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知って納得 甲状腺の病気 バセドウ病と橋本病

バセドウ病は、橋本病とともに、ホルモンを分泌する甲状腺の働きに、異常が起こる病気です。
いずれも、圧倒的に女性の患者さんが多いのですが、
病気を正しく理解し、適切な治療を受ければ、決して怖い病気ではありません。

甲状腺の働き

甲状腺の働き 甲状腺は、のどぼとけの下あたりにあって、蝶のような形をしています。
小さな臓器なので、通常は、触れてもはっきりとわかりません。
その働きは、甲状腺ホルモンを作りだして、血液中に分泌することです。 甲状腺ホルモンは、いわば「心身を元気にするホルモン」です。
食べ物から摂り入れた栄養素を、エネルギーとして利用しやすいようにし、
全身の新陳代謝を活発にする働きをしています。
また、脳や心臓、胃腸などの機能を活性化させたり、
血流や発汗の量、体温などを、ちょうどよい状態に調節する働きも担っています。
さらに成長期の子どもには、骨の発育や知能の発達を促すという重要な役割もあり、
身体にとっては不可欠なホルモンなのです。
甲状腺ホルモンがバランスよく働くためには、
血液中で、一定の濃度に保たれている必要があります。
それをコントロールしているのが、脳にある下垂体という器官です。
血液中のホルモン量が少なくなると、下垂体から甲状腺に向けて、
「ホルモンを作りなさい」と命令する甲状腺刺激ホルモン(TSH)が送られます。
甲状腺は、この指令を受けとって甲状腺ホルモンを分泌し、血液中で一定量を保っています。
ところが、この甲状腺のシステムに異常が生じ、ホルモンの分泌量に過不足が起こってしまうことがあるのです。
1つは、甲状腺ホルモンが増えすぎてしまうケースで、甲状腺機能亢進症といいます。
その原因で最も多いのが、バセドウ病です。
もう1つは、逆に甲状腺ホルモンが不足してしまう状態で、甲状腺機能低下症といいます。
その大部分は、橋本病(慢性甲状腺炎)を原因として起こります。
バセドウ病と橋本病は、甲状腺ホルモンの分泌量がまったく正反対になるため、全身に現われる症状も対照的です。
では、この2つの病気について、詳しく見ていきましょう。

甲状腺ホルモンが多すぎる 甲状腺機能亢進症 バセドウ病

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが必要以上に増えてしまう病気です。
そうなると、新陳代謝が過度に高まって、
異常に元気がみなぎり、身体が常に運動をしているのと同じような状態になります。
その結果、全身のさまざまな臓器に負担がかかることになり、
多種多様な症状へとつながっていくのです。 ただ、見かけは、以前よりエネルギッシュで元気そうにみえるため、
患者さん自身が病気に気づかないケースも多いようです。
また症状によっては、心臓や胃腸の病気、更年期障害などと取り違えやすく、
見逃されやすい病気だともいえるでしょう。
患者さんの約80%は女性で、20〜30歳代が過半数を占めています。

病気が起こる仕組み

バセドウ病 私たちの身体には、細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、
それを撃退するための抗体を作って身を守る、
免疫機構が備わっています。
ところが、このシステムが誤って作動すると、
自分自身の身体を異物だと認識し、
抗体を作って、攻撃をしかけてしまう場合があるのです。 その結果として起こる病気を、自己免疫疾患といいます。
バセドウ病は、この自己免疫疾患の1つです。
身体のなかで、甲状腺に対する特殊な抗体が作られてしまい、
それが休むことなく甲状腺を刺激し続けます。
そのため、血中の濃度を一定に保とうとする
甲状腺刺激ホルモンの指令とは無関係に、
どんどん甲状腺ホルモンが分泌されて、心身の不調を招く原因となるのです。

おもな症状

バセドウ病の症状 バセドウ病では、
甲状腺が過度に刺激されてはれるため、
首の前面がふくらんできます。 触れると、軟らかくはれているのが特徴です。
また、眼球が大きく飛びだしたようになることもありますが、
これは、患者さんの20〜30%程度に見られる症状です。
その他、自覚症状としては、
右図のようなものが挙げられます。

治療法

バセドウ病の治療法には3種類あり、症状や年齢に応じて決定されます。

薬物療法

甲状腺ホルモンが作られるのを抑える薬(抗甲状腺薬)が用いられます。
血液検査で効果を確かめながら、
個人に合った薬の量を見極め、継続して飲み続けることが必要です。

アイソトープ療法

アイソトープ(放射線ヨード)が入ったカプセルを服用し、
甲状腺に集まったヨードが発する放射線によって、
甲状腺の一部を破壊して、ホルモンの分泌量を抑える治療法です。
放射線が身体に害を与えることはありませんが、
妊娠中や授乳している人には適しません。

手術療法

一部を残して甲状腺を切除し、
甲状腺ホルモンの分泌量を減らす方法です。
再発が少なく、確実に治療効果を得られるのが、長所です。

バセドウ病は、病気に気づかずに放置すると、
心臓への負担から、高血圧や不整脈、心不全を招く危険性もあります。 早めの治療が肝心です。

甲状腺ホルモンが足りない 甲状腺機能低下症 橋本病

橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起こる病気です。
この炎症が進行すると、やがて甲状腺の働きが低下して、甲状腺ホルモンが充分に分泌されなくなります。
すると、全身の新陳代謝が悪くなり、身体中から元気がなくなって、
バセドウ病とは正反対の症状が現われてくるのです。 ただし、甲状腺ホルモンの低下は、時間をかけてゆっくりと進むため、
橋本病であっても、すぐに甲状腺機能低下症を起こすわけではありません。
甲状腺ホルモンの分泌が正常であれば、治療の必要はなく、定期的な検査で病状を観察します。
橋本病の患者さんのほとんどは女性で、30代〜50代の人が多くなっています。

病気が起こる仕組み

橋本病 実は橋本病も、自己免疫疾患です。
バセドウ病の場合とは異なる種類の、
甲状腺を異物とみなす抗体が作られ、
その攻撃によって、細胞が破壊されていきます。 こうして慢性的な炎症が発生し、
徐々に甲状腺の機能が損なわれていくのが、橋本病なのです。

おもな症状

橋本病の症状 バセドウ病と同様、
首のはれが見られますが、
こちらはゴツゴツとして硬くなるのが特徴です。 そのため橋本病は、
まず首のはれによって
発見されるケースが多くなっています。
右に挙げたさまざまな自覚症状は、
甲状腺機能低下症が起こった段階で、
現われてくるものです。

治療法

甲状腺の機能が低下している場合は、
不足している甲状腺ホルモンを、薬で補います。
定期的に検査を受け、血液中のホルモンの量などを確認しながら、
服用量を調整していきます。
薬は、甲状腺ホルモンと同じ成分なので、副作用の心配はほとんどありません。

橋本病から甲状腺機能低下症に進行すると、
LDLコレステロール値が高くなり、動脈硬化の原因ともなりますので、充分に注意してください。

もしバセドウ病や橋本病を発症しても、適切な治療を続ければ、ごく普通の生活を送ることができます。
いずれも血液検査や触診によって診断することが可能で、検査は一般の内科でも受けることができます。
症状からは病気が発見しにくいため、とくに女性の方は、積極的に検査を受けることをお勧めします。