伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

こんなに身近な 乳がん

現在、毎年約4万人もの女性が、乳がんを発症しています。
そして、乳がんは早期に治療すれば9割以上は治癒するがんであるにもかかわらず、
年間1万人もの人が亡くなっています。
進行したり他の部位に転移するまで、受診しなかった例が少なくないからです。
乳がんは、自分の手で触って確かめることができる、数少ないがん。
自分の命と乳房を守るため、乳がんという病気と、検診の大切さを知ってください。

20人に1人が乳がんでも「自分は大丈夫」と思いますか?

日本ではこの数十年間、乳がんの罹患率・死亡率が増加の一途をたどり、
現在では女性の約20人に1人が乳がんにかかっています。
一方アメリカでは、8人に1人が発症しているという驚くべき数ですが、
罹患率が高いだけに、欧米では40年も前から検診の啓発が盛んで、
補助化学療法などの治療法も始まりました。
これによって、イギリス、アメリカ、カナダでは現在、死亡率は減少傾向にあります。 それに比べると日本では、ピンクリボン運動などもずいぶん知られてきたとはいえ、
まだまだ検診の必要性などに対する関心が低いのです。
そのため死亡率は増加を続け、
ここ数年は、30歳から64歳の女性の、死亡原因となったがんでは、乳がんが1位となってしまいました。
乳がんがこれほど増えたのは、現代の食生活や女性のライフスタイルの変化などにより、
下記に挙げる危険因子がそろってしまうような環境になってきたためと思われます。
しかし、乳がんの発症原因は、はっきりと解明されたわけではありませんから、
この項目に該当するものがなくても、乳がんにかかる人はたくさんいます。
20歳代でも、何人も子どもを産んでいる人でも、乳がんを発症する例はあります。
したがって、リスクファクターがある人はとくに注意が必要ですが、
成人女性は誰でも、乳がんにかかる可能性があると考えましょう。
乳がんの多くは、比較的治りやすい性質のがんといえますが、
小さくても広範囲に散らばるがんや、転移しやすいがんなど、いろいろな性質があります。
自己検診で、少しでも「いつもと違うな」と思った時は、ためらわず検査を受けましょう。
検診は、産婦人科でも受けられる施設がありますが、
検査は、乳腺科や乳腺外科がある医療機関を受診してください。

乳がんのリスクファクター(危険因子)

がんの特性を理解し希望に合う治療方法を考えよう

乳がんの治療は、外科療法が基本になりますが、
乳がんは比較的薬剤が効きやすいがんなので、
薬物療法(化学療法、分子標的療法、ホルモン療法)や放射線療法を、
がんの特性に合わせた組み合わせで行ないます。 最近は、こうした外科療法以外の治療法も重視され、
その効果も上がったことから、可能な限り乳房を温存する手術が多くなっています。
もちろん、がんの進行度によっては、切除する範囲が大きくなりますが、
乳房の再建手術もたいへん進歩しています。
こうしたことも頭に入れておいて、できるだけ希望にそった治療方針を、医師と決めていきましょう。
ここでは、一般的な乳がんの治療法を、簡単にご説明します。

基本は外科療法

乳がんの治療は、がんの切除が基本になり、
大きく分けて、乳房切除術と乳房温存術の2つが標準的な方法です。
当然ですが、がんの大きさや数、位置、リンパ節への転移などによって、切除範囲は異なってきます。

