伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

こじらせない 見逃さない 身近な感染症  肺炎

「かぜをこじらせて肺炎になる」という話は、よく聞かれます。
それほど身近な病気である肺炎ですが、重症になると命にかかわることもあります。
とくに高齢者にとっては危険な肺炎。
予防と同時に、見逃さないための注意点を覚えておきましょう。

高齢者を襲う肺炎

かぜと肺炎の違い 肺炎は、かぜやインフルエンザから引き起こされることも多い病気ですが、
かぜは、鼻やのどといった上気道に炎症が起こっていて、
一方肺炎は、文字どおり肺に炎症が起こるものです。 この原因のほとんどは、肺に侵入した細菌やウイルスが、
肺を構成している「肺胞」で増殖することです。
本来、肺の中は無菌状態に保たれていますが、
これは、呼吸によって外から入ってきた微生物やほこりを、
上気道がとらえ、排除しているからです。
しかし、かぜをひいたりして上気道に炎症が起こると、
その機能が働かなくなり、病原微生物が肺に侵入しやすくなります。
かぜやインフルエンザから肺炎を引き起こすことが多いのは、このためです。
また、かぜなどで体調を崩すと、免疫力も低下します。
それも、病原微生物が増殖しやすい環境になってしまう原因です。
若い人が肺炎になっても、まず命を落とすことはないので意外かもしれませんが、
肺炎は、がん、心疾患、脳血管障害に次いで、死亡原因の第4位の疾患です。
実は、肺炎で亡くなった人の95%は、65歳以上の高齢者です。
肺炎の死亡率が高い理由は、
まず高齢者が肺炎にかかりやすいということと、重症になりやすいということがあります。
人は加齢に伴って、さまざまな病気を抱えてきます。
たとえそうでなくても、年齢を重ねれば、身体を守る免疫機能が低下していきます。
高齢者の場合、このような、もともとある病気やその治療のための投薬、
あるいは加齢による自然な免疫力の低下によって、
肺に入った病原微生物が繁殖し、炎症を起こしやすいのです。
また、心疾患や呼吸器疾患、糖尿病などの慢性疾患をもっていると、
肺炎になりやすいだけでなく、それらの病気が悪化し、致命的になるケースもあります。
さらに、高齢者の場合は「誤嚥」も多く、これによって起こる肺炎もあります。

誤嚥 「誤嚥」とは、飲食物や唾液が、
本来は口から食道へ送られるところで、
誤って気管のほうに入ってしまうことをいいます。
脳からの情報伝達や飲みこむ力の衰えによって起こるので、
高齢者に多くみられる現象です。 気管に異物が入ってしまった時は、
通常、むせたりせきこんだりして吐きだそうとしますが、
その力も弱いと、異物は肺の中に送られてしまいます。
すると、食べ物や口の中にあった微生物も同時に入ってしまうのです。
抵抗力が追いつかない場合は、
肺の中でそれらの微生物が繁殖し、炎症を起こします。
こうして起こった肺炎を、「誤嚥性肺炎」といいます。

肺炎の種類

肺炎を起こす細菌やウイルスなどの微生物には、さまざまな種類があります。
よくみられる病原微生物は、次のようなものです。

肺炎球菌

肺炎の半数近くが、この細菌が原因となっており、とくに高齢者に多い肺炎の原因です。
もともと、ヒトの鼻やのどに定着している菌で、普段は悪さをしない菌です。
感染力も、さほど強くはありません。
しかし体調を崩したりして、免疫力が低下すると増殖し、肺の奥にまで侵入して肺炎を起こします。
肺炎球菌が増殖力を増すと、重症の肺炎になることも多く、命にかかわる場合があります。
一般に、激しい症状がみられ、赤褐色のたんがでるようになるのも特徴です。

