伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

上手につき合いたい 加齢性難聴

だれでも年をとると、徐々に耳の聞こえが悪くなっていきます。
でもそのまま放置しておくと、日常生活にも支障がでて、大変不便な思いをします。
今回は、加齢(老人)性難聴をとりあげ、その対策について考えてみましょう。

加齢性難聴は、こうして起こる

字が見えにくくなる、物忘れが激しくなったなど
年をとると、身体の各部に老化現象が現われてきます。
それは聴覚についても同様で、だんだんと耳の聞こえが悪くなります。
このように、おもに老化が原因で起こる聴力の低下を、加齢(老人)性難聴といいます。 聴覚の老化は、30歳代から始まるといわれますが、ゆっくりと進行するため
普通は50〜60歳代で「聞きづらくなった」と意識することが多いようです。
ただし個人差が大きいため、80歳を過ぎても、よく聞こえるという人もいます。
ではまず、加齢とともに難聴が起こる仕組みを、簡単に見てみましょう。

耳の構造 右図のように、
耳は、外耳・中耳・内耳の3つの部分から構成されています。 空気の振動である音は、
外耳道(外耳)を通じて耳の中に入り、
その奥にある鼓膜を振動させます。
鼓膜の振動は、
その内側にある耳小骨(中耳)へと伝達され、
そこで振動が増幅されて、
さらに内側の蝸牛(内耳)と呼ばれる器官に伝えられます。
蝸牛は、その振動を電気信号に変え、
聴神経を経由して脳に届けます。
脳では、その信号を瞬時のうちに処理・解析して、
何の音かを感知したり、また言葉を理解したりしているのです。
これらの経路のうち、とくに加齢性難聴と関係が深いのが、老化による蝸牛の機能低下です。
蝸牛の中には、有毛細胞という、毛の生えた細胞が規則正しく並んでいます。
この毛がアンテナの役目を果たして音を感じているのですが、
年をとると、毛が祈れたり、細胞自体がはがれ落ちたりして、充分に音をとらえられなくなってしまいます。
その結果、聞こえが悪くなり、加齢性難聴が起こるのだといわれています。
いったん壊れた有毛細胞は、元に戻ることはありません。
また、今のところ、有効な治療法も見つかっていません。
したがって、加齢性難聴の最も効果的な対処法は、補聴器を使って、損なわれた聴力を補うことだといえるのです。

加齢性難聴がもたらす影響

加齢性難聴の初期には、小さな声や遠くの音から、徐々に聞こえが悪くなります。
年齢とともに難聴が進むと、普通の音量の会話が聞き取りにくくなり、
やがては、耳元で大きな声で話してもらわないと聞こえない、という状態になっていきます。 また、音の高低でいえば、まず高い音から聞きづらくなり、やがて低音域へと広がっていくのが特徴です。
デジタル体温計や携帯電話のピーという電子音などは、
割に早い段階で、はっきりと聞こえなくなることがあります。 さらに加齢性難聴は、両耳に同じように発症することが多く、音がこもったように聞こえます。
そのため、会話の声は聞こえても、言葉として聞き取りにくい、ということが起こってきます。
とくに聞き間違いが多いのは、「カ行、サ行、ハ行」を含む音で、
冒頭の「サトウ(佐藤)」を「カトウ(加藤)」と取り違えたり、
「シチジ(7時)」を「イチジ(1時)」と聞き違える、というケースがよくみられます。
このような「聴力の老化現象」を、そのまま放っておけば、
日常生活や仕事上で、さまざまな支障がでてくることが考えられます。
例えば、重要な会議で会話が聞き取れない、病院や銀行などで名前を呼ばれても気づかない、
クラクションが聞こえず危うく車にひかれそうになったなど、その影響は決して小さくありません。
また高齢者に多いことを考えれば、
耳から入る刺激や情報が少なくなることで、脳の老化が進んでしまうことも心配されます。
コミュニケーションがうまくとれず、つい人とのつき合いを避け、
家にこもりがちになって、うつ状態や認知症につながっていく危険性もあるでしょう。
加齢性難聴の兆候に気づいたら、放置をせずに、適切に対処することが重要です。
早めに耳鼻科を受診して、正確な診断を受けてください。
耳の病気が原因で難聴が起こる場合もありますので、その見極めも必要になります。
また加齢性難聴は、周囲の人が先に気づくケースも多くなっています。
ご家族が気づいた場合には、ぜひ受診を勧めてください。
耳鼻科では、次のような検査を行なって、加齢性難聴の有無や、その程度を診断します。

