欧米化した食生活と、人口の高齢化の2つが大きな原因になっていると考えられています。
とくに食生活の欧米化に伴って、近年は、動物性脂肪の摂取量が大幅に増加しています。
動物性脂肪は、消化する過程で発がん物質が発生しやすいといわれています。
さらに食物繊維などが不足すると、便が大腸内に停滞する時間が長くなり、
便に含まれている発がん物質の濃度が高くなったり、
同時に発がん物質が大腸の粘膜に接触している時間も長くなります。
これが、食生活の欧米化が大腸がんの増加を引き起こしていると考えられる理由のひとつです。
また、大腸がんの発症のピークは60歳代と、ほかのがんに比べて高齢です。
つまり、人口の高齢化が進めば、大腸がんになりやすい年代の人たちが増えるということです。

症状は見過ごされやすい

大腸の部位 大腸は右図のように、大きく直腸と結腸に分かれています。
大腸がんは、直腸に発生する「直腸がん」が最も多く、
次に多いのがS状結腸に発生する「結腸がん」で、
この2つを合わせると、大腸がんの約6割を占めています。
つまり、大腸がんは肛門に近い場所に発生しやすいといえます
。 このため、大腸がんの発生は、
便が大腸内に停滞する時間の長さに関係していると考えられています。
大腸がんは、早期の場合、症状が現われにくいがんです。
もっとも多い自覚症状は「血便」ですが、これも痔を患っている場合などには勘違いすることが多く、
放置されてしまうこともよくみられます。また、血便といっても肉眼ですぐにわかるとは限りません。
肛門から離れたところの結腸にがんがある場合は、便に血液が混じり込んで肉眼ではわかりにくくなります。
ほかには便通異常や腹痛、貧血や体重減少などが現われますが、
こうした症状や顕著な血便がみられてくると、がんはある程度進行している場合があります。
早期発見の患者さんには、検診で便潜血反応が陽性であったために受診して、発見されたケースが多くみられます。
大腸がんは、比較的治癒率が高く、また転移や再発の少ないがんでもあります。
にもかかわらず死亡率が高いのは、罹患率が高いことに加えて、
症状が乏しく放置してしまいがちで、気づいた時には手遅れになっているケースが少なくないからです。
根治の決め手は、定期的な検診と、すみやかな受診であることは、いうまでもありません。
進行してこないと出血がないがんもあるため、
便潜血反応が陽性であった時には、進行がんになっているケースもあります。
早期発見のため、年に一度は、内視鏡などで徹底した検査を行なうことをお勧めします。

検査と手術

大腸がんの検診では、下のような検査が行なわれます。
もし大腸がんが見つかった場合、治療は、切除が基本となります。
放射線療法や化学療法は、手術の前後に補助的に行なわれます。
手術法は、がんの進行度によって内視鏡的切除術、腹腔鏡下手術、開腹手術のいずれかの方法がとられます。
腹腔鏡下手術とは、
おなかを大きく切らずに数ヵ所小さく切開し、腹腔鏡や手術器具を挿人してがんの切除を行なう手術です。
従来の開腹手術よりも身体的な負担が少なくて、術後の回復も早くすみます。
ただし内視鏡的切除術や腹腔鏡下手術は、早期がんでなければ適応できず、
上行結腸や横行結腸のほうにできたがんになると開腹手術をしないと難しい場合があります。
また腹腔鏡下手術は、医師の充分な知識と経験が必要になってきます。
メリットやデメリットについて、医師からきちんと説明を受けたうえで、治療に臨みましょう。

便潜血検査

便に血液が混じっていないかを調べる。
便を採取するだけで、身体的な負担はないが、痔などの血液にも反応するため、
陽性であっても大腸がんとは確定できない。

直腸指診

医師が肛門から指を挿入して、直腸の腫瘍の有無を調べる。
短時間で異常がわかるが、調べられるのは指が届く直腸の範囲に限られる。

注腸造影検査

肛門から大腸にバリウムを注入し、空気を送り込んで膨らませ、X線撮影をする。
盛り上がったがんやポリープは見つけられるが、早期がんや平坦なタイプのがんは見つけにくい。

内視鏡検査

肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接調べる。
精度が高く、早期がんも確認権でき、その場で切除することもできる。
事前に液状の下剤を2リットル飲んで、便をすべて排泄しておくことが必要。

治療後もQOLを下げないために

大腸がんと診断された時、気になることとして『人工肛門になるのか』ということがあるでしょう。
早期がんや、肛門から離れている結腸がんの場合、肛門も直腸も温存できるので、心配はいりません。
しかし、発症率が最も高い直腸がんでは、肛門に近いがんほど、手術後に排便機能障害が残る可能性が高くなります。
最近では、直腸がんの手術は以前より進歩しているので、
肛門から数センチ離れていれば、排泄機能を温存することもできます。
ただし、直腸を切除してしまうと、肛門を温存できてもなんらかの排便障害が現われることが多くなります。
人工肛門とは、手術で切った大腸の切断面を、下腹部にあけた穴から出し、人工的に便の排出口をつくるものです。
排出口には、便を受ける専用の装置を取りつけます。
最近の人工肛門は管理技術が進歩しており、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
生活の質(QOL)を下げることなく過ごすため、
また再発防止のためにも、人工肛門の使用を前向きにとらえることも必要です。
治療後に続く人生のことも考慮して、担当医と充分な話し合いをし、納得できる選択をしましょう。

どうすれば予防できる?

大腸がんが増加している原因のうち、加齢はいたしかたありませんが、食生活の改善は大腸がんの予防に有効です。
動物性脂肪の摂取を減らし、食物繊維を多く摂るよう意識しましょう。
そして、規則的な排便習慣をつけることも大切です。
大腸がんは、検診によって早期発見しやすく、治りやすいがんでもあります。
普段の生活習慣に加えて、きちんとした検診を定期的に行なうことが、もっとも有効な予防法といえるでしょう。

野菜や果物は大腸がん予防にならない?

2005年、
『厚生労働省研究班の調査で、野菜や果物をたくさん食べても大腸がんの予防にはつながらないことが明らかになった』
というニュースが流れました。

これは1990年から約10年間、全国の40〜69歳の男女9万人を対象に、
食事や喫煙などの生活習慣に関してアンケートをとる、大規模な追跡調査を行なった結果によるものです。
これまでは、野菜や果物には抗酸化物質や便通を改善する食物繊維が豊富なため、
たくさん食べれば大腸がんを予防できると考えられていました。
しかし調査では、野菜や果物をよく食べるグループとあまり食べないグループとでは、
大腸がんの発生率にほとんど差は見られなかったということです。
ただし、これはあくまで一つの調査結果ということで、
野菜や果物の摂取が生活習慣病の予防となる説を否定するものではありません。
同研究班でも、胃がんについてはこれまでどおりの予防効果を確認しているということです。
大腸がんに限らず、生活習慣病の予防になる特定の食物はありません。
食事全体のバランスや喫煙・飲酒の習慣、運動などさまざまな生活習慣の見直しが、多くの病気から身を守るのです。
これまで世界中で行なわれている研究でも、野菜・果物の生活習慣病予防効果は認められています。
野菜や果物を積極的に摂取する生活習慣が奨励されていることには、依然変わりはありません。