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正しく理解して再発を防ぐ 胃・十二指腸潰瘍

胃潰瘍は十二指腸潰瘍とともに、胃腸疾患のなかではよく知られている病気です。
すでに有効な薬も開発されていますが、一方で再発をくり返すという特徴があり、
患者さんには文字どおり「胃が痛む」思いかもしれません。
では、その原因はどこにあるのか?
再発を防ぐにはどうしたらいいのか?
ズバリ、「胃の痛み」を解消するためのポイントをみていきましょう。

胃液が胃壁を傷つける

胃・十二指腸潰瘍の進行

ご存じのように胃の働きは、食べ物を消化すること。
そのために胃は、胃酸や消化酵素のペプシンを含む胃液を分泌していますが、
その消化力は、自分自身(胃の粘膜)を溶かしてしまうほど強力です。 そこで一方では、胃液の「攻撃」によって傷を受けないよう、
粘液を分泌して粘膜の表面をガードしたり、粘膜の抵抗力を高めたりして、自らを「防御」しているのです。
通常は、この仕組みがうまく働き、胃の粘膜は健康な状態を保っています。
しかし、さまざまな原因によって、攻撃力が強くなったり防御力が弱まったりすると、
粘膜は障害を受け、胃液によって深い傷(組織の欠損)を負ってしまいます。
これが潰瘍で、できた場所によって胃潰瘍と十二指腸潰瘍に分類されます。
十二指腸潰瘍は、胃液が過剰に分泌され、胃酸が十二指腸まで流れこむことで起こります。
その多くが胃に近い部分で発症するのは、そのためです。
代表的な症状は、みぞおちの痛みで、「シクシク痛む」「キューッと痛む」などと表現されます。
痛みは空腹時や夜間に起こりやすく、とくに十二指腸潰瘍でこの傾向は強いといえます。
その他に、胸やけや吐き気を覚える場合もあります。
潰瘍がすすんで、傷ついた粘膜から出血すると、
黒っぽい色の血を吐いたり(吐血)、コールタール状の黒い便が出る(下血)などの症状がみられます。
出血量が多いと、血圧が急低下してショック状態に陥ることもあるため、緊急の治療を要します。
また、さらに潰瘍が深くなると、胃や十二指腸に穴があく穿孔が起こり、
耐えがたい腹痛とともに、命にもかかわる腹膜炎を併発する危険性があります。
いずれの場合にも、急いで病医院を受診してください。

ピロリ菌を疑え

胃・十二指腸潰瘍を起こす誘因としては、次のようなものが挙げられます。

ストレス
暴飲暴食
喫煙
過労
薬の服用(とくに非ステロイド系消炎鎮痛薬)
からい、熱いなど胃を刺激する食べ物

ピロリ菌と胃の粘膜 ことにストレスとは関係が深く、
胃の働きをコントロールする自律神経が乱れて、
一夜のうちに潰瘍ができるというケースもあります。 しかし近年では、胃の粘液中に住みつく
ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)が、
密接に関与していることが明らかとなったのです。
胃の中は、分泌された胃酸によって、
非常に強い酸性になっています。
そこでピロリ菌は、中性に保たれた胃粘液の中に住むと同時に、
自らもアルカリ性のアンモニアを作ることで
中和し、胃酸から身を守って生息しています。(右図)
ピロリ菌に感染すると、
絶えずピロリ菌の出すアンモニアや毒素にさらされることになり、
胃の粘膜には慢性的な炎症が生じます。
この慢性胃炎の状態が続くと、
さらに粘膜が硬く薄くなる萎縮性胃炎へと進行し、
血流が悪くなって、粘膜の抵抗力はどんどん弱まってしまいます。
こうした萎縮性胃炎が下地となり、
そこにストレスや暴飲暴食などの誘因が加わることで、
胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こるのだと考えられるようになったのです。
事実、胃潰瘍の患者さんの70〜80%、
十二指腸潰瘍の患者さんでは90%以上の人が、ピロリ菌に感染していたというデータもあります。
もちろん、ピロリ菌に感染した人のすべてが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるわけではありません。
日本では、約6000万人の感染者がいると推計されますが、
実際に潰瘍を発症しているのはそのうち2〜3%の人だといわれています。
しかし一方で、ピロリ菌が生き続けている限りは、
萎縮性胃炎によって潰瘍を起こしやすい状態がつねに続いているわけで、
胃・十二指腸潰瘍が一度治っても再発をくり返すのは、ピロリ菌の存在にあるといえるのです。
潰瘍を起こした人が、治療によってピロリ菌を完全に除去した場合、
胃潰瘍で80〜90%、十二指腸潰瘍では90%以上、再発を防げたという調査結果も報告されています。
胃・十二指腸潰瘍を発症し、ピロリ菌の感染が認められた場合には、
根本的な治療法として、ピロリ菌を除菌する方法(除菌療法)が効果を発揮します。
胃・十二指腸潰瘍の治療の一環であれば、健康保険も適用されますので、
再発をくり返す、治りにくいなどで悩んでいる方は、かかりつけ医とよく相談してみましょう。

