伊豆に暮らす

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下肢静脈瘤を治しませんか?

高齢化に伴って、増えている病気はさまざまです。
今回採りあげる下肢静脈瘤もその一つです。
あまり聞きなれない病気ですが、50歳以上の女性の半数に、下肢静脈瘤があるといわれています。
中高年の、とくに女性の方、ふくらはぎや脚の裏側を見てみてください。
青い静脈が膨らんでいませんか? それが下肢静脈瘤です。
外見上なら隠せばいいと、治療をしない方も多いのですが、
進行性のこの病気は、重症になると重い皮膚症状を起こすこともあります。
脚のむくみやだるさを感じる方は、もう一度、脚をチェックしてみましょう。

脚の静脈にコブが? 中高年の女性は要チェック

下肢静脈瘤 血管には動脈と静脈があり、
動脈は心臓から送り出される血液が通り、
静脈は逆に心臓に戻る血液が通ります。
なかでも下肢、つまり脚の静脈は、
身体の最も下に位置します。
ここから心臓へ血液を戻すには、
重力に逆らって
血液を下から上げなくてはいけません。 下肢の静脈を血液が通るときは、
運動時の筋肉の伸縮が
ポンプ替わりになりますが、
この伸縮運動は
つねに行なわれているわけではありません。
そのため、いったん押し上げられた血液が下がってこないように、静脈には一定の間隔で弁がついています。
図のように弁は、下からの血液を通し、上からは流れない仕組みを作っているのです。
しかし、さまざまな理由でこの弁が壊れてしまうことがあります。
すると血液の逆流が起こり、静脈血が血管に溜まります。
そのため、血管が瘤(コブ)のように膨らんだり、蛇行した血管が盛り上がったりして、皮膚の表面に浮きでてきます。
これを下肢静脈瘤といいます。
下肢静脈瘤は、無症状の場合も多い疾患です。
また症状があっても、長い年月の間に少しずつ進行するので、
身体が慣れてしまい、気づかずに過ごしていることもよくあります。
そのため、あまり知られてはいませんが、実はとても多い病気なのです。
とくに中高年に多く、約7:3の割合で、男性より女性に圧倒的に多くみられます。
50歳以上の女性では、約半数に下肢静脈瘤があると考えられます。
女性に多い理由としては、妊娠・出産が静脈瘤を生じさせるケースが多いという点が挙げられます。
妊娠すると、大きくなった子宮によって下腹部が圧迫され、静脈内の圧力が高まり、
血管の弁に負担がかかって壊れてしまうことがあるのです。
さらに、女性ホルモンの影響で血管が広がりやすくなるのも一因です。
その他、店員・調理師・美容師などの立ち仕事をしていると、
血液を押し上げる筋肉の伸縮が少ないため、血液が静脈に溜まりやすくなります。
すると弁に負担がかかるので、下肢静脈瘤ができやすくなります。
また、もともと血管の弁が壊れやすい遺伝的体質もあり、
これに先の要素が加わることで発症するとも考えられています。

見た目や症状はいろいろ 4つのタイプの特徴

下肢静脈瘤の4タイプ 静脈瘤ができる場所によって、
外見上の見え方は違います。
おもに右図のような
4タイプに分けられますが、
これらは単独で起こるよりも、
複数のタイプが
混在していることが多いです。 下肢静脈瘤は、
直接的に命に関わる病気ではありませんが、
少しずつ進行し、
自然に治るということはありません。
症状はとくに感じないことも多く、
急いで治療する必要はない場合もあります。
しかし、下肢静脈瘤ができると、静脈血のうっ血によって、次のような症状がよく現われます。
 ・脚がむくむ ・脚が疲れる ・脚がほてる ・脚がだるい、重い
 ・脚が痛む ・寝ている時に足がつる(こむら返り)
さらに悪化すると、脚に
 ・かゆみ ・皮膚炎や湿疹 ・色素沈着が現われます。
そして傷がついたりすると、血液循環が悪いため、そこから潰瘍ができることもあります。
このような状態になったら、早めに治療する必要があります。
女性の患者さんはたいてい、重症化する前に、外見の問題で受診されます。
しかし男性の場合は、見た目を気にしないせいか、重い症状がでてから受診することが多いようです。
また、見た目には血管の膨らみが目立だなくても、症状のほうが強くでる場合もあります。

どうやって治療する? 重症度やタイプによって違う治療法

下肢静脈瘤の4タイプ

下肢静脈瘤は、重症度やタイプによって、治療法がさまざまです。
治療の基本は、脚を圧迫する力が強い「弾性ストッキングの着用」です。
むくみやだるさといった症状を軽減し、静脈瘤の進行を遅らせることができます。
ただし、静脈瘤を根本的に治すことはできません。
単独でも行ないますが、他の治療法と併用することもあります。 細い血管の静脈瘤では、「硬化療法」が適用されます。
これは患者さんの負担が少ない方法ですが、太い血管には適しません。
手術療法と併用することもよくあり、単独では再発が多いともいわれています。
下肢静脈瘤の治療として最も古くから行なわれているのは「ストリッピング手術」です。
大伏在静脈など太い血管の静脈瘤に適し、確実に根治できる方法ですが、
血管の周りの神経を傷つけるなどのリスクもあります。
たいていは数日の入院が必要です。
伏在静脈の弁が壊れていると、下肢静脈のおおもとである深部静脈から血液が逆流します。
そこでこの2つの合流点をしばって、伏在静脈への血流を止めてしまう方法が「高位結さつ手術」です。
しばった後で硬化療法を行ない、切り離してしまうのが一般的です。
この他、近年はレーザーを使った治療法も進歩していますが、
症例数が少なく、行なっている医療機関は限られています。

予防できる? できやすいリスクがあったら注意

下肢静脈瘤を完全に予防することはむずかしいですが、
リスクがある人は、日常生活で下記にあることを心がけるとよいでしょう。
また、下肢の皮膚の潰瘍などが、皮膚科で治療してもなかなか治らないという場合は、
一度、下肢静脈瘤の検査を受けてみてください。
静脈瘤の治療については、できるだけ血管外科の専門医を受診することをおすすめします。

下肢静脈瘤がある人、できそうな人の毎日のケア