伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

膵臓(すいぞう)の病気

腹部の内臓の中で、最も奥にある臓器、膵臓。
『五臓六腑』にも記されていない目立たない臓器ですが、重要な役割を2つも担っているのです。
膵臓に障害が起こって、重要な機能が果たせなくなると、身体はどうなってしまうのでしょう…
そんな膵臓の病気が、密かに増えています。

膵臓のこと、知っていますか? 生命活動に不可欠な2つの働き

すい臓の位置 膵臓の病気を知る前に、まずこの臓器の位置と働きを知っておきましょう。
膵臓は、身体の正面から見て胃の後ろ、背中側にある臓器です。
長さ15cmほどの横長の形をしています。
膵臓の中心には、十二指腸まで膵管が通っています。
この中を膵臓が分泌する膵液という消化液が流れ、
十二指腸に注がれています。
一方、膵臓の上にある肝臓でつくられた胆汁は、
胆嚢を経て十二指腸に下りてきますが、
その胆汁が通る胆管は、十二指腸につながる手前で膵管と合流しています。
膵液の消化機能は、胆汁と混ざってから活性化されるため、
十二指腸に注がれる時に、消化酵素の機能を発揮するようになっています。
膵液には脂肪・たんぱく質・炭水化物などをそれぞれ分解する酵素が含まれていて、
これらの働きによって、十二指腸や小腸で食物が消化吸収されています。この膵液の分泌を「外分泌機能」といいます。
また、膵臓はホルモンの分泌もしています。
糖尿病の話でよく聞かれる、インスリンという血糖値を下げるホルモンのほか、
グルカゴンという血糖値を上げるホルモンなど、いろいろなホルモンを血液中に放出し、
血糖値を精密に調節しています。この働きを「内分泌機能」といいます。
膵臓の働きは、「外分泌機能」と「内分泌機能」の2つです。
これらの機能が正常に働かなくなる、3つのおもな膵臓の病気を、具体的にみてみましょう。

消化酵素が、膵臓自身を消化してしまう

急性膵炎 -きゅうせいすいえん-
前述のとおり、膵液は膵臓から十二指腸へ放出されて活性化します。
これが、何らかの原因で膵臓内で活性化されてしまい、
膵臓の組織を溶かしてしまう(自己消化)ことが起こります。この状態が急性膵炎です。
軽症から重症まで程度はさまざまですが、
重症の急性膵炎では、膵液が膵臓の周囲の組織をも溶かしてしまいます。
これによって全身の臓器に障害が起きたり、傷ついた組織に細菌が感染して重い合併症を起こしたりします。
このような重症の急性膵炎は、命にかかわることも少なくありません。

胆石が胆管を移動して合流点をふさいでしまう場合 原因
最も多い原因は胆石です。
右図は、胆石が胆管を移動して、
胆管と膵管の合流点をふさいでしまう場合です。
十二指腸への出口がふさがれることで、
胆汁が膵管に逆流し膵液が膵臓内で活性化されてしまうのです。
次に多い原因は、アルコールの飲み過ぎです。
多量の飲酒によって膵臓がむくみ膵管が狭くなって膵液が流れにくくなり
膵臓内にとどまったまま活性化してしまうと考えられています。
そのほか、原因不明で突発的に起こる急性膵炎もめずらしくありません。

症状
特徴的な症状は、みぞおちあたりに突然生じる、激しい痛みです。
吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
痛みは、両ひざを抱えなければいられないほどの耐えがたい激痛といわれ、
重症の場合はショック状態になることもあります。
また、背中や腰、腹部全体が痛むこと(放散痛)もあります。
症状は、アルコールを飲んだり食事をしたあと、数時間して現われることが多いようです。

治療
膵臓を休ませるため、絶食・絶飲をし、点滴による栄養補給を行なうことになります。
したがって、入院が必要になります。
薬物治療が中心となり、軽症の場合は1週間前後で回復しますが、重症の場合は、外科的手術を行なうこともあります。

