伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

高齢者を狙う落とし穴、肺炎

寒い季節の到来とともにかぜが流行し、こじらせて肺炎を引き起こさないよう、注意が必要になってきます。
「高い熱」「激しいせき」肺炎の症状は、一般にこう知られています。
しかし、お年寄りにとってはこうした症状が当てはまらないこともしばしば。
また、肺炎が重症化して命を落とす危険性も。
このように、お年寄りにとっての肺炎は、思わぬ落とし穴になることがあるのです。

肺炎の死亡率は高い?

インフルエンザの予防接種は、ウイルスヘの抵抗力が弱い乳幼児や高齢者に、とくに強く呼びかけられます。
インフルエンザは、肺炎を引き起こす要因にもなり、
とくにお年寄りについては、肺炎が重症化して命を落とすケースが毎年みられるからです。
現在肺炎は、日本人の死因の第4位となっています。
そして、その数の9割を65歳以上のお年寄りが占めているのです。
さらにそのなかには、肺の病気や心臓病、糖尿病を患っている人が多く含まれています。
病中病後はもちろん、通常でも
体力や抵抗力が低下しているお年寄りには、それ以外にも肺炎を発症しやすい要因があります。
そのことから、肺炎で死亡している多くが高齢者という結果になっています。
ではなぜ、高齢者がとくに肺炎を起こしやすいのでしょう。

なぜ高齢者が危険?

肺炎は、文字どおり肺の組織に炎症が起こる病気の総称です。
その原因や感染経路はさまざまですが、最も多い原因は肺炎球菌を主とした細菌の感染です。
ほかにも、マイコプラズマという微生物や、インフルエンザウイルスを含めたウイルス感染によるものがあります。
また感染経路には、健康な人が普段の生活のなかで感染する市中感染や、
抵抗力が弱くなっている入院中の患者さんが日和見感染する、院内感染があります。
そしてもう一つ、お年寄りに目立って起こるのが誤嚥性肺炎です。
誤嚥とは、食べ物や唾液が、本来は食道を通って胃に送られるべきなのに、
誤って気管に入り、肺のほうへ送られてしまうことです。
通常は、食べ物や飲み物は食道に、空気は気管に入るように、
脳から信号が送られ、その都度気管や食道の入り口が塞がれたり開けられたりします。
ところが高齢になると、飲み込む力が衰えたり、脳の信号がすぐに伝わりにくくなるため、
本来は食道を通るべきものが気管に入ってしまうことが起こるのです。
こうして誤嚥によって口の中や食べ物に含まれていた細菌が肺に入り、肺炎を起こすのが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎は、睡眠中に唾液が気管に入って起こる場合もあります。
このようにお年寄りは、もともと抵抗力が弱いなど重症化しやすい条件をもっているうえに、
寝たきりや病後など、誤嚥しやすい状態にある方も多いため、とくに肺炎を起こしやすくなっているのです。

肺炎らしくない症状?

お年寄りの肺炎の特徴 肺炎の症状は、一般に「38度以上の高熱」や「激しいせき」が続き、かぜよりも重い症状です。
とくに「黄色や緑色の痰」が出るような場合は、肺炎の可能性が高くなります。
また、のどの痛みや胸の痛み、息苦しいなどの症状もあります。
ただし高齢者については、こうした症状が当てはまらない場合もあります。
お年寄りの場合、肺炎を起こしていても
熱がさほど上がらなかったり、せきや痰もあまり見られないことがあります。
そのため、すぐには肺炎と気づかず、重症化してしまいがちです。
とくに誤嚥性肺炎の場合は、周りも本人も肺炎とは気づきにくいものです。
本人がとくに体調不良を訴えない時も、
周囲の人は普段と様子が変わっていないかどうか、観察しておきましょう。
右の項目は、高齢者の肺炎で見られる特徴的な症状です。
これらの症状が見られたら、すぐにかかりつけ医に受診させるようにしてください。
もちろん、かぜやインフルエンザにかかったあとでも、こうした症状が現われていないか注意して見ましょう。
さらに、くちびるや爪が青黒くなってきたような時は、重症化している疑いが強いので、すぐに受診しましょう。

病原菌を特定して治す!

