伊豆に暮らす

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診断基準が新しくなった この機会にもう一度 糖尿病 をおさらいしよう

糖尿病患者数は、数十年間も増加し続けています。
2007年の調査では過去10年間で、糖尿病の患者数は200万人増え、糖尿病予備群については、640万人増えています。
そんななか、2009年には10年ぶりに新薬が登場し、今年2010年には診断基準が11年ぶりに改定されました。
これまで以上に、糖尿病を早期に発見し、治療が開始できる人が増えると期待されます。
そこで、糖尿病という病気についておさらいしながら、新しい診断基準を詳しくみてみましょう。

血糖値はなぜ上がる?

全身をめぐっている血液中には、脳や筋肉などへエネルギー源を供給するために、ブドウ糖が混ざっています。
これが血糖で、血液中の糖の濃度は、常に一定に保たれています。
しかし、血糖の量=血糖値は変動するもので、
食べ物から糖を摂取することで高くなり、また空腹時には低くなります。
そんな時に血糖の量を調節しているのが、さまざまなホルモンです。 空腹時には、アドレナリンなどのホルモンが分泌されて血糖値を上げます。
食事の後などに血糖値が上がると、これを下げるホルモン、インスリンが、膵臓から分泌されます。
インスリンは、血液中の糖を筋肉などに運んだり、
使われずにあまった糖を、グリコーゲンや脂肪に合成して備蓄する役割をもっています。
この働きによって、食後に上がった血糖値も、2〜3時間のうちに正常な範囲に戻ることができるのです。
ところが、インスリンの働きが不足して、血糖値が下がらなくなる病気があります。 これが糖尿病です。
糖尿病になると、エネルギー源となる糖が細胞に行きわたらなくなってしまい、血液中に糖があふれてしまうのです。
糖尿病はいくつかの種類に大別されていて、インスリンが働かなくなる原因が異なります。
そのなかの1つが、2型糖尿病といい、日本人の糖尿病の9割以上を占めている、圧倒的に多いタイプの糖尿病です。
おもに、下記の【2.】の素因をもっていて、
食べすぎや肥満によって【3.】のインスリン抵抗性が起こり、発症すると考えられています。
【2.】の素囚がなくても、極端に肥満していたり糖質を摂りすぎたりしていると、
膵臓が疲れてインスリンの分泌が減り、糖尿病を発症します。
ちなみに1型糖尿病は、【1.】が原因で急激に発病し、生活習慣との関係はあまりないタイプです。

インスリンの働きが不足するわけ
1.インスリンがほとんど分泌されない

膵臓のなかの、インスリンを分泌する細胞が、何らかの原因で破壊され、
インスリンがほとんど(あるいはまったく)分泌されなくなる

2.インスリンの量が足りない、分泌のタイミングが遅い

インスリンは分泌されていても、
量が足りなかったり、分泌されるタイミングが遅い

3.細胞のなかのインスリン受容体が機能しない

インスリンが糖を細胞に運搬しても、細胞にあるインスリン受容体が、機能しなかったり
数が不足していたりするため、糖が取りこまれない。
これをインスリン抵抗性という

症状がなくても進行している

糖尿病の典型的症状 糖尿病になっても、はじめはとくに症状が現われるわけではないので、
生活習慣を改めず、何年も放置してしまう人もいます。 右図は、典型的な糖尿病の症状となりますが、
こうした症状がでた時はすでに、早急な治療が必要な状態です。
このような症状が現われるのは、高血糖が続いているからで、
この後さらに、さまざまな合併症を引き起こすのが糖尿病なのです。
血液中に糖が増えると、血管壁が傷つけられます。
血管の傷害は、まず毛細血管から起こりやすく、
とくに腎臓、目の網膜、神経が起こりやすい場所です。
そのため、この3か所には糖尿病の合併症が現われやすく、
下記の3つを糖尿病の3大合併症といいます。
当然、太い血管も傷つけられています。
太い血管の傷害によって起こるのは、心筋梗塞や脳血管障害です。
ご存じのように、これらの疾患は、命に関わる危険をはらんでいます。
また、たとえ血糖値の基準値は「境界型」の範囲であっても、
糖尿病予備群とよばれ、合併症が起こる可能性は非常に高くなっています。
糖尿病は、静かに、そして確実に進行していく病気で、放置すれば必ず合併症が起こります。
しかしこれは、適切な治療をすぐに始めれば、防ぐことができるのです。
糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本ですが、
それでも血糖コントロールがうまくいかない人には、インスリンや内服薬の薬物療法も加えます。
昨年、この内服薬に新しい薬、インクレチン関連薬が登場しました。
従来の内服薬で心配されていた、低血糖や体重増加などの副作用が、この薬では起こりにくく、
日本人の体質に向いている薬ということで注目されています。