膵臓の組織が、徐々に死んでしまう

慢性膵炎 -まんせいすいえん-
軽い炎症が膵臓のいたる所に起こって、長期にわたってくり返すうちに細胞が壊れて、
組織が線維のように硬くなる病気が慢性膵炎です。
同じ炎症性でも、急性膵炎は一過性で、治療をすれば膵臓の機能は回復します。
慢性膵炎の場合は、線維化した組織は元に戻りません。
急性膵炎から慢性膵炎に移行することもありますが、基本的には両者は別の病気です。
膵臓の線維化が進むと、しだいに膵臓の機能は低下していき、
膵液やホルモンの分泌に障害が起こるため、消化吸収障害や糖尿病(膵性糖尿病)などを招きます。
膵臓の中を通る胆管が圧迫されて、黄疸がでることもあります。

原因
ほとんど急性膵炎と同じですが、とくに長年にわたるアルコールの飲み過ぎが多く約8割を占めています。
そして、中高年の男性にその傾向が多くみられます。
ただし、多量の飲酒歴があっても必ずしも慢性膵炎になるというわけではないので、
飲酒に伴う食生活や、喫煙、体質なども素因になっていると思われます。
そのほか胆石や遺伝も原因となりますが、原因不明の「特発性」といわれる慢性膵炎も多く、
若者や女性の膵炎では「特発性」が多くを占めています。

症状
みぞおちあたりに、激痛ではありませんが重苦しい鈍痛が現われます。
背中などに放散痛がでることもよくあります。
吐き気や嘔吐、膨満感などもあり、こうした症状は、飲酒や食事の数時問後にとくに起こります。
しかし、病状が進行すると、痛みは軽減します。
そのかわりに、下痢や体重減少、黄疸などがみられるようになり、突然糖尿病を発症したりします。

治療
慢性膵炎で壊された組織は元に戻すことはできないので治療は病気の進行を食い止めることが目標となります。
炎症や痛みを抑えるための薬物治療が中心となりますが、必要に応じて外科的手術も行ないます。
胆石、アルコール、などといった原因がわかっていれば、それを取り除くことが優先です。
ひとたび慢性膵炎になると、飲酒や暴飲暴食のたびに膵臓の機能が低下していくため
生涯、断酒と食事療法を続けていく必要があります。

見つかりにくく、原因が不明

膵臓癌 -すいぞうがん-
膵臓の中でも膵管にできることが多く「膵管がん」ともいわれ、
一般に膵臓がんというとこの膵管がんを指します。
初期はほとんど症状がみられず、早期発見がむずかしいがんです。
さらに、膵臓が身体の奥に位置することや、
隣接する肝臓やリンパ節などに広がりやすいことも、治療を困難にしています。
そのため、発生率は高くはありませんが、
死亡数は肺がん、胃がん、大腸がん、肝がんに次いで5番目に多くなっています。
膵臓は縦に3つに分けて、十二指腸に接するほうから「頭部」「体部」「尾部」と呼ばれています。
膵臓がんは頭部に発生することが多く、そのケースでは胆管が圧迫されるので、黄疸が現われるのが特徴です。

原因
膵臓がんが、どのような習慣でどのような人に発症しやすいかは不明です。
ただし統計学的にみると、50〜70歳代の男性に多いがんです。
また、アルコールや脂肪分の過剰摂取と喫煙も、膵臓がんの患者さんによくみられます。

症状
初期には特有の症状はありません。
ある程度がんが進行すると、慢性膵炎でみられるような症状が現われます。
膵臓の体部や尾部のがんでは黄疸がでることも少なく、
かなり進行しないと発見されないことがしばしばあります。
黄疸や糖尿病を発症した時は、もちろん早期に受診する必要があります。
そうした症状がでなくても、上記のような兆候があったり、
背中やみぞおちがしつこく痛む時は、膵臓の検査を受けることをお勧めします。
現在、早期発見のための検査法の開発が進められており、内視鏡検査も普及してきています。

治療
外科的手術が主体となり、がんの進行度や広がり方によって、放射線療法や化学療法を組み合わせて行ないます。
がんが切除不可能な場合は、放射線療法と化学療法を中心に治療を行ないます。

膵臓を守るには

すい臓がんを疑う時 膵臓がんに限らず、膵臓の病気については、
実のところ発症の原因がはっきりとわかっていません。
そのため、決め手になる予防法も見つかっていないのが実情です。
しかし、膵臓の病気が年々増加しているのは、
食生活が豊かになったことで、
アルコールの楽しみ方が多様になったり、
脂肪分の摂取量が増えたことにも起因していると思われます。
こうした病気を早期発見するために、
消化器系に不調を感じたら
胃腸と同時に膵臓の状態も気にかけてみましょう。