肺炎の治療は、抗菌薬の注射や点滴を中心に行なわれます。
抗菌薬にはさまざまな種類があり、肺炎の原因となっている細菌の種類に応じて使い分けられます。
まず問診、聴診、そして痰の検査や血液検査、胸部エックス線検査などから、病原体を特定していきます。
軽症の場合は、外来で通院しながら内服薬で治療できますが、
重症であったり、またお年寄りのほとんどの場合は、入院して治療します。

かぜや誤嚥に注意!

肺炎が重症化しやすい人 肺炎の予防にはまず、
かぜやインフルエンザが流行する時季はうつらないように注意することが挙げられます。
とくにお年寄りは、かぜやインフルエンザから肺炎を引き起こすことがよくあります。
お年寄りだけでなく、家族でインフルエンザワクチンの接種を受けておくとよいでしょう。
また、重症化しやすい左の項目に該当する方は、
肺炎球菌ワクチンを受けておくことをお勧めします。
誤嚥性肺炎は、お年寄りに限らず、
脳卒中を起こしたことがある方や、寝たきりの方も危険性が高くなります。
ほかにも、睡眠薬を服用していたり、虫歯・歯周病がある場合は、注意が必要です。
肺炎球菌は、口の中にあるさまざまな常在菌の一つです。
抵抗力が弱くなったり、肺の中に入ってしまうことで、増殖して病気を引き起こします。
そのため、普段から抵抗力をつける生活をすることが理想ですが、お年寄りにはなかなかむずかしい面もあるでしょう。
ですから、できるだけ誤嚥を防ぎ、口の中を清潔に保つよう心がけることが大切です。
食事中に誤嚥した場合は、すぐに背中をたたいてせきをさせ、食べ物を出させるようにしてください。

若者も危ないマイコプラズマ肺炎

肺炎のなかには、若年層がかかりやすいものもあります。
マイコプラズマという微生物によって起きるマイコプラズマ肺炎です。
症状は強く、高熱が続き、夜も眠れないほどの激しく頑固なせきと、全身の倦怠感を伴います。
マイコプラズマの潜伏期間は2〜3週間で、その間はかぜのような症状です。
その後、前述のような激しい症状が現われます。
マイコプラズマ肺炎は、患者数の9割が30歳未満と、若い人に多く発症します。
ただし、年齢を問わず感染するので、潜伏期間中に家族内や職場内で感染が広がることがあります。
せきやくしゃみによる飛沫感染や、手を触れたところから接触感染するので、
周囲にうつさないために、「かぜをこじらせた」と思ったら早めに受診してください。
肺炎の病原体として多くみられるのは肺炎球菌ですが、マイロプラズマはこの抗菌薬では効果がありません。
医療機関で診断を受け、有効な抗菌薬による治療が必要です。
予防法としては、かぜと同じで、うがいと手洗いの励行が重要です。

予防に有効、肺炎球菌ワクチン

肺炎の予防には、肺炎球菌ワクチンを接種する方法もあります。
肺炎の病原体のうち、最も多くを占めるのが肺炎球菌ですが、肺炎球菌だけでも80種類以上の型があります。
肺炎球菌ワクチンは、このうち感染力が強い23種類の型に対して免疫をつけることができます。
肺炎球菌以外の病原体には効果がありませんが、肺炎球菌性肺炎の8割に有効です。
インフルエンザワクチンは、毎年接種しなければ効果がありませんが、肺炎球菌ワクチンの効果は5年以上続きます。
ただし、再接種はできないので、過去に接種した方は受けられません。
また、保険適用外ですが、脾臓摘出手術を受けた方には保険が適用されます。
「市町村によっては補助制度を導入している地域もあります」
副反応については、インフルエンザワクチンと同じくらい、安全性が高くなっています。
注射した部位に腫れや痛みが見られることがあり、まれに軽い発熱もあります。
1〜2日で治まりますが、気になる場合はすぐに医師に相談してください。
重症化するリスクが高い条件に当てはまる方は、インフルエンザワクチンと両方接種しておくと安心です。
ただし、同日に接種することはできません。
肺炎球菌ワクチンは一年中受けることができるので、医療機関に確認し、
インフルエンザワクチンを接種したら、2週間はあけるようにしてください。