伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

病的な疲労感 慢性疲労症候群

疲れた…
という感覚は、心身が休息を必要としているときに現われる生理現象です。
しかし、「その日の疲れはその日のうちにとる」ことが簡単にできない現代。
慢性的に疲労感があると感じている人が、最近では若者や子どもにも目立ちます。
もし、あまりにも疲労感が強く、
日常生活を送ることさえつらいという場合、それは「慢性疲労症候群」かもしれません。
患者さんにとってつらいのは症状だけでなく、この病気が周囲に理解されにくい現実も、重くのしかかってきます。

「休憩して」身体のシグナル

慢性的な疲れでみられる症状 一日の終わりに「今日は疲れた」と感じることは、よくあります。
それには、肉体的な疲れ、精神的な疲れ、
さまざまな疲れがあります。
疲れは、決してネガティヴなものだけではなく、
脳への刺激や快眠を得るためにも、適度に必要なものです。
しかし、その疲れが回復されないまま、
日々蓄積されると、いろいろな不定愁訴が現われてきます。
「疲れた」と感じた時、
それは「休息が必要」というシグナルを、身体がだしているのです。
右図のような症状がでる前に、
自分に合った疲れを癒す方法を見つけ、心身を休めたいものです。
ただし、このような疲れとは同一にできない、激しい疲労感が続く病気があります。
それは、最近注目されてきた「慢性疲労症候群」です。

立っていることもつらい 極度の疲労感

慢性疲労症候群はCFS(Chronic Fatigue Syndrome)といわれることもあります。
症状は、個人によってさまざまですが、強い疲労感、全身倦怠感が共通しています。
そしてそれは、一晩あるいは休日に、眠ったり休んだりしても回復する疲れではありません。
通勤、通学、家事などを続けることが非常に困難になり、
症状が重い時は、数分間立っていることや箸を持つことさえ、つらくなることもあります。
そんな症状が、何か月も何年も続いたり、再発をくり返すのが、慢性疲労症候群です。

疲労感に伴う諸症状 また、疲労感に伴って右図のような症状がみられます。
この11項目は、
慢性疲労症候群の診断基準の一部を簡単にしたものです。
前述のような強い疲労感が半年以上続くうえに、
11項目のうち8項目以上に該当する場合は、
慢性疲労症候群の疑いがあります。

他に疑われる病気 ただし、これらの症状がみられる疾患は他にもあり、
まずは疑われる病気について、
細かく調べる必要があります。
内科で異常がなければ、精神神経科での診察も必要です。
慢性疲労症候群と診断するには、
あらゆる検査で異常がみられないことを、確認しなければなりません。
そのため、病名が判明するまで時間がかかります。
何年もの問、何の病気かわからず、悩み続ける患者さんも少なくありません。
そのような場合、長い間病名もわからず、
また症状のつらさなどを周囲に理解してもらえないことから、
抑うつ症状がでるケースもあります。
逆に慢性疲労症候群という病名がわかるだけでも、
気持ちが楽になることも多いようです。

原因不明? 身体にはこんな異常が

慢性疲労症候群という病名は、1980年代にアメリカでつけられました。
日本では1990年代に入って注目され始めましたが、
発症率が高くないこともあり、病気としての認知度は低いほうです。
また、病気の原因もいまだ不明です。
ただし、発症のきっかけとなる誘因は、いくつか考えられています。 一つは、ウイルス・細菌の感染です。
かぜや下痢が悪化したことが、発症のきっかけとなっているケースや、
集団で発生した事例があることから、
ウイルスや細菌の感染症が、発症の誘因になるのではないかという説があります。
また、精神的なストレスも、深く関係しているようです。
ストレスは誰でも感じているものですが、
慢性疲労症候群の患者さんに対して、
ストレスとなっている環境や出来事をくわしく調べてみると、
健康な人よりも多かったというデータがあります。
他にも、アレルギー、ホルモン異常、代謝異常、
遺伝的背景などが関係している可能性も考えられています。
ただ、いずれも病因とするには確定できない点があるため、現在も研究が続けられています。
慢性疲労症候群のメカニズム(仮説図) しかし一方で、
慢性疲労症候群のメカニズムは
徐々にわかってきています。
慢性疲労症候群では、免疫力が低下し、
ホルモンのバランスや
自律神経のバランスが崩れてしまいます。
免疫系、内分泌系(ホルモン)、神経系の3つは、
ネットワークで結ばれながら均衡を保つことで、
心身の健康を維持しています。
そのため、どれか1つでも異常をきたすと、
他の2つも正常に働かなくなります。

慢性疲労症候群の患者さんを詳しく検査してみると、
たとえば免疫系では、異物を攻撃するための免疫物質が増加しています。
その影響で、内分泌系では疲労を回復するホルモンなどが減少しています。
また、これらの影響を受けて、脳の神経伝達物質の働きも弱まります。
その結果、多岐にわたる症状を引き起こすと考えられています。

どんな治療? 対症療法で時間をかけて

原因が不明なため、治療法は確立していません。
まずは、それぞれの患者さんにとってつらい症状を、薬物療法で緩和します。
漢方薬やビタミン剤を中心に、向精神薬や消炎鎮痛剤なども、症状に合わせて処方されます。
しかし薬物療法だけでは、根本的な治療にはなりません。 患者さん自身が、ストレスをうまく解消できるような生活が送れるようにならなければ、
再発をくり返すことになります。
そのため、認知行動療法や運動療法なども有効だといわれています。
さらに、アロマテラピーなどのリラクゼーション法を生活に取り入れるなど、
生活習慣を見直すことも効果があります。
ストレスに強くなる習慣 治療を始めればすぐに治る、という病気ではないので、
少しずつ元の生活に戻すつもりで治療を続けます。
慢性疲労症候群の患者さんは、
完ぺき主義者であるなど、
ストレスを人一倍強く感じる性格の傾向があります。
治療には何年もかかることがありますので、
「なかなか治らない」と思いつめないで、
「去年よりもこれだけ良くなった」と
前向きに考えるようにしましょう。
慢性疲労症候群の発生率は、
日本では1000人に1〜3人の割合です。
不定愁訴があっても
ほとんどは慢性的な疲れで、病気ではありません。
まずは、しっかりと生活のリズムを整え、休息をとることで改善できると思ってください。
逆に、原因不明の病的な疲労感が続いているという人は、専門医のもとで検査を受けてみるとよいでしょう。