伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

二つの子宮がん

子宮がんの種類 婦人科のがんで、最も多い「子宮がん」
この罹患率は、子宮がん全体のものですが、
子宮がんには2種類あり、それもまったく違う性質のがんなのです。
以前に比べ、子宮頸がんの死亡率は大きく減少し、
一方、子宮体がんの死亡率は急増しています。
また、10年ほど前から、
子宮頸がんの発生率は、若年層を中心に増えているというのです…
今回はこの2つの子宮がんを、それぞれにみていきましょう。

子宮頸がん

「治るがん」になったが…

子宮の入り口部分の子宮頸部にできるがんが、子宮頸がん(以下、頸がん)です。
かつては、子宮がんの9割は頸がんが占めていました。
ところが、子宮体がん(以下体がん)が著しい増加傾向にあり、
現在は、頸がん:体がんの割合は、ほぼ6:4にまで変わっているといわれています。 また、頸がんの死亡率は大幅に低下しましたが、
その理由のひとつとして、集団検診の普及が大きいといえます。
頸がんの検診については、比較的簡単に検査ができることから、
市区町村の自治体が費用を助成したり、
職場での定期健診に取り入れられるといったことで広がりました。
その結果、早期発見・早期治療の効果が高まったのです。
こうして、今や「治るがん」ともなった頸がんですが、死亡率が下がった一方で、
近年、発生率は上昇傾向ともいわれています。

原因とハイリスクのタイプ

頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)という
ウイルスの感染が引き金になっていることが、ほぼ確実とみられています。
HPVは、性交渉によって成人女性の大半が
一度は感染するといわれる、ありふれたウイルスです。
ですから、HPVに感染しても症状などはなく、
ウイルス感染がイコール頸がんになるということではありません。 HPVのなかでも、頸がんの原因になる型があり
そのHPVに感染し、そこに何らかの要因が加わることで、発がんすると考えられます。
その要因とは、他の性感染症、免疫力の低下、喫煙など、さまざまです。
さらに、頸部の細胞組織が、
外からの刺激によって傷つけられることも、要因になるといわれています。
したがって、頸がんになるリスクが高いのは、
1.性体験が早い・多い
2.性的パートナーが多い・多かった
3.妊娠・出産回数が多い
という人で、年齢は30〜40歳代が最も多くなっています。
しかし、性交渉をもつようになれば、
たとえ10代でも頸がんになる危険性が生じます。
近年は、20歳代で頸がんが見つかるケースが急増しており、発症年齢が若年化しています。
※性交とは無関係に発生する頸がんもあります

症状と治療

頸がんの初期は、ほとんど無症状です。
したがって早期のうちに発見するには、定期的にがん検診を受けることが不可欠なのです。
がんが進行していくと、
月経時以外の出血(不正出血)や性交時の出血といった自覚症状が現われます。
しかし、無症状のまま進行していくこともめずらしくありません。 治療法は、がんの進行度はもちろん、将来出産を望むかどうかによっても、異なってきます。
当然、早期がんであるほど治療の選択肢が増えます。
主流となっているのは外科療法で、
早期がんなら頸部の一部だけ切除し、妊娠・出産が可能な状態にできます。
もう少し進んでしまうと頸部をすべて切除しますが、
体部と膣をつなぎ合わせて妊娠・出産に成功した例もあります。
進行がんでは、子宮全体を摘出し、進行度によっては卵巣や膣の一部、リンパ節を切除します。
外科療法の前や後に、放射線療法や化学療法(抗がん剤)を行なうこともあります。

検査

一般の、住民検診や職場の健診で行なわれる子宮がん検診は、頸がんの検査です。
綿棒やブラシのような器具で、子宮頸部の表面の細胞を採取します。
痛みはほとんどなく、1〜2分で終わります。
この細胞を顕微鏡で調べ、診断します。(細胞診)
短時間ですむ楽な検査ですから、
年齢にかかわらず、性交渉の経験がある人は定期的に、頸がん検診を受けましょう。

進行期分類
0期 I期 II期 III期 IV期
IVa期IVb期
頸がん 進行期分類
がんは表層上皮に
とどまっている
上皮から
下の組織まで
広がっているが頸部に
とどまっている段階
頸部を越えて
周囲に
広がっている段階
骨盤壁や
膣の下1/3まで
広がった段階
膀胱、腸など
子宮に隣接
した場所に
がんが広がる
子宮から
離れた
場所にも広がる

