伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

早く痔を治してスッキリしよう

「場所が場所だけに恥ずかしい…」
そんな理由で、重症になるまで診察を受けない患者さんが多いのが痔です。
また、「痔の治療=手術=すごく痛い」というイメージも根づいているようです。
しかし、現在の治療法は以前と違い、手術が主流ではありません。
たとえ手術をするとしても、治療に伴う痛みは非常に軽減しました。
痔の患者さんはとても多く、今や生活習慣病としてみられています。
恥ずかしがらずに思い切って受診して、早く痔の悩みを解消しましょう。

肛門はとてもデリケート

肛門の構造 肛門は胎児の時に、
お尻の皮膚と腸の末端が徐々に近づき、つながってできます。
腸と皮膚がつながった部分の境界線は、
10個前後のくぼみがあるギザギザした形をしているので、歯状線といいます。
歯状線を境に上は腸、つまり内臓で粘膜組織に覆われていますが、
下は皮膚組織です。
この、歯状線から下1.5〜2cmほどの皮膚組織が、肛門です。
腸の部分の粘膜は痛みを感じませんが、皮膚は痛みを敏感に感じます。
また、粘膜は伸縮性がありますが、
皮膚は伸縮性がほとんどないので、排便の刺激などで傷つきやすい部分です。
そんな、性質の違う組織が接合している部分のため、肛門はデリケートで複雑な器官なのです。
肛門の周りには、内括約筋と外括約筋という筋肉があり、
それらと粘膜や皮膚の間には、動脈や静脈の血管が張り巡らされています。
そこに筋繊維や結合組織、細かい毛細血管などが集まって、弾力性に富んだふくらみを作っています。
クッション部分とよばれるこの部分は、肛門をぴったり閉じておく役目もしています。

立派な?生活習慣病

「痔」というのは病名ではなく、肛門や肛門周辺に起こる病気の総称です。
その種類は20以上もありますが、そんな痔疾患の8割を占めるのは、痔核・裂肛・痔ろうの3つです。
痔核は通称「いぼ痔」、裂肛は「切れ痔」、痔ろうは「あな痔」というと
聞き覚えがあるのではないでしょうか。
さて、痔を引き起こす最大の原因は、便秘や下痢です。
このような便通異常は、おもに食生活や運動不足といった生活習慣に深く関わっています。
また、仕事で長時間同じ体勢をとっていたり、ストレスや肉体疲労も発症の引き金になります。
したがって、今日の痔の治療では、生活習慣の指導が行なわれることが一般的になっています。
もちろん、これは予防の面でも共通しています。
引き金となる生活習慣に、思い当たる人は多いでしょう。
実際、肛門科を受診していない人を含めれば、痔をもつ人は3人に1人はいるといわれています。
痔をわずらっている人は想像以上に多く、また性別問わず、誰でも発症する可能性があります。
痔は、決してめずらしい疾患ではありません。

痔の三大疾患を知ろう

痔核【いぼ痔】

痔核 男女の差はあまりなく
痔の患者さんの半数は痔核というほど、最も多いタイプの痔です。
排便時のいきみなどで、肛門に負担がかかり続けることにより、
クッション部分がうっ血して、イボのようにはれたものが痔核です。
座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事、妊娠・出産なども原因となります。
はれる部分は、おもに歯状線より上の粘膜組織で、これを内痔核といいます。
痔核というとたいていは、この内痔核を指します。
粘膜の部分なので、痛みは感じません。
しかし肛門の外側、皮膚組織がはれることもあり、
これは外痔核といって、初期から強い痛みや出血があります。
内痔核は痛みはないといっても、
放置しておくと大きくなって、排便時に出血することかあります。
(ポタポタとしたたるか、勢いよく出血することもある)
徐々に肛門の外に出るようになり、
排便時でなくても痔核が肛門から出てしまうほどになると、
粘液が下着を汚すなど、日常的に不快感が続きます。
また、こうなると外痔核を併発することもあり、これを内外痔核といいます。
内外痔核には血の塊が多数できることがあり、
これは強い痛みや出血を伴います。
さらに急性の外痔核に、肛門の周囲の血管が破れて血栓になる、血栓性外痔核があります。
激痛があり、皮膚が破れると出血します。