純音聴力検査

低音域から高音域まで、7つの周波数の音を聞き、
音の大きさや高さについて、どの程度まで聞こえているかを調べる。

語音聴力検査

「ア」「ソ」など、意味のない一文字の音を聞き、
言葉が正しく聞き取れているかどうかを調べる。

いずれもヘッドホンから出る音を聞くだけで、痛みを伴わない検査ですから、
耳の聞こえが気になる方は、積極的に受けるようにしましょう。

補聴器を強い味方にする

加齢性難聴は個人差が大きく、聞こえ方は千差万別です。
そのため、前述の検査の結果に基づいて、自分に合った補聴器を選ぶことが最も重要です。
購入に際しては、耳鼻科で信頼できる専門店を紹介してもらったり、
補聴器外来のある医療機関で作ってもらうとよいでしょう。 補聴器には、下表のように、さまざまな形状のものがあります。
また、音の処理方法が異なるアナログ式とデジタル式の違いもあり、
種類によって、価格にはかなりの幅があります。
いずれにしても、最近の補聴器はとても性能がよくなっていますので、
上手に使って聞こえを補い、日常の不便さを解消したいものです。
そのために大切なのは、補聴器の音質や出力を細かく調整することと、
実際に使ってみる試聴を充分に繰り返すことです。
いくら高価な補聴器であっても、この調節がきちんとされなければ、よい聞こえにはつながりません。
専門家が調整した補聴器をつけて、家の中や町中などさまざまな環境で試聴し、また調整してもらう。
補聴器を上手に使いこなすには、こうした根気強さが必要なことを、覚えておいてください。
また、補聴器の音はマイクを通して入ってくるため、
以前と同じように聞こえるわけではありません。
そこで、「自分の耳や脳のほうを補聴器に合わせよう」と発想を転換し、
少しずつ補聴器の音に慣れることが必要になってきます。
最初は静かな場所から、だんだん騒がしい場所へと、
時間をかけて、補聴器の音に慣れるトレーニングをしていきましょう。
こうした努力は必要ですが、補聴器を心強い味方にすることで、
聞こえなかったものが聞こえるようになり、生活の質を高めることも期待できるのです。
そのことを理解して、耳の聞こえにお困りの方は、補聴器の使用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

補聴器の種類
ポケット型耳かけ型耳穴型
特徴 ポケット型 耳かけ型 耳穴型
本体を胸ポケットなどに入れ、
イヤホンで音を聞くタイプ。
軽度〜非常に高度な人向け
本体部分が
耳の後ろにくるように耳にかける。
最もポピュラーなタイプ。
軽度〜高度な人向け
耳の穴にすっぽり入れて使うタイプ。
オーダーメイドで作るのが一般的。
軽度〜やや高度な人向け
長所 本体が大きく、
手元で操作や調整がしやすい。
本体を髪の毛で隠しやすく、
目立ちにくい。
最も目立たず、
つけている事が周囲にわかりにくい。
非常に高度な難聴にも対応できる。 耳穴型と比較して、操作がしやすい。 耳の穴にフィットする。
価格が比較的安い。 種類やデザインが豊富にある。 音質が良く、聞き取りやすい。
短所 サイズが大きいので、目立つ。 汗をかくと濡れやすい。 小さいので、
自分で操作するのがむずかしい。
コードが邪魔になり、
あまり活動的ではない。
メガネを一緒にかけると、
使いにくいこともある。
オーダーメイドだと、
値段が高額になる。
ポケットに入れるので、
衣ずれの音が入る。
男性など、髪が短いと目立つ。 圧迫感を感じることもある。