乳房切除術

胸の筋肉(胸筋)は残し、乳房全体を切除する。

乳房温存術

しこりとその周囲1〜2cmの組織を丸く切除する方法(円状部分切除術)と、
しこりを含んだ部分を扇状に切り取る方法(扇状部分切除術)の2つが一般的。

外科療法以外の治療法

いずれの方法も、切除部分の縮小や、再発防止などの目的によって、
手術の前や後に組み合わされます。

化学療法

抗がん剤による治療。
薬剤も次々と開発され、組み合わせも多様になり、治療効果が高まっている。
副作用を軽減する治療も進んでいる。

分子標的療法

がん細胞のみに作用する分子標的薬を投与する。
現在、再発・転移性乳がんのみ保険診療が認められている。

ホルモン療法

女性ホルモンの影響を受けやすいタイプのがんに有効。
女性ホルモン(エストロゲン)が、乳がん細胞に働くのを防ぐ薬剤が投与される。

放射線療法

がん細胞に一定量の放射線を照射し、死滅させたり増殖を抑える局所療法。
原則として、乳房温存術には組み合わせて行なう。

治療は早いに越したことはありませんが、あわてて切除して、
あとから、他の方法もあったのではないかと後悔する患者さんも少なくありません。
こうした問題を抱えないよう、手術法を含めて、
治療方針のメリットとデメリットをよく理解し、
必要と思ったら遠慮せず、主治医にセカンドオピニオンを申し出てください。

早期発見なら治癒率9割以上 だから定期検診

乳がんの検診は、自分でもすぐにできます。
次の月経がきた時、終わってから1週間以内に自己検診することを思い出してください。
閉経後の方は、ぜひ今日を検診の日として、毎月同じ日に自己検診を続けてください。 また、何の異常も見つからなくても、
30歳を過ぎたら年に一度は、超音波検査やマンモグラフィーによる定期検診を受けましょう。
自己検診は、「がんを見つけよう」という目的でするのではありません。
「いつもとおなじ状態かどうか確かめる」ために行なうのです。
乳房の状態は、月経のサイクルで常に変わっているため、毎月同じ頃に定期的にすることが大切です。
命も乳房も守るのは、皆さんの検診の習慣にかかっているのです。

毎月の自己検診

自己検診では、乳房のふくらんだ部分だけでなく、
鎖骨の下、わきの下、胸の中央まで、広範囲を点検しましょう。
乳がんの9割は、痛みのないしこりが主症状ですが、
なかには、しこりがないがんや、皮膚のただれや分泌物が見られるがんがあることも覚えておきましょう。

外見

鏡に映して腕を上げた状態と下げた状態を観察

a.乳房の形や色に変化はないか
b.乳房にひきつれやくぼみなどがないか
c.左右の乳頭の位置や向きにずれがないか

感触

仰向けに寝て、調べる側の肩の下にタオルなどをたたんで敷く。(高くする)
手のひらを、乳房の中心から円を描くように滑らせる。
わきの下から胸の中心、胸の中心からわきの下、と左右から滑らせる。
わきの下に手を入れて、しこりがないか調べる。

a.乳房にしこりはないか
b.わきの下に、はれやしこりはないか

反対側の乳房も同様に行なう。
入浴時に座った状態で行なうのもよい。
石けんをつけるとやりやすい。

分泌物

左右の乳首を軽くつまむ

a.血液のような分泌物がでないか

乳がん健診の画像診断
超音波検査

乳房に超音波の発信器を当てて、はね返ってくる音波を画像化する検査です。
小さなしこりでも、乳腺とははっきり区別された影となって見え、
しこりの内部構造まで映しだすことができます。 乳房にゼリーをつけて、その上を機器を滑らせて撮影しますから、痛みはありません。
放射線を使うこともないので、妊娠中でも行なうことができます。
30〜40歳代の場合は、乳腺が発達しているため、
マンモグラフィーでは乳腺もがんも同じように映しだされることがあり、
超音波検査のほうが、がんを見つけやすい場合があります。

マンモグラフィー

乳房専用のレントゲン検査です。
軟らかい乳房の中をすみずみまで撮影できるように、上下や左右から乳房を挟みこんで圧迫します。
そのため、乳腺が発達している40歳代までの人には、多少の痛みが感じられます。 マンモグラフィーでは、触診ではわからないほどの小さながんも、写しだすことができます。
とくに乳腺が萎縮している50歳以上の方は、
検査時の痛みも少なくなるので、微小ながんも見つけやすいマンモグラフィーのほうが有効です。
30〜40歳代の人は、超音波検査も併せて受けておくことが勧められます。