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見逃してはダメ こわい 慢性腎臓病(CKD)

患者数:約1330万人 割合:成人の8人に1人 推移:年々増加
これらは、慢性腎臓病(CKD)の現状を示すデータです。
まだあまり知られてはいないものの、
実は重大な疾患を招く危険な生活習慣病として、注目されているのです。
今回は、「新たな国民病」といわれるその正体に迫ってみましょう。

慢性腎臓病(CKD)を知っていますか?

慢性腎臓病(以下CKD)とは、読んで字のごとく、
長期にわたって、徐々に腎臓の機能が低下していく病態をいいます。
これまで腎臓の病気は、糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎など、
原囚や病状によって、それぞれの病名でよばれてきました。
それを、別個の病気としてではなく、大きくまとめて慢性腎臓病としてとらえ、
患者さんが理解しやすいように総称したのが、CKDです。 こうした概念が用いられるようになったのは比較的新しく、8年ほど前からです。
腎臓の病気が進行すると腎不全(腎臓の機能が30%程度にまで低下した状態)が起こり、
さらに悪化して腎機能が10%以下になると、人工的に血液を濾過する、透析療法が必要になります。
現在わが国で、この治療法を受けている患者さんの数は27万人といわれ、
世界中で最も多く、その数は年々右肩上がりに増加しています。

腎臓の仕組みと主な機能 また、右図のように、
腎臓は大変重要な役割を果たしているため、
病状が進むと、身体にさまざまな悪影響を及ぼします。
最近の研究では、
腎臓病が起こると血圧が上昇し、動脈硬化が促進されて、
心筋梗塞や脳卒中などの
心血管疾患を招きやすくなることが、判明しています。 これだけ危険でありながら、
一般に腎臓病は自覚症状が乏しいため、
健診で異常が見つかっても放置されるケースが多く、
患者さんの数は増加の一途です。
そこで、診断基準をわかりやすく示し、
多くの人に予防や早期発見・早期治療に
取り組んでもらおうと導入されたのが、
CKDという新しい腎臓病のとらえ方なのです。

慢性腎臓病(CKD)を正しく理解しよう

さて、CKDかどうかを判定する「ものさし」には、次の2つの項目があります。

1. 尿検査などで、腎臓に明らかな障害が認められる
2. 腎臓の機能が60%未満に低下している

これらのうち、どちらか、あるいは両方が、3か月以上続いた場合が、CKDと疑われるケースです。
診断には、特定健診でも実施されている、尿と血液の検査数値が用いられます。

尿検査

おもにたんぱく尿を調べます。
腎臓では本来、たんぱく質は濾過されません。
しかし糸球体が障害されると、たんぱく質が濾過されてしまい、尿の中に流れ出てくるのです。
「+1」以上が陽性で、【1.】の条件に該当しますが、
念のため「±」の人も含めて再検査を行ないます。
もちろん数値が大きくなるほど、腎臓の障害が進んでいることを表わします。

血液検査

血中クレアチニンの値を用います。
クレアチニンは尿とともに排泄される老廃物ですが、
腎機能が低下していると、糸球体で濾過されずに、血液中に残ってしまいます。
このクレアチニンの数値を基に、
性別や年齢を加味した計算式に当てはめ、糸球体濾過量(GFR)を推算して、その数値を求めます。
GFRとは、糸球体が1分間に濾過できる血液量のことで、
腎臓がどれくらい働いているかを示す指標になります。
この数値が60未満かどうかが、【2.】の判定基準です。 GFRの計算式は複雑で、個人で算出するのは大変なのですが、
日本慢性腎臓病対策協議会」では、自動計算ができるようになっています。
今のご自分の腎機能を知るために、ぜひ一度試してみるとよいでしょう。

このように、定期的に尿や血液検査を受けておけば、
CKDの早期発見につながり、病期(ステージ)を知ることができます。
また、早く治療を始めることで、腎不全への進行を防ぐことも可能なのです。
改めて定期健診の重要性を認識し、腎臓が発しているSOSを、決して見過ごさないようにしてください。

CKDの診断基準と病期(ステージ)
CKDの病期GFR値腎機能の程度症状
ステージ190以上ステージ1,2目立った自覚症状はない
たんぽく尿が出る
血尿が出る
ステージ289〜60
ステージ359〜30ステージ3夜間に何度もトイレに行く
血圧が上がる
貧血になる
ステージ429〜15ステージ4疲れやすくなる
むくみがでる
ステージ515未満ステージ5食欲の低下
吐き気がする
息苦しくなる
尿量が少なくなる

慢性腎臓病(CKD)はなぜ危険なのか

CKDが進行して末期の腎不全になると、透析療法が必要になってきます。
これは、機能が著しく低下した腎臓の働きを補い、人工的に血液中の老廃物などを取りのぞく治療法です。
現在は、血液透析と腹膜透析の2種類がありますが、
生涯にわたって通院や服薬、食事制限などを続ける必要があり、
患者さんにとっての負担は決して小さいとはいえません。 CKDを見逃さず、早く治療を始める目的は、この腎不全への進行を防ぐことにあります。
と同時に、実はもう1つ、大きな目的があるのです。
ここで、CKDの原因となる個々の病気について、少しみてみましょう。
透析療法が必要になる患者さんの数については、
1位が糖尿病性腎症の患者さんで、40%以上を占めています。
3位は腎硬化症という病気で、割合は10%程度ですが、年々患者さんの数が増えています。
糖尿病性腎症は、ご存じ糖尿病の3大合併症の1つ。
また腎硬化症は、高血圧が長く続くことで、糸球体の血管に動脈硬化が起こり、腎臓の機能が低下する病気です。
このような点から、もう皆さんはお気づきでしょう。
CKDの発症には、さまざまな生活習慣病が深く関与しているのです。
糖尿病や高血圧のほかにも、
脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム、喫煙などが、CKDの危険因子として挙げられます。

CKDの発症と進行

最も警戒しなければならないのは糖尿病ですが、高血圧との関係にも充分な注意が必要です。
腎臓には、血圧を調整するホルモンを分泌する働きがあります。
高血圧によってCKDが発症すれば、当然この役割を充分に果たすことができず、
さらに血圧が上昇して腎臓の血管が傷つけられ、CKDが悪化するという、悪循環におちいってしまいます。
その結果、全身の動脈硬化が進み、心臓や脳の血管がつまりやすくなると、
心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる病気を招くことにもなります。
現にある調査で、CKD患者さんとそうでない人を比べたところ、
心血管疾患を発症する危険性が、2倍以上にものばったそうです。
どちらに転んでも、CKDを見逃してしまうことは、たいへん大きなリスクとなります。
こうした恐ろしい事態を防ぐためにも、CKDは、早期に治療を始める必要があるのです。
40歳を過ぎたら、健康な人でも1年に1度、
高血圧や糖尿病などの危険因子がある人は6か月に1度、尿と血液の検査を受けるようにしてください。
また、尿の異常は自分でもチェックできますので、日頃から尿を観察することも大切です。

家庭でできる尿のチェック

朝起きてすぐの「早朝第一尿」を調べ、下記のような異常があったら、1度内科を受診しましょう

尿検査用の試験紙を使う

薬局などで市販されている試験紙を使って、たんぱく尿の有無を確認。

尿の色や泡立ちを観察

色:茶色や赤ワイン色をしている
泡立ち:30秒以上経過しても消えない