伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

数字から読み解く 喉頭がんの対策

喉頭がんは、比較的早期に発見しやすく、他のがんと比べて治癒率が高く、また予防しやすいともいわれているのです。
今回は、その裏づけとなるデータを基に、喉頭がんの予防と対策を考えていきなしょう。

10:1

喉頭は、首の前側のほぼ中央に位置し、
気管から肺へとつながっていく気道(空気の通り道)の、入り口部分にあたります。
周囲は甲状軟骨に囲まれており、これがいわゆる「のどぼとけ」で、外から触れることができます。
喉頭の中心部には、声帯という左右一対のヒダがあり、このヒダが開いたり閉じたりします。
その働きが、私たちの生命活動に、重要な役割を果たしているのです。

1)発声機能

肺から吐き出された息を利用して、閉じた声帯が空気を振動させ、それが口から発せられて声になる。

2)気道の確保

声帯が開くことで、口・鼻から肺へとつながる気道が保たれ、呼吸をすることができる。

3)誤嚥の防止

のどの奥は気道と食道に分かれていくため、
飲食物を飲みこむ瞬間には、声帯が閉じたり、喉頭蓋がふたの役目を果たすなどして、気管に入るのを防ぐ。

喉頭の位置と声帯の仕組み また喉頭は、右図に示したように、
声帯周辺を指す声門部、
それより口に近い声門上部、
逆に気管に近い声門下部とに分けられます。
喉頭がんは、これらのどの部位にできたかによって、
症状や発症率などが異なってきます。
さて、その喉頭がんですが、全体的な傾向を見てみると、
年齢的には、50〜80歳代の中高年に患者さんが多く、
60歳代後半がピークとされています。
さらに特徴的なのが男女差で、
その割合は10:1と、圧倒的に男性が多くなっています。
このような傾向を示すのは、喉頭がんの発症に、
ある生活習慣が深く関わっているからなのです。
それはズバリ、タバコです。

約97%

喉頭がん患者さんの約97%は喫煙者といわれ、これほどタバコとの因果関係がはっきりしている病気はありません。
中高年者に患者さんが多いのは、
例えば20歳から30〜40年間吸い続けているという、長年の喫煙習慣の結果だといえるでしょう。 また、前述した10:1の男女比も、非喫煙者に限ると1:1の比率となり、
男性の喫煙率の高さが、そのまま患者数の増加につながっているのです。
ただし近年は、若い女性の喫煙者が増えているため、当然この比率は変わっていくことが予測されています。
喫煙指数 その他、大量の飲酒や、アスベストの吸入など、
のどに継続的な刺激を与えるものが、危険因子となります。
さらには、間接的に副流煙を吸う受動喫煙も、
その危険性が指摘されています。
要するに、タバコをやめさえすれば、
大部分の喉頭がんは予防することができるのです。
とくに50歳以上の喫煙者で、喫煙指数が600を超える方は、
今からでも禁煙をしましょう。

60〜70%

喉頭がんは、その発生した部位によって、
声門がん、声門上がん、声門下がんの3つに分類されます。
最も患者さんが多いのが声門がんで、全体の2/3を占め、次いで声門上がんが1/3、声門下がんは、ごくまれです。
では、それぞれのがんの特徴を見てみましょう。

声門がん

まだがんが小さい早期から、ほぼすべての患者さんに、
声がかれたり、かすれる(嗄声)という症状がみられます。
雑音の入った、ザラザラとした感じの声になります。
そのまま放置すると、嗄声はさらにひどくなり、また、息苦しいなど、呼吸困難の症状も現われてきます。

声門上がん

まず感じられる症状は、食物を飲みこんだ時の痛み、異物感、いがらっぽさです。
次第に、耳にツーンとくる痛みが現われるようになり、
さらに進行すると、嗄声も起こります。
比較的早くから、首のリンパ節に転移し、首のはれによって発見されることも多くなっています。

