伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

見すごせない肝臓の肥満 脂肪肝

定期健診や人間ドックで一番多く発見される「異常」は、何だかご存じですか?
それは「肝機能障害」で、受検者の4分の1が、異常値を示すといわれています。
なかでも最も多いのが、脂肪肝を指摘されるケースです。
食生活の乱れや運動不足が原因で起こり、肝臓の生活習慣病ともいわれる脂肪肝とは、どのような病気なのでしょうか?

脂肪肝という病気

肝臓は、私たちが生きていくうえで欠かすことのできない、さまざまな役割を担っています。
その1つが「栄養素の加工と貯蔵」です。
食べ物から吸収された栄養素、例えば脂肪や糖質などを、
エネルギーとして利用しやすい形に加工し、全身に送り出しています。
また、余った分からは中性脂肪を作り、
必要な時のエネルギー源として貯蔵しておくのも、肝臓の大切な役割です。 そのため肝臓にはつねに、肝臓全体の重量の2〜3%程度、脂肪が蓄えられています。
脂肪肝とは、その割合が10%以上にもなり、肝臓に脂肪(とくに中性脂肪)が過剰に蓄積された状態をいいます。
厳密には、肝臓の細胞内に脂肪がたまり、その細胞はブヨブヨと膨らんでいきます。
そうなると、細胞間の細い血管は圧迫を受け、血液循環が悪くなって、肝臓の機能が低下してしまうのです。
健康診断などの肝機能検査で異常値を示すのは、そのためです。
症状としては、全身倦怠感、腹部膨満感、右上腹部の腫れなどが現われる場合もありますが、
自覚症状のないことがほとんどです。
大部分は健康診断などによって発見されるため、思わぬ結果に青ざめた人も多いのではないでしょうか。
脂肪肝はさまざまな原因で起こりますが、食べすぎ、アルコールの飲みすぎ、糖尿病が、三大要因とされています。
なかでも食べすぎを原因とするケースが増加しており、現代人の食生活の乱れが大きな影を落としています。
また、メタボリックシンドロームとの深い関連も指摘され、「肝臓の生活習慣病」といえるのが脂肪肝なのです。

脂肪肝の三大要因
食べすぎ

カロリーオーバーの食事で、とくに脂質や糖質を多く摂リすぎると、
エネルギーとして使いきることができず、
残った分は中性脂肪の形に変えられて、
どんどん肝臓の細胞にたまっていく。
脂質、糖質の摂リすぎはもちろんだが、
運動不足で消費カロリーが減ることも、脂肪肝に深く関与している。

アルコールの飲みすぎ

アルコールの分解も肝臓の仕事だが、日常的に多量のお酒を飲んでいると、
肝臓での中性脂肪の合成が盛んになって、脂肪が蓄積しやすくなる。

糖尿病

インスリンの分泌が不足したり、働きが悪くなると、
脂肪組織での脂肪分解が進み、その分多量の脂肪が肝臓に運ばれてくる。
そのため、蓄積する量もおのずと増えていく。

脂肪肝にひそむ危険

脂肪肝から肝臓障害へ 従来、脂肪肝は一般に
それほど深刻な病気とは考えられていませんでした。
生活を改善してその原因を取り除けば、
肝臓に炎症が起こるなど、
病状が進行することは少ないとされてきたからです。 ただし、飲酒を原因とする
脂肪肝(アルコール性脂肪肝)の場合は別で、
そのまま飲み続けていたり、治療を怠るようなことがあれば、
アルコール性肝炎から肝硬変へと
重症化する危険性をはらんでいます。
肝硬変とは、肝臓が線維化して組織が硬くなり、
肝臓の機能を充分果たすことができなくなってしまう怖い病気です。
ところが、最近の研究では、
アルコール以外の原因で起こる脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)のなかにも、
炎症をくり返し起こして、肝硬変や、さらには肝臓がんにまで進むタイプのあることが、明らかになってきたのです。
このような、非アルコール性脂肪肝から起こる肝炎を「非アルコール性脂肪性肝炎=NASH」といいます。
統計によると、非アルコール性脂肪肝の診断を受けた人の約10%が、NASHを発症し、
さらにそのなかの約20%は、肝硬変にまで進行するといわれています。
しかもNASHは、自覚症状がほとんどなく、10〜15年の短期間で肝硬変を起こすという、たいへん恐ろしい病気なのです。
発症のメカニズムなど、まだ詳細はよくわかっていませんが、
メタボリックシンドロームが大きな下地になっていることは間違いありません。
「肥満・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高血圧」のある人は脂肪肝を起こしやすく、
また脂肪肝にそれらの生活習慣病が加わると、NASHへ移行する可能性が高まるのです。
NASHは、その脂肪肝というベースの上に、さらに「第二の因子」が加わることで、発症するといわれます。
専門的になりますが、具体的には次のようなものがあげられています。

