伊豆に暮らす

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長期間続く気になる胸焼け それは 逆流性食道炎 かも?

皆さんは、食べすぎや飲みすぎの後に、胸焼けしたことがありませんか?
胃腸薬のパッケージでも、この言葉をよく見かけると思いますが、
実はこの胸焼け、直接は胃ではなく、胃の上にある食道のトラブルによって起こるのです。
もし、食後にいつも胸焼けがする、ということが1か月以上続いていたら、
それは、今増え続けている「逆流性食道炎」かもしれません。

「胸焼け」という症状の正体は…

いわゆる胃腸の不快感を表現する言葉は、
「もたれ」「むかつき」「膨満感」などいくつかありますが、その1つに「胸焼け」があります。 これは、みぞおちから胸のほうにかけて、
『焼けるような』『熱いような』チリチリとした痛みを感じるといった症状です。
胸焼けは、胃で分泌される胃液が、食道のほうに逆流することによって、
食道の粘膜が刺激されるために起こる症状です。
食道の粘膜は胃の粘膜と違って、胃液の消化力から防御する機能が強くありません。
したがって、胃液が逆流してくると、食道の粘膜は強い酸によって傷んでしまうのです。

食道と胃 本来、食道と胃の間は、
胃の内容物が簡単に逆流しない仕組みになっています。
口から入った食べ物が通る食道と、
それを消化する胃との境には、横隔膜があります。
横隔膜には食道裂孔という孔があり、
食道はその孔を通って胃へ続いています。 食道裂孔は、筋肉(下部食道括約筋)や靭帯で構成されており、
これらがいわば「弁」の役目をして、
胃の入り口(噴門)を閉じたり開いたりしているのです。
この「弁」によって、食べ物が食道を通過するような時以外、
噴門は閉じる仕組みになっているので、
胃液が食道のほうへ逆流することはありません。
もし逆流した時にも、食道は蠕動運動をしているので、
胃のほうへ押し戻すことができます。

食道裂孔の拡大図 ところが、何らかの理由でこの「弁」が役目を果たせず、
胃液が食道に逆流すると、食道の粘膜が刺激されます。
これが繰り返されると、食道の粘膜は炎症を起こし、
ただれたり傷ついたりしてきます。
この状態を「逆流性食道炎」といいます。
なお、たびたび胸焼けが起きていても、
食道にはただれなどがみられない場合もあります。 そこで、このような病態を、逆流性食道炎を含めて
「胃食道逆流症(GERD:Gastro-esophageal Reflux Disease)」
と総称しています。
逆流性食道炎は年々増加しており、
20年ほど前と比べると、患者数が約5倍に増えているといわれます。

なぜ胃液が逆流するのか…

胃液が逆流する原因

上図のように、胃液が食道に逆流する原因はさまざまで、なかでも「食道裂孔ヘルニア」は高齢者に多いケースです。
さらに、高齢になると、下部食道括約筋がゆるむ以外にも、
食道の蠕動運動が低下するために、胃液を押し戻すことができず、炎症がひどくなることもあります。 逆流性食道炎は、昔から高齢者に多かったため、患者数が増加している一因は高齢化社会にありますが、
最近は、若い世代の患者さんも多くみられます。
したがって、現代の食生活は脂肪分が多いこと、食べすぎや肥満が増えていることも、増加の原因といえるでしょう。

食道裂孔へルニア

食道裂孔へルニア 老化などによって、下部食道括約筋がゆるんだままになると、
食道裂孔が大きくなってしまい、
ここから胃の噴門部分が飛び出してしまいます。
この状態を「食道裂孔ヘルニア」といいます。 こうなると、噴門が閉じることができなくなり、
つねに胃液が逆流しやすくなります。
高齢者だけでなく、肥満の人にも、
食道裂孔ヘルニアがみられることがあります。

どんな症状で受診するか…

逆流性食道炎の典型的な症状である胸焼けは、
人によっては自覚がなく、「何となくすっきりしない」という程度にしか感じないこともあります。
さらに、胸焼け以外の症状もあり、これらが複数重複することもあります。
胸痛については、心臓病と間違えるほどの痛みを訴える方もいます。
また、自覚症状には個人差があり、重症度と症状の強さは、必ずしも一致しません。 逆流性食道炎が重症になると、
食道が狭まってくる「食道狭窄」になったり、潰瘍ができたりします。
まれですが、食道がんにつながる可能性もあります。
食べすぎや飲みすぎで一時的に起こる胸焼けは、一過性のもので心配はいりませんが、
たびたび起こる胸焼けのために市販薬を常用していたり、
症状が1か月以上続いているような人は、受診して検査を受けることをおすすめします。
また、喘息の治療薬を飲んでいる人は、食道の蠕動運動が鈍くなることがあります。
さらに、胃液が食道へ逆流する時に、
胃酸が気管支に刺激を与えて、喘息の症状が悪化することもあります。
したがって、症状が当てはまる喘息の患者さんも、検査をしてみるとよいでしょう。
逆流性食道炎の診断には、基本的に問診と内視鏡検査を行ないます。
さらにくわしい検査が必要な場合は、
食道内の酸性度(pH)を測る検査や、造影X線撮影なども行ないます。

どんな治療をするのか…

逆流性食道炎の治療は、薬物療法が中心です。
また、この病気は慢性疾患なので、服薬はたいてい長期にわたります。
症状が改善しても、自己判断で服薬を中止しないようにしましょう。 基本的には薬物療法で充分な効果が得られますが、
これでは「弁」のゆるみや食道裂孔ヘルニアのような状態を、治すことはできません。
したがって、薬では症状を抑えきれなかったり、再発を繰り返す場合は、
外科手術が行なわれることもあります。
そして逆流性食道炎では、薬物療法以上に、日常生活での注意点を守ることが重要になります。
この病気は、再発率がとても高いため、
胃液が逆流しないための生活を習慣にすることも、大切な治療の一環です。

日常生活の注意点