伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

摂食障害 を知っていますか?

「やせたい」という願望や、さまざまなストレスを背景として、
若い女性を中心に増加している摂食障害。
心にも身体にも現われるつらい症状を、決して軽くみてはいけません。

若い女性を中心に増えている現代病、摂食障害とは?

摂食障害とは、食行動の異常に伴って、心と身体にさまざまな症状をひき起こす心身症の1種です。
食行動のパターンによって、 ●体重が増えることを恐れて「食べるのをがまんする」拒食症(神経性食欲不振症)
●やせたいのに「食べずにはいられない」過食症(神経性大食症)
の2つの分類があり、これらを総称して摂食障害といいます。
両方とも、きちんと食事を摂ることができないので、放置すると、心身に数多くの悪影響が現われてきます。
摂食障害はこれまで、10代後半から20代初めの女性を中心に発症していましたが、
最近では10代前半の児童、結婚・出産後の30〜40代の女性、また男性にも見受けられるようになり、
発症の年代・性別が広がりをみせています。
今年の3月に発表された厚生労働省の報告によれば、
女子中学生の100人に2人が、専門医の治療を必要とする摂食障害だと推計され、その低年齢化か浮きぼりとなりました。
その摂食障害が起こる原因の1つとして、「太りたくない、やせたい」という体重への極端なこだわりや、
「自分は太っている・醜い→自分には価値がない」という間違った思いこみなどの、心理的な背景が指摘されています。
その結果、太ることへの恐怖感をもち、
不必要で過剰なダイエットを行なったことがきっかけとなって、発症するケースが最も多くなっています。
また、ストレスも大きく影響すると考えられています。
摂食障害が多い思春期から青年期にかけては、
 ■成長に伴う身体の変化
 ■異性や友人との人間関係
 ■受験
 ■親からの自立
などが、精神的プレッシャーとしてのしかかってきます。
青年期以降にも
 ■就職
 ■結婚
 ■出産・子育て
 ■更年期
など、ストレスの原因となるものがさまざまにあります。
通常私たちは、周囲の援助を得ながらも自力で乗りこえていくものですが、
それがうまく解消できないと、心のバランスが崩れて極端なダイエットや、
やけ食いといった異常な食行動につながり、摂食障害の原因となるのです。
さらに、摂食障害の患者さんには、次に挙げたような性格面での共通点がみられます。
 ・まじめ
 ・完璧主義
 ・負けず嫌い
 ・自分に対する評価が極端に低い
 ・他人の言葉や態度に敏感に反応する
 ・考え方に柔軟性が乏しい
このような性格の人は、ストレスの影響をより強く受けやすく、
またストレスを回避したり解消