マイコプラズマ

細菌とウイルスの中間のような微生物です。
マイコプラズマ肺炎は、若い人や健康な人が、
普段の生活で感染する肺炎(「市中肺炎」という)で、多くみられます。
症状はインフルエンザに似ていますが、ゆっくり悪化します。
乾いたせきが長く続き、たんは少ないというのが特徴です。
感染力が強く、ほぼ4年に一度は大流行しますが、
ほとんどの患者さんは、若い人ということもあり、軽症で自然に回復します。

インフルエンザ菌

名前は似ていますが、インフルエンザウイルスではなく細菌で、
インフルエンザを起こすものではありません。
5歳未満の乳幼児の肺炎に多い原因菌で、典型的な肺炎の症状が現われます。
毒性の強い細菌で、肺炎だけでなく髄膜炎などの重い疾患を引き起こすこともあります。
しかし、ワクチンの普及によって減少しています。

このほか、黄色ブドウ球菌、インフルエンザウイルス、
クラミジア、真菌(カビ)などといった、さまざまな微生物が肺炎を起こします。
細菌とウイルスの混合のケースもあります。

肺炎の症状

肺炎の症状は、かぜやインフルエンザのような、熱・せきといったものですが、
かぜよりも症状が重く、熱は38℃以上の高熱であったり、
せきだけでなく息苦しさを伴うこともあります。
また、症状が長く続くのが一般的です。 ただし、困ったことに、高齢者の肺炎ではこのような症状が当てはまらないケースもあるのです。
せきが軽かったり、熱もさほどないという程度で、
本人も周囲も肺炎とは気づかず、重症化してしまうケースがあります。

食欲がなくなる
息苦しそうにしている
少し動いただけで息が切れる
だるそうにしている
意識がもうろうとしている

といったなかで、
1つか2つがみられるだけ、ということもあるので、
このような様子がみられたら、すぐに受診しましょう。

肺炎の治療

肺炎の診断には、脈拍など全身の状態の観察以外に、
胸部X線、血液検査、たんを採取して調べる検査(喀痰検査)などのほか、
聴診器で肺の音を聴くこともします。 治療の基本は、安静、保温、水分補給です。
原因となっている微生物が特定できれば、それに適した抗生物質が用いられます。
加えて、対症療法(症状の緩和)として、せき止め、解熱薬なども処方されます。
ウイルス性の肺炎の一部には、抗生物質は無効なので、症状を緩和する薬だけ処方される場合もあります。
外来治療も入院治療も、基本的な治療法は同じです。
どちらになるかは、重症度や、ほかの病気を抱えているかなどによって決められます。
通常は、数日から1週間ほどで完治します。

肺炎の予防

肺炎は、かぜやインフルエンザから起こることが多いので、まずはこれらの病気を防ぎましょう。
手洗い、うがい、流行期にはマスクをする、などの心がけが、肺炎の予防につながります。 また、誤嚥を防ぐために、寝たきりにならないようにすることや、食事をゆっくりとるなどの工夫もしましょう。
毎食後歯みがきをして、口の中を清潔にすることも、重要な予防法です。
さらに、普段から室内の湿度を保つように加湿器を使ったり、
バランスよく栄養をとって、疲れをためないようにしっかり休養する、といったことも大切です。
肺炎球菌ワクチンを接種しておくことも、肺炎の予防に効果的です。
すべての肺炎に感染しないわけではありませんが、
最も多くみられる肺炎の病原菌に対して、免疫力をつけることができます。
ただし、脾臓を摘出している方以外には保険が適用されません。(市町村によっては補助制度があります)
5000〜9000円が一般的な額(医療機関によって異なる)ですが、一度接種すると5年以上も効果が続きます。
体力がなくなっているお年寄りには、一度接種しておくことをおすすめします。
また、インフルエンザから引き起こされる肺炎は、
かぜから起こる肺炎よりも、重症になりやすいという特徴があります。
65歳以上の人がインフルエンザにかかると、4人に1人が肺炎になるともいわれますから、
インフルエンザワクチンは、流行期に備えて毎年接種しましょう。