伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

内蔵脂肪症候群といわれるゆえんは?

すでにさまざまなメディアで採り上げられ、流行語ともなってしまったメタボリックシンドローム。
そして、その元凶といわれる内臓脂肪。
実は、肥満とまではいかなくても、内臓脂肪を身体にたっぷり抱えている人は多いのです。
しかしなぜこれほど、内臓脂肪を減らすことが必要といわれるのでしょう?

日本人の死因No.1?

メタボリックシンドローム、チェックシート
日本人の死因でもっとも多い疾患は、がんです。
そして次に多い死因を、脳血管障害(脳卒中)と虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)が、
入れ替わりながらも毎年2位、3位を占めています。
この2つは、ご存じのとおり、『動脈硬化』によって進行する点が共通しています。
さらに、この2つの死亡者数を足してみると、1位のがんの数を上回ってしまいます。
動脈硬化によって起こる2大疾患で命を落とす人は、こんなにも多いのです。

さて、動脈硬化を進ませる因子はさまざまですが、
とくに危険なのは「肥満」「高血圧」「脂質異常症(高脂血症)」「高血糖」です。
このうち肥満以外は、ある一定値を超えると、生活習慣病と診断され、治療が必要になります。
しかし、病気の範囲ではないが注意を要するグレーゾーン
いわゆる『境界域』では、早急な治療が必要なほどの危険はないと思われてきました。

ところが、その『境界域』が1つではなく2つ、3つと重なった場合は、
動脈硬化が急速に進行する可能性が高いことがわかったのです。
具体的にいうと、上図のチェック項目で、
「腹囲」と1,2,3の計4つのうち3つ以上を併せもつ人は、まったくもたない人に比べて、
虚血性心疾患を起こす危険が31倍になるということです。
そんな、重大な病気を発症する可能性が非常に高い状態がメタボリックシンドロームなのです。
そして、日本人の死因の多くを占める動脈硬化を
もっと積極的に予防するために2005年にメタボリックシンドローム診断基準が発表されました。

メタボリックシンドローム=太っている?

メタボリックシンドロームでまず重視されるのが腹囲。
これは、内臓脂肪型肥満かどうかを判定する目安となるからです。
肥満には内臓脂肪型と皮下脂肪型があり、女性に多い皮下脂肪型は下半身に脂肪がつきやすいのに対して
男性に多い内臓脂肪型はおなか周りにつくのが特徴です。

肥満度は、BMI(体格指数)などで身長と体重から判定することもできますが
メタボリックシンドロームではとくに内臓脂肪型が問題とされているため、
もっとも判定がしやすい腹囲を重視しているのです。
これによって、今までBMIが標準値だった人でも、腹囲は太く内臓脂肪が多いというケースもでてきます。
メタボリックシンドロームには、外見はあまり太って見えなくても、意外におなかが出ている、という人も多いのです。

脂肪のことを知ろう

同じ脂肪でも、皮下脂肪より内臓脂肪のほうがいけない、というのはなぜでしょう。
それには、「脂肪」の意外な働きが関係しているのです。
内臓脂肪や皮下脂肪は、エネルギーとして使われなかった中性脂肪が『脂肪細胞』とよばれる
細胞の中に貯蔵され、内臓(おもに腸)の周りや皮膚の下に蓄えられたものです。
いずれも、エネルギーが不足した時に使われたり、
外部の衝撃から身を守ったり、体温を一定に保つために蓄えられるのです。
しかし脂肪細胞の働きは、脂肪の貯蔵だけではないことがわかってきました。

それは、体内の機能を調節する生理活性物質『アディポサイトカイン』を分泌することです。
これには何種類もの物質がありますが、健康に役立つものもあれば、悪影響を及ぼすものもあるのです。
代表的な例は、『アディポネクチン』という物質です。
これは、傷んだ血管壁を修復し動脈硬化を防いだり、
血糖値を下げる(インスリンの働きを活発にする)など、生活習慣病を防ぐ善玉の物質です。
その一方で、インスリンの働きを弱める作用をする『TNF-α(ティー工ヌエフ-アルファ)』という物質や
血栓を作りやすくする『PA1-1(パイワン)』
血圧を上げる物質『アンジオテンシノーゲン』といった、悪玉といわれる物質もあります。

これらの分泌量は、脂肪が適度に蓄えられていればバランスがとれており、健康を害することはありません。
しかし脂肪が貯まりすぎると、善玉の物質が減り、悪玉の物質が大量に分泌されるようになってしまうのです。
さらには体内の脂肪分が増えれば、血液中に中性脂肪やコレステロールが増えることはいうまでもありません。
脂肪が過剰になると、こうして高血圧・脂質異常症・高血糖を招いてしまうのです。

内蔵脂肪がなぜ悪い?

脂肪細胞は同じでも、内臓脂肪が危険とされるのは、脂肪細胞の機能が違うからです。
内臓脂肪のそばには、腸の周りに張り巡らされた血管が通っています。
そのため、代謝が皮下脂肪よりも活発で、アディポサイトカインの分泌も盛んなのです。
内臓脂肪が分泌したアディポサイトカインは、すぐに血液に入って全身を流れることになります。

一方の皮下脂肪は、末梢血管のほうにあるため、代謝は活発ではありません。
悪玉物質の分泌も少なく、動脈硬化についてはほとんど無害といわれています。
つまり、内臓脂肪は悪玉物質の分泌が盛んなために、動脈硬化を促進する作用があるから危険なのです。
ただし、皮下脂肪型肥満だったらいいというわけではありません。
身体が重いと腰やひざに負担をかけ、痛めやすくします。
また肥満は、がんなどさまざまな病気の危険因子でもありますから、適正といわれる体重に近づける心がけは必要です。

一石三鳥の効果

メタボリックシンドロームと診断されたら、まず内臓脂肪を減らすことが課題です。
内臓脂肪によって血圧・血中脂質・血糖が上がるのですから、
逆に内臓脂肪を減らすことがこれらを同時に下げる効果をうみます。
しかもそれは、決してむずかしいことではありません。

内臓脂肪は代謝が活発ですから、エネルギーとして使われやすい、つまり落ちやすい脂肪ということです。
最近では、体重の5%を減らすだけでも、危険因子が大幅に改善されることがわかってきました。
それには、くり返し言われることですが、「食生活を見直して運動をする」こと。
初めは面倒でも、下の項目を毎日実行するだけで、必ず効果が現われます。
なによりも、突然重症の病気で倒れて、自分や家族がつらい状況に見舞われないために
内臓脂肪を減らして一石三鳥を狙いましょう。

食事は満腹になるまで食べない
脂肪分を控え、野菜やきのこ類など低カロリーの食材を意譜して食べる
間食を控える
エレベーターやエスカレーターより、できるだけ階段を使う
日常活動はマメに動き、外出したらなるべく歩く