声門下がん

進行するまでほとんど症状がでないことが多く、一番やっかいなタイプです。

嗄声や呼吸困難が、おもな症状です。
また、進行の程度によって4つの病期(ステージ)に分類され、1、2期が早期がん、3、4期が進行がんとされています。
ところで喉頭がんは、数あるがんのなかでも、比較的治りやすいがんだといわれています。
それは、初期のころから症状が現われやすいため、早期発見・早期治療に結びつけることができるからです。 あるデータによれば、喉頭がんの60〜70%は、早期がんの段階で発見されているそうです。
とくに、最も患者さんの多い声門がんは、
自分でも症状を認識しやすいため、早期に受診する方が増えています。
長年の喫煙歴がある方で、他に症状がないのに、
声のかすれが2週間〜1か月ほど続いていたら、耳鼻咽喉科で診察を受けることを、ぜひお勧めします。

喉頭がんの病気(ステージ)
1期がんは発生した部位にとどまり、声帯の運動は正常である。
2期がんは隣の部位にまで広がっているが、喉頭内にとどまっており、まだ転移はみられない。
3期がんが喉頭内に広がって、声帯がまったく動かなくなったり、
リンパ節ヘの転移(3cm以下のものが1個)が認められる。
4期がんが喉頭を越えて他の部位まで広がる。
リンパ節への転移が多発したり、あるいは1個が6cm以上の転移が認められる。

90%以上

喉頭がんのほとんどは粘膜の表面にできるため、
喉頭鏡という小さな鏡や、鼻から入れるファイバースコープ(内視鏡)を使って観察すれば
容易に発見することができます。
がんが疑われる場合には、病変の組織を採取して、がん細胞かどうかを調べます。(生検)
その結果、喉頭がんと診断された場合には、どのくらい病変が広がっているのかを知ために、
・エックス線検査
・CT(コンピュータ断層撮影)検査
・MRI(磁気反響画像)検査 などを実施して、治療の方針を決定します。 また、治療に際しては、放射線療法と手術療法の2つが中心となります。
できるだけ、声帯を中心とした喉頭の機能を残せるように、
がんのできた場所や進行度に応じて、治療法が選択されます。

放射線療法

一般に、早期の声門がん・声門上がんに対しては、この治療法が中心となります。
通常は30回程度にわけて、身体の外から放射線を当て、がんの細胞をたたきます。
治療後も、喉頭はそのままの形をとどめるため、自然な声を残すことができます。

手術療法

喉頭部分切除術と喉頭全摘出術の2つがあります。

喉頭部分切除術は、早期がんに対して行なわれ、声帯の一部を取り除く方法です。
声の質は悪くなりますが、術後も、自分ののどから発声することができます。
一方、喉頭全摘出術は、進行がんに適用される手術で、
声帯を含む喉頭をすべて摘出してしまうため、術後は声を出すことができなくなります。
しかし、声帯に代わる発声法(代用音声)もさまざまに開発されており、
コミュニケーションを図ることは、充分に可能です。
とはいうものの、口・鼻と気管の間が途切れてしまうので、
首のつけ根に呼吸用の「気管孔」という孔を開けなければならなかったり、
食べ物の飲みこみに障害がでやすいなど、日常生活への影響は少なくありません。 しかしながら、診断や治療技術の進歩によって、
喉頭がん全体の5年生存率は、60〜70%にのぼるといわれています。
さらに1期の早期がんに限れば、放射線療法だけで90%以上が治るとされているのです。
あなたの命と、そして声を守るためには何が必要か、もうおわかりでしょう。
タバコを吸っている人は即座に禁煙し、声のかすれやのどの違和感を感じたら、
放置せずに、早めに病医院を受診するよう、心がけてください。

代用音声を使った発声法

喉頭がんの治療で声帯が失われても、さまざまな方法によって、「新たな声」を獲得することができます。

食道発声

空気を食道に飲みこみ、それをゲップをする要領で徐々に吐き出して、音声を出す方法です。
この方法を収得するためには、ある程度の期間、訓練が必要になります。

電気式人工喉頭

電気式人工喉頭 音源の働きをする振動装置を首に当て、
口の中に振動音を誘導して、発声する方法です。
人工的な声になりますが、特別な訓練はいりません。

気管食道シャント法

気管食道シャント法 気管と食道をシリコン製の短いチューブでつないで、空気の通り道をつくります。
発声する時は、気管孔を指でふさいで、
肺から多量の空気を食道に送りこみ、食道の粘膜を振動させて、音声を出します。
ただし、手術や、定期的なチューブ交換が必要なため、
健康保険は適用されますが、費用面での負担が伴います。