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これだけ知れば大腸がんは恐くない 検査と治療の基礎知識

同じ消化器のがん、胃がんの死亡率が、数十年前から徐々に下がっているのに対して、
大腸がんの死亡率は、年々増加しています。
これには、食生活の欧米化と高齢化社会という、2つの要因が影響しているといわれます。
この根強く定着している大腸がんリスクに対して、私たちができる対策とは…?

増えたのはなぜ

数あるがんのなかでも、大腸がんは、近年とくに増加していることが懸念されています。
かつては欧米人に多かった大腸がんですが、
日本人でも欧米に移住すると大腸がんが増加するとわかり、
現在は、日本と欧米の罹患率にほとんど差はなくなっています。 そして現代の日本人の食生活は、穀物や野菜の摂取量が減るのに反比例して、脂肪の摂取量が増えています。
こうした調査と食生活の変化からみて、大腸がんの増加には、食生活の欧米化が深く関係していると考えられます。

がんのおもな部位別死亡率の推移 また、大腸がんの発症が最も多い年齢は60歳代です。
次いで70歳代、50歳代と、比較的中高年に多くなっています。
つまり、高齢者が多くなれば、
それだけ発症しやすい年代の人が増えることになり、
加速する日本人の高齢化も、
大腸がんが増えた原因のひとつなのです。 発症率が上がるに伴い、死亡率も高くなっています。
部位別のがんの死亡率をみると、
女性はすでに大腸がんが1位です。
男性では今のところ4位ですが、
2015年には肝臓がんや胃がんを上回るだろうと、推測されています。

最も有効な対策

このように、まだまだ増え続けると思われる大腸がんに、私たちはどのような対策をたてればよいのでしょうか。
がんの発症を未然に防ぐことができればよいのですが、
たいていの病気と同様、「これをすれば(しなければ)大腸がんにはならない」という方法はありません。
食生活を見直し、低脂肪・高繊維の食事を心がけることは有効と思われますが、
もうひとつのリスクとなる加齢は、防ぐことは不可能です。
したがって、大腸がんに最も有効といえる対策は、他のがんと同様、早期に見つけることだといえます。
もうおわかりのように、定期検診が最も有効なのです。
大腸がんは、がんのなかでも比較的治りやすいがんです。 にもかかわらず死亡率が上がっている理由には、発症する人の増加だけでなく、
大腸がんは早期のうちは自覚症状がない、ということがあるのです。
「大腸がんになったら血便が出る」と思われている方も多いのですが、
肛門から離れたところにがんができた場合は、血便が見極められないことがあります。
また、血便も含め、自覚症状がはっきり現われた時には、たいてい、がんはある程度進行しています。
しかし、大腸がんは早期発見しやすく、また治療法はとても進歩しています。
早期がんなら、身体に負担をかけない治療法も可能です。
ですから、早期発見のため、定期的に大腸がん検査を受けることをおすすめします。
とくに、大腸がんは40代から増え始めますから、遅くても50歳を過ぎたら、年に一度は検査をしましょう。
厚生労働省の長期間にわたる調査では、
「大腸がん検診を受けた人は、大腸がんの死亡率が約7割低い」という結果がでました。
これほど大腸がんは、検診が治療の結果を大きく左右する病気なのです。
では、大腸がんを調べるおもな検査法をみてみましょう。

便潜血検査

便に血液が混じっていないかを調べます。 大便を採取するだけで、食事制限の必要もなく、
身体への負担が最も少ない、簡単な検査です。
しかし検査の結果が「陽性」の場合でも、
これだけでは大腸がんとは断定できないので、精密検査を受ける必要があります。

注腸造影検査

大腸内をエックス線で撮影します。 肛門から、バリウムと空気を大腸に注入します。
腸の狭さの程度がわかり、腸内の凹凸をチェックできるので、
盛り上がったがんやポリープを発見できます。
しかし、盛り上がっていない平坦ながんは見つけにくいという、デメリットがあります。

大腸内視鏡検査

大腸内を内視鏡で直接観察します。 肛門から入れる、細い管状の内視鏡で、
大腸全体をくわしく見ることができるので、非常に精度の高い検査です。
ポリープや小さいがんが見つかれば、その場で切除することができます。
検査時は、ほとんど痛みなどの苦痛はなく、
医師の説明を聞きながらモニター画面を見ることもできます。
ただし、検査前に2リットルの下剤を飲み、大腸内を空にしておく必要があります。

進歩した治療法

大腸がんは、たとえ進行しても、手術可能な時期であれば根治が望めます。
さらに、再発や転移があっても、手術で治すことができます。
つまり、治癒する可能性がとても高いがんなのです。
もし検査で大腸がんが見つかっても、悲観せず、がんと向き合うことが大切です。 大腸がんの治療は、手術による切除が基本ですが、
早期であれば、お腹を切らずに行なえる内視鏡を用いた治療も可能です。
化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療は、手術前後に補助的に行なうことがあります。
ここでは、がんを切除する3つの方法をみてみましょう。

内視鏡治療

肛門から挿入した内視鏡でがんを切除する方法。 がんの状態によって、2通りの方法があります。
どちらも、直径2m以内で0期のがんが対象です。

腹腔鏡手術

開腹せずに、腹部に小さな孔を開けて行なう手術。 一般に、0期かI期のがんが対象です。
腹部を数か所切開しますが、腹腔鏡や手術器具を挿入できるくらいの小さな孔です。
腹腔鏡の映像をモニターで見ながら手術をします。
切開部が小さいので、傷の痛みが少なく、術後の回復も早いのがメリットですが、
熟練した技術が必要で、開腹手術より手術時間が長くかかります。

開腹手術

最も広く行なわれている手術。 病巣と、その前後をある程度含めて切除し、腸をつなぎ合わせます。
I期からIV期まで幅広いケースに適応できます。
開腹する傷が大きいため、手術後に痛みが残りやすく、
大腸と腹膜の癒着が起こりやすいデメリットがあります。

大腸がんの病期 大腸がんの手術をしても、人工肛門を作らず、
手術前と変わらない生活ができるケースも多くなってきました。
しかし肛門を残しても、
腸を切除したことで頻便などの後遺症がでることもあります。
無理に肛門を残すよりも、
むしろ人工肛門を作ったほうが生活に支障が少ないこともあります。
治療の際には、今後のライフスタイルを充分考慮し、
納得できる治療法を決めましょう。