子宮体がん

なぜ増えてきたのか…

以前は日本では少なかった、子宮体がん(以下、体がん)は、徐々に増加を続け、
現在は子宮頸がん(以下、頸がん)とほは同等の割合を占めています。
さらに、検診によって早期に発見されるケースが多い頸がんに比べ、
体がんは発見が遅れるケースが目立ちます。 体がんは、子宮体部の内側をおおっている子宮内膜から発生します。
そのため、子宮内膜がんともよばれます。
子宮内膜は、女性ホルモンのエストロゲンの働きで増殖し、
妊娠しなければはがれ落ちて排出される(月経)ことをくり返しています。
このようなエストロゲンの影響が過剰になると、
内膜が異常に増殖することがあり、これが発がんの引き金になるといわれています。
つまり、体がんの発生や進行には、エストロゲンの影響が大きいと考えられるのです。
妊娠・出産の経験がないほど、月経の回数は多くなり、それだけエストロゲンに長期間さらされることになります。
そのため、晩婚・少産傾向にある現代女性のライフスタイルの変化が、体がん増加の理由のひとつと思われます。
またエストロゲンは、脂肪細胞で活性化されるので、
脂肪分の多い食事、いわゆる食生活の欧米化も、増加の原因と考えられます。
※エストロゲンに関係なく発生する体がんもあります

ハイリスクのタイプ

これらの原因から、体がんになるリスクをまとめると、 1.未婚
2.妊娠・出産経験がない(少ない)
3.肥満体質
4.高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病がある
5.子宮内膜症
という人になります。 年齢は、50〜60歳代に発生することが多く、閉経前後の女性ホルモンのバランスが崩れやすい時期が危険です。
女性ホルモンの分泌がなくなる閉経後にも発生する率が高いのは、
脂肪細胞に男性ホルモンをエストロゲンに変える働きがあるからです。
しかし、最近は40歳代、30歳代の体がんも増えており、発症年齢は若年化傾向にあります。
目安として、初経から20〜30年後が、体がんが発生しやすい年齢と考えましょう。

症状と治療

体がんは、頸がんと比べると、自覚症状が現われるケースが多いようです。
たいていは月経時以外の出血(不正出血)がみられます。
閉経してからの不正出血を、月経がぶり返したと勘違いする例もよくあります。
また、おりものの量が多くなったり、強いにおいがするといった変化も起こることがあります。
しかし、初期のがんは基本的に無症状と考えたほうがいいでしょう。
症状をあてにせず、まず定期検診を受けることが、病気の予後を左右します。 治療は、患者さんが将来出産を望むかどうかという希望も考慮しますが、基本は子宮摘出の外科療法です。
外科療法だけではむずかしい状態であれば、
放射線療法や化学療法(抗がん剤)を手術と組み合わせて行ないます。
また、体がんに大きな影響を与えるエストロゲンを抑制するため、
プロゲステロンという女性ホルモンを大量・長期服用する方法(ホルモン療法)もあります。

検査

子宮の奥に、ブラシやループがついた器具を挿入したり、
細いチューブを入れて吸引したりして、子宮内膜の細胞を採取します。
個人差はありますが、多少の痛みや出血を伴うことがあります。
この細胞を顕微鏡で調べます。(細胞診)
また、子宮内膜の厚さや状態を調べることができる経膣超音波検査というものがあります。
体がん検診に含まれている場合もありますが、同時に受けておくとよいでしょう。
体がんの検査は、一般の住民検診などでは行なっていません。
しかしこの検査では、子宮だけでなく卵巣の異常などもわかります。
30歳を過ぎたら、年に一度は体がん検診を受けましょう。

進行期分類
0期 I期 II期 III期 IV期
IVa期IVb期
体がん 進行期分類
がんになる前の
子宮内膜異型増殖症
という状態
がんが
子宮体部のみに
とどまっている段階
体部から頸部まで
広がっている段階
子宮外に広がるが
骨盤を越えていない
または
リンパ節に移転している
膀胱、腸など
子宮に隣接
した場所に
がんが広がる
子宮から
離れた
場所にも広がる