活性酸素によって脂質が過剰に酸化され、酸化ストレスが起こる
内臓脂肪から分泌されるサイトカインによって、肝臓の炎症が広がる
肝臓に鉄分が過剰に蓄積されている

いずれにしても、脂肪肝を、単なる肝臓の肥満と軽く考えてはいけません。
恐ろしい肝臓病への注意信号だと、しっかり認識する必要があるのです。
NASHへの進行を防ぐためには、脂肪肝の段階できちんと治しておくことが肝心です。
「症状がないから」「面倒だから」と、
何の手立ても講じずに放置しておくことこそ、一番の危険因子だといえるでしょう。

脂肪肝はあなたの努力で治る

肝臓は「沈黙の臓器」とよばれるように、
初期の段階では無症状のことが多く、異常に気づきにくいものです。
それだけに、定期健診で脂肪肝が疑われたら、
早期に消化器科などを受診して、詳しい検査を受けるようにしましょう。 検査ではまず、飲酒の習慣や生活習慣病の有無を確認します。
とくに病気がなくても、BMIや、メタボリックシンドロームの基準であるおへそ周りによって、
内臓脂肪型肥満に該当する方は、NASHを発症する可能性が高いとされており、充分な注意が必要です。
さらに、血液検査と超音波(エコー)検査で、脂肪肝の有無や肝炎かどうかを調べます。
NASHの危険性はあるものの、脂肪肝自体は治療しやすい病気だといえます。
そのキーワードは、ズバリ「減量」です。
食事から摂っているカロリーを減らす、飲酒の量を減らす、体重を減らして肥満を解消するなど、
原因となっている生活習慣を改善すれば、肝臓に蓄積された脂肪も減量され、
元の健康な状態に戻ることができるのです。
そのため治療の基本は、食事療法と運動療法による生活改善です。
医師の指導を受け、じっくりと取り組む姿勢がとても重要になります。
これを飲めば脂肪肝が治るというような、特効薬はありません。
恐ろしい肝硬変を未然に防げるかどうかは、
脂肪肝を治そうというあなたの努力にかかっていることを、ぜひ忘れないでください。

脂肪肝の検査と診断
内臓脂肪型肥満のチェックと生活習慣

BMI(肥満指数)が25以上か。 計算式:体重÷(身長[m]×身長[m])
おへそ周りの腹囲が男性:85cm以上、女性:90cm以上か。
飲酒の習慣があるか。 量や飲酒歴はどれくらいか。

血液検査

ALT(GPT)、AST(GOT) 肝臓の炎症の状態を調べる。
γ(ガンマ)GTP アルコール性肝障害を調べる。
血小板 肝臓の線維化を調べる。
他にコリンエステラーゼ、総コレステロール、中性脂肪。

超音波検査

脂肪肝だと、肝臓が白っぽく見えて、コントラストがはっきりする。

※その他、必要に応じてCT検査や、肝臓の細胞を直接調べる肝生検が行なわれることもある。

脂肪肝を改善する生活習慣
食事編

1.自分の適正エネルギー量を守る
カロリーオーバーの解消には、
自分の適正エネルギー量を計算し、それに見合った食事を摂るようにする。
標準体重=身長[m]×身長[m]×22を算出し、
それに25kcalを掛けると適正エネルギー量がわかるので、1日分の目安にする。
2.脂肪の摂取量を減らす
揚げ物や、肉などの動物性脂肪を摂リすぎないようにする。
3.糖質の摂取量を減らす
菓子類や果物、清涼飲料はもとより、
ご飯、パン、麺類などの主食にも注意。腹八分目を心がけよう。
4.食物繊維をたっぷり摂る
野菜や海藻類は、低エネルギーで満腹感が得られ、
便秘の解消にも役立つ。(便秘は肝臓に負担がかかる)

運動編

有酸素運動を毎日続ける
運動は20〜30分続けないと、脂肪の燃焼にはつながらない。
ウォーキング、水泳などを、きつくない程度に続けるのが効果的。

その他

1.禁酒する
アルコールは、中性脂肪を増やす直接的な原因になるばかりでなく、肝臓にも大きな負担をかける。
2.極端なダイエットは避ける
極端なエネルギー制限で、たんぱく質不足になると、逆に脂肪肝の原因ともなる。
減量は1か月に1〜2kgを目安に。