きちんと薬を飲み お腹にやさしい生活を

胃・十二指腸潰瘍は、症状だけで判断するのはむずかしく、
胃エックス線検査や胃内視鏡検査による診断が必要です。
現在は、比較的小さな病変でも発見でき、
さらには胃がんなど他の病気と鑑別するうえでも、
初めから内視鏡検査を行なうケースが徐々に増えてきています。 また、ピロリ菌感染の有無を調べる検査でも、内視鏡を使う方法があります。
まず内視鏡で胃の粘膜の一部を採取し、その組織を、
●培養して調べる培養法
●検査薬を使って色の変化で調べる迅速ウレアーゼ試験
●顕微鏡で調べる組織鏡検法
などがそれです。
その他に、
●血液や尿から検出する抗体検査や、
●検便の要領でできる抗原検査、
●検査薬を飲んだ後の吐いた息を採取して調べる尿素呼気試験法などがあります。
近年の治療薬の進歩によって、
胃・十二指腸潰瘍のほとんどは、薬物療法で治療することが可能です。
使われる薬は、H2ブロッカーかプロトンポンプ阻害薬のいずれかで、
胃粘膜の最大の敵、胃酸の分泌を抑え、潰瘍を治します。
これらに加えて、粘膜を保護する薬や血流を高める薬を併用するのが、一般的です。
薬を飲み始めると、数日で痛みなどの症状はとれてきますが、
そこで服薬を止めてしまうと、再発をくり返す原因となってしまいます。
傷が完全に治るまでは胃潰瘍で約8週間、十二指腸潰瘍で約6週間を要します。
その間は医師の指示どおりに、服薬を続けることが肝心なのです。
それとともに、ピロリ菌の感染が陽性であれば、除菌療法が再発防止にたいへん有効です。
前出のプロトンポンプ阻害薬と、その他に2種類の抗菌薬、計3種類を1日2回、7日間飲み続けます。
この期間に、下痢や軟便、味覚異常などの副作用が現われることがありますが、
ほとんどは治療が終了すれば治まるものです。
治療後1ヶ月ほどで再度検査をし、ピロリ菌の有無を確認します。
除菌の成功率は80〜90%といわれています。
そしてもう1つ、胃・十二指腸潰瘍の再発を防ぐポイントは、
ご自分の食生活や生活習慣を見直してみることです。
日頃の生活ぶりをかえりみて、前述した発症の誘因となるような要素はなかったでしょうか?
治療によって回復しても、以前と同じことをくり返せば、当然再発を招きやすくなるはずです。
ストレス、暴飲暴食や喫煙、不規則な生活など、
胃に負担をかける要因をできるだけ避けることも、再発防止には不可欠です。
そして、これまで無理を強いてきた分、胃にやさしい生活を、ぜひ心がけていきましょう。

習慣にしよう 胃にやさしい生活
1日3食規則正しい食事を

胃がカラッポの時間が長びくと、胃液が直接粘膜に作用し、障害を与えやすくなる。
さらに、抜いた分を他の食事で補おうとし、食べすぎてしまうことにも。

充分に睡眠をとる

休養・睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、胃の働きに悪影響を及ぼす。
また夜中に食べるなど、食生活の乱れにもつながる。

暴飲暴食をさける

入る量が多ければ胃液の分泌も増え、粘膜には過酷な状態となる。
また、香辛料やコーヒー、アルコールなど
刺激の強いものや、塩分の多い食事、脂っこい料理、極端に熱い・冷たいものも、胃への負担大。

禁煙しよう

タバコに含まれるタールは、血管を収縮させ、胃の粘膜の血流を妨げて、抵抗力を弱める。

よく噛んでゆっくり食べる

口のなかでよく噛み砕けば、唾液の分泌も盛んになり、消化の手助けになる。
また満腹感も得られやすい。

ストレスを上手に解消

ストレスは胃のトラブルの元凶。
趣味や運動の時間を上手にとり、リラックスタイムを設けよう。
「ほどほどに、気楽にいこう」と発想転換するのもよい。