糖尿病の3大合併症
神経障害

比較的早い段階で起こる合併症です。
細い血管や神経が傷つけられることで、運動障害、知覚障害が起こります。
自律神経にも障害が起こり、さまざまな全身症状が現われます。
進行すると感覚が消失するため、足の傷やケガがあっても気がつかないこともあります。
これが重症になると、足に潰瘍や壊疽が起こり、
最悪の場合、足や指の切断が必要になります。

網膜症

目の網膜は、目に入ってきた像を映しだす重要な部分です。
ここには多くの毛細血管が張り巡らされていて、
高血糖によってこの血管が傷つけられると、血管が破れて出血したり、
硝子体のなかに出血が広がったり、網膜剥離をきたします。
その結果、視覚異常が起こり、失明することもあります。
成人の失明原因は、緑内障の次にこの糖尿病網膜症が多くなっています。

腎症

腎臓の働きの1つは、血液中の老廃物のろ過ですが、
これを担っているのは、糸球体とよばれる毛細血管のかたまりです。
高血糖は、この毛細血管を傷つけ、糸球体に障害を起こします。
そのため、腎臓のろ過機能が働かなくなり、尿毒症から腎不全へいたります。
3つのなかでは発症するのが最も遅い合併症ですが、進行すると透析療法が必要になります。

急増が止まらない糖尿病

現代は、糖尿病とその原因についても広く知られるようになったものの、患者数は増加の一途です。
2007年の調査では、糖尿病とその予備群の数は、なんと2210万人いるという結果になりました。 「糖尿病は遺伝の病気」と思っている人も多いかもしれませんが、
2型糖尿病は「なりやすい体質が遺伝する」のであって、「糖尿病が遺伝する」のではありません。
近年の増加傾向をみると、遺伝的要因だけではこれほど急増するとは考えにくく、
やはり糖尿病は、生活習慣から引き起こされるのです。
また、日本人はもともと、インスリンが欧米人に比べて分泌されにくい体質です。
欧米化した食生活や運動不足がこのまま改善されなければ、
今後もますます、糖尿病の患者さんが増えていくことが予想されます。
今年7月に、糖尿病の診断基準が改定され、より迅速に糖尿病が判定できるようになりました。
何より、定期健診を必ず受け、血糖値が高めといわれた段階で、生活習慣を改めることが賢明です。
糖尿病の疑いがあるという結果でも、再検査をおこたらず、自分の血糖値と常に向き合っていきましょう。

新しくなった診断基準

これまで、糖尿病と診断される基準は、おもに血糖値の数値でした。
この診断基準が改定され、第一段階の検査で
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の項目が新たに加わることになりました。
これによって、原則として2回行なわれていた検査が、
血糖値に加えHbA1cも糖尿病型であれば、1回の検査で判定できることになりました。 HbA1cとは、赤血球にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、血糖値に比例して産生されます。
これがヘモグロビン全体のなかでどれくらいの割合かを検査し、%で表わします。
この数値は、過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均がわかるため、
糖尿病治療において、血糖コントロールの成果を計る目安にもされています。
これまでの診断にも補助的に採り入れられていましたが、
今後は、血糖値と併行して測定されることになりました。
HbA1cは、
「空腹時、食後などのタイミングに影響されない」
「日々の変動が血糖値よりも少ない」 などの利点があります。
基準値は、6.1%以上が糖尿病型となります。
実はHbA1cの表記には、日本独自の測定法によるもの(JDL値)と、
欧米などで採用されている国際的な測定法によるもの(NGSP値)があります。
NGSP値の基準値は6.5%以上とされており、JDL値よりも0.4%高くなっています。
混乱を避けるため、日本では今のところ、従来のJDL値を基準にしていますが、
2011年中には国際標準値の表記に移行される予定です。

新しくなった診断基準