伊豆に暮らす

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大人の喘息

喘息というと、子どもの病気と思われがちですが、実は大人になってから発症する喘息も多いのです。
喘息は、発作によって呼吸困難になり、命を落とすこともある病気です。
以前よりも減ってはいますが、現在でも年間約3000人が喘息で亡くなっており、
決してあなどってはいけない病気なのです。

年齢を問わない病気

皆さんは、喘息を患っている大人は、みな、小児喘息が大人になっても治っていないものと思っていませんか?
実は、成人の喘息患者の約7割は大人になってから発症したケースで、40〜50歳代が発症しやすい年齢なのです。
喘息の患者さんは、40年前には小児・成人ともに人口の約1%でした。
しかし現在は、小児で7〜8%、成人では3〜4%と増加しています。
合計の患者数は300〜450万人と推定されますが、治療を受けている数は、この4分の1ほどといわれています。 喘息は、悪化すれば命に関わることもあり、放っておくと非常に危険な病気です。
自然に治るケースはごくまれで、継続した治療と自己管理が重要です。
また、喘息の症状は多様ですが、中高年になると間違えやすい病気も多くなります。
せきや痰が続くなどの症状は、自己判断をせず、適切な診察を受けてください。

気道の慢性的炎症

喘息は、気道(とくに気管支)が炎症を起こし、内腔が狭くなって呼吸がしづらくなる病気です。
炎症を起こす原因はさまざまですが、
半数以上はダニ、ほこり、花粉などのアレルギーによって引き起こされるタイプです。 しかし大人の喘息には、アレルギーは関与していないタイプも多く(小児喘息は90%がアレルギー性)
その場合、かぜなどのウイルスの感染、タバコの煙、大気汚染物質、一部の薬物などが原因として挙げられます。
喘息が発症すると、気道が慢性的に炎症を起こしているため、通常の気道よりも空気の通り道が狭くなります。
また少しの刺激にも敏感になり、ハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)や
タバコの煙、冷たい風といった、通常なら何でもない刺激にも敏感に反応し、炎症が悪化します。
すると、気道はますます狭くなり、空気が通らなくなるために「喘息発作」が起こります。
発作にも軽いものから重いものまであり、軽い発作ではかぜと間違えられることもありますが、
重症の発作は呼吸困難になるほどです。
発作が治まれば呼吸も楽になりますが、発作を繰り返すうちに気道はさらに過敏になり、
発作→炎症が悪化→気道が過敏になる→わずかな刺激でも発作、という悪循環に陥ります。
このようにして、喘息は重症化し、さらに治療を怠ると、肺機能の低下や難治性の喘息になるおそれがあります。

炎症と発作を抑える治療薬

喘息の特徴として、発作が起こらない時は、自覚症状もなく呼吸も普通にできます。
そのため、20〜30年前までの喘息の治療は、発作が起きた時にそれを鎮める、対症療法が中心でした。
しかし、気道に慢性的な炎症があるとわかった現在では、
この炎症を抑え発作を起きにくくする薬(コントローラー)を使うことが、治療の基本になりました。
そのうえで、発作が起きた時は気道を広げる薬(リリーバー)を併用し、発作による悪循環を断ち切ります。

炎症を抑える 長期管理薬(コントローラー)

日常的に使うことで、気道の炎症を改善し、発作を予防します。
中心になるのは吸入ステロイド薬で、炎症を抑える作用に非常に優れています。
その他重症度によって、抗アレルギー薬や長時間作用の気管支拡張薬などを併用することもあります。
これらには内服薬や吸入タイプがあります。

発作を鎮める 発作治療薬(リリーバー)

おもに、短時間作用性β2(ベータツー)吸入刺激薬という、気管支拡張薬を用います。
即効性があり、速やかに気道を広げて呼吸を楽にします。
この他にも抗コリン薬やステロイド薬があり、吸入以外でも内服薬や注射薬があります。

どちらの薬も、片方だけを使ったのでは喘息は改善しません。
コントローラーをしばらく使い続けると、発作の頻度は確かに減ってきますが、
実は喘息の治療の落とし穴は、ここにあります。 発作が起きなければ、通常の生活に何の支障もありません。
そのため、患者さんは治ってきたと油断して、薬を減らしたり中止したりしてしまうのです。
しかし、この状態は一時的なもので、不充分な治療はかえって病状を悪化させることになります。
喘息は慢性の病気ですから、長期間の治療が必要です。
担当医が判断するまでは、必ず指示どおりに薬を使用してください。
また、コントローラーとリリーバーは使う回数などが異なりますから、間違えないように注意しましょう。
吸入薬は、正しく吸入できないと効果が得られませんから、
わからない時や症状が変わらない時は、担当医や薬剤師に相談してください。

前向きに根気よく

喘息のコントロールは、薬物療法+日常管理+病気についての理解の三本柱で、
健康な人と変わらない生活をすることが可能になります。
そしてそれが喘息治療の目標でもあります。 自宅では、「喘息日誌」をつけたり、
ピークフローメーター(一度に吐き出される呼気の量を測る器具)を使うことで、
治療の成果を上げていけます。
何事も「しなければいけない」と気負わず、
普段から、発作を起こしやすい状況を避け、それを習慣にすることです。

かぜ薬が発作を起こす? アスピリン喘息

非ステロイド性の解熱鎮痛剤などによって、喘息を発症したり発作が誘発されたりすることがあります。
誘発物質のひとつがアスピリンであることから、
これを「アスピリン喘息」といい、大人の喘息の約1〜2割にみられます。 解熱鎮痛剤などを内服すると、2時間以内に発作が起こり、ときには大発作になることもあります。
アスピリン以外でも、同じような作用の薬で発作が誘発され、
内服薬に限らず、坐薬、貼り薬でもみられます。
また、一部の食品添加物、着色料にも反応することがあります。
かぜ薬・痛み止め・消炎剤などを内服したり貼ったりして、
発作が起きたことがあったら、今後は絶対に使用しないでください。
また、医師にも必ず伝えてください。

吸入ステロイド薬は特効薬

喘息の治療では日常的に使うことが多い、吸入ステロイド薬。
しかし「ステロイド」と聞くだけで、使用することに不安を感じる人も少なくありません。
喘息のステロイド薬には、吸入タイプ以外に、
内服薬や注射薬があり、これらは全身に抗炎症作用を発揮する全身性のステロイド薬です。
この場合は、高用量を長期間使用すると、全身性の副作用が心配されます。 しかし、吸入ステロイド薬は気道に直接到達するので、少量でも高い効果が得られます。
薬の量としては、内服や注射に比べると1000分の1ほどですみます。
高用量を長期間使用することも通常はありません。
副作用としては、声がれ、口腔カンジダ症がみられることがありますが、
これは吸入法の改善や吸入後のうがいなどで防ぐことができます。
吸入ステロイド薬は、現在の喘息の治療薬では最も有効とされています。
むしろ、むやみに副作用を怖がるあまり、指示どおりに使用しないことで
喘息が悪化することのほうが、はるかに危険です。
即効性はないので、1週間から10日ほど吸入を続けないと、効果が実感できませんが、
それでも症状が改善しなかったり、気になる症状が現われたりした場合は、担当医に相談しましょう。