裂肛【切れ痔】

裂肛 おもに硬い便をいきんで出した時などに、
肛門の皮膚が切れたり裂けたりします。
そうした傷が裂肛です。
そのため、男性よりも便秘をしやすい、女性に多いタイプの痔です。
ただし、勢いのある激しい下痢によっても、裂肛になることがあります。
皮膚組織が傷つくため、排便時に強い痛みを感じます。
そして排便後も、ジンジンと痛みが続きます。
出血もありますが、トイレットペーパーに少しつく程度です。
したがって、裂肛で問題なのは排便時の痛みで、
これによって排便を恐れるようになり、
便秘がさらにひどくなるという悪循環が起こります。
急性の裂肛は、便の状態が改善されれば、外用薬で治ります。
ただしこれをくり返したり、便秘のまま放置しておくと、
排便のたびに傷口はどんどん大きく深くなり、
さらに傷口に炎症が起こって、潰瘍になります。
このような慢性の裂肛になると、
傷の直腸側にポリープ(肛門ポリープ)ができ、
肛門の外側には皮膚が突起してイボ(見張りイボ)ができることもあります。
悪化すると、
肛門が狭くなったまま固定してしまう「肛門狭窄」になることもあり、ますます便が通りにくくなります。

痔ろう【あな痔】

裂肛 痔ろうは、歯状線のくぼみに細菌が感染し、炎症を起こすことで発症します。
通常は、歯状線のくぼみに便が入ることはありませんが、
水様便が出るような下痢をすると、入りこむことがあります。
便の中には多くの細菌が含まれていて、
疲れやストレスなどで体力や免疫力が低下している時は、
それらに感染しやすくなります。
こうした状況で細菌に感染すると、肛門の周りに炎症が起こり、化膿します。
膿がたまるため、はれと激痛が起こり、また高熱がでます。
この状態は痔ろうの前段階で、「肛門周囲膿瘍」といいます。
肛門周囲膿瘍では、激痛のためにたいていの人は受診します。
治療は、膿を出して抗生物質を処方しますが、
自然に膿が出てしまうこともあります。
いずれも、
膿の排出とともに痛みも治まり、そのまま完治する場合があります。
ただし、完治するのは3〜5割で、残り半数以上は、
細菌の入り口から膿の出口まで、管がつくられてしまいます。
そして再び細菌が感染すると、
膿がたまり、はれ・痛み・発熱が現われ、前にできた管を通って膿が出るということをくり返します。
これが痔ろうです。
管の出口からは、膿や血が流れ出て、下着を汚すことが頻繁に起こります。
女性より男性に多い痔ですが、
男性は、アルコールの飲みすぎなどによって下痢を起こすことが多いせいだと思われます。

治療は手術より生活改善

痔の治療というと手術のイメージがあって、受診に踏み切れない人もいるようですが、
現在の治療の主流は、保存療法です。
保存療法とは、便通を整えるための食事内容や生活習慣を指導したり、
おもに外用薬による薬物治療です。
痔があっても、生活に支障がない程度の症状ならば、無理に手術する必要はありません。
ただし、専門医の診察を受けるのが前提です。
排便時に血がついた、というだけで痔と判断していたら直腸がんだった、という例もあります。
また市販の痔の薬は、軽い症状を抑える程度に使うことをお勧めします。
しかし、1週間使っていても効果が見られない時は、肛門科を受診しましょう。
痔核・裂肛の治療に手術が適用されるのは、
進行している・保存療法では改善しない・出血がひどい、というようなケースです。
また、肛門周囲膿瘍をくり返している痔ろうの場合は、手術で治療します。
当然、手術では麻酔をしますから、
麻酔の効果がなくなると痛みは現われますが、術後の1〜2日程度です。
長年、痔に悩んでいる方は、思い切って肛門科を受診してください。
QOL(生活の質)はぐんと上がり、おそらく「もっと早く来ればよかった!」と思うことでしょう。

痔を改善・予防する習慣

・排便の時に強くいきまない
・トイレに長く座っていない(できれば3分以内にでる)
・無理に便を出しきろうとしない
・肛門を清潔に保つ(可能ならウォシュレットを使う)
・アルコールを控える
・座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事では、ときどき身体をほぐす
・お風呂に浸かって血行をうながす
・便秘や下痢を改善する生活を心がける

トイレを我慢しないこと!
食物繊維を多めに摂ること!
香辛料、刺激物を控えること!
(下痢の場合)