伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

尿もれは治せます。

「尿もれ」は程度の差こそあれ、40歳以上の女性の2人に1人が経験しているといわれる症状です。
命にかかわることはなくても、失禁したことでひどく落ち込んだり、
外出が怖くなって引きこもりがちになってしまうケースもめずらしくありません。
そんな、生活の質(QOL)をぐっと下げてしまう「尿もれ」は、治療によって改善することができます。
「年だから」と放っておかず、もっと積極的に、不安のない毎日を取り戻しましょう。

恥ずかしくも珍しくもありません。

自分の意志とは無関係に尿が出てしまう状態が、尿もれ(尿失禁)です。
女性はとくに、お産をしたり、尿道が短いなどの身体構造から、尿もれが起こりやすくなっています。
もちろん男性にも、高齢になるにしたがい尿もれに悩む人が増えています。
このような症状は、他人に話すことが恥ずかしいと感じたり、
「年をとったせいだからしかたがない」とあきらめてしまうなど、対処に消極的になっている傾向があります。
ところが、実際には中高年の多くがそうした悩みをもっているのです。
最近は尿もれについての情報も得られやすくなり、専用のパッドも市販されるようになりました。
これで少しは不安が解消された方も多いと思いますが、
パッドを持ち歩く必要もなくなれば、さらに行動範囲が広がり、精神的にも自信がでてくるでしょう。
尿もれは、治療をすれば必ず改善します。
一方で、尿もれが思わぬ病気のサインであることもあります。
多くの人が経験する症状ですから、他の病気と同じように、恥ずかしがらずに医師に相談してください。

女性の尿もれの多くが腹圧性尿失禁です。

くしゃみやせきをした時、重い物を持ち上げた時など、
おなかに力が入った瞬間に、下着をぬらす程度にもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。
骨盤底筋群という、膀胱や尿道、子宮などを下から支えている筋肉の集まりがゆるんでしまうために起こります。
これは、加齢のほか、妊娠や出産によって骨盤底筋群がゆるんだり傷つくことが原因になります。
そのため、患者さんは高齢者とは限りません。
また、切迫性尿失禁との混合型を合わせると、このタイプの尿もれが、女性の患者さんの約80%を占めます。
骨盤底筋群をきたえる体操
治療は、骨盤底筋群をきたえる体操が最も有効です。
この体操だけで、約5割の患者さんは尿もれが改善できるといわれています。
とくに産後の尿もれには効果を発揮し、混合型にも有効です。
ただし、体操の効果はゆるやかに現われ、すぐに改善できるものではなく、
重症の場合にはこれだけでは完治がむずかしくなります。
そうした体操だけでは改善されないケースでは、尿道のしまりをよくする作用の薬などを併用します。
それでも改善できなかった場合は、手術療法もあります。主流なのはTVT手術といい、
下腹部を小さく切開し、尿道の下にテープを通す手術です。
尿道がテープで支えられるため、お腹に圧力がかかっても尿がもれなくなります。
入院期間は1〜2泊で、成功率は90%と高く健康保険も適用されます。

切迫性尿失禁は原因がいろいろあります。

腹圧性尿失禁に次いで多いのが、切迫性尿失禁です。
急に抑えきれないほど強い尿意が起こり、トイレに行くまでがまんしきれず、もれてしまうタイプです。
冷たい水に手をつけたりすると、反射的に尿意が起こったりもします。
通常の排尿では、膀胱にある程度尿がたまってから、脳が尿意を感じるように指令をだします。
切迫性尿失禁は、膀胱の収縮筋が過敏になっていて、尿がたまる途中の段階で膀胱が収縮し、急に尿意が起こります。
そのため、1回の量は少なく何度もトイレに行きたくなる、頻尿を伴います。
このような、膀胱が興奮し、収縮しやすくなっている状態を過活動膀胱といいます。
切迫性尿失禁の背景にはたいてい過活動膀胱がありますが、頻尿だけで治まっていることもあります。
治療は、膀胱の興奮を抑える薬物療法が基本です。
また、自分の排尿パターンを把握し管理できるように、尿の量やもれ方を「排尿日誌」に記録することも行ないます。
これは、ご自身でできるようなら、受診の前に1〜2日くらい記録しておくと、診察時に参考になります。
ほかにも、トイレに行きたくなったらしばらくがまんして、徐々に排尿の間隔をあけていく「膀胱訓練」を行ないます。
骨盤底筋体操も効果があります。
過活動膀胱は、膀胱炎など泌尿器官の炎症、前立腺肥大などが原因で起こることもあります。
その場合は、まず原因の疾患を治療します。
切迫性尿失禁は、脳の指令が膀胱にうまく伝わらない状態でも起こるので、
脳や脊髄が傷害される病気、脳卒中や脊髄を傷めるケガ、パーキンソン病などが原因になることもあります。
腹圧性尿失禁ほど患者数は多くありませんが、
切迫性尿失禁の場合、
一度にもれる量が多い、夜間のトイレで睡眠を妨げられるなど、患者さんが抱える悩みは深刻です。
治療によって改善が可能なので、ほかの病気が隠れていないか知るためにも、早めに受診しましょう。

溢流性尿失禁は腎臓に悪影響を及ぼします。

高齢の男性に多い尿もれです。
溢流性尿失禁は、尿がうまく出ない排尿障害が前提にあり、それは前立腺肥大によって起こる場合が多いからです。
排尿がうまくできないため、膀胱は尿がたまってぱんぱんにふくれ、しだいに尿があふれ出てしまいます。
この尿もれは、くしゃみなどで力が入った時にも、横になってリラックスしている時でも
起こりますが、それ以外でも常に少しずつ、もれ出てしまうのが特徴です。
溢流性尿失禁は、糖尿病や、子宮がん・大腸がんなどの手術によって、
末梢神経が傷害されることが原因にもなるので、女性にも起こることがあります。
背景にある疾患を治療することも重要ですが、
それに加えて、尿が膀胱にたまった状態で放置すること自体が、腎臓に悪影響を及ぼし、
尿路感染症を引き起こす危険もありますから、このタイプは、すぐに受診してください。

気にならなければ気にしないでいきましょう。

尿もれのタイプには、ほかに機能性尿失禁があります。
これは、認知症などによる判断力の低下でトイレの場所がわからなくなったり、
脳卒中によるまひなどのために排尿準備に時間がかかるといったことで、
間に合わなくてもれてしまうタイプです。
排尿機能は異常がないので、排尿習慣を訓練したり、トイレに行きやすい環境を整えてあげることが必要です。
尿もれには、このようにさまざまな症状や原因があります。
なかには、尿もれのために人と会ったり外に出るのが怖くなって、
引きこもりがちな生活になってしまうこともあります。
そのような悩みは、すぐに医師に相談して治療することをお勧めします。
逆に、軽い腹圧性尿失禁などの場合、尿もれは自覚しているけど日常生活に影響はない、ということであれば、
特別な治療は必要ありません。
念のためかかりつけ医に相談することをお勧めしますが、
他の病気の心配がなければ、おおらかに毎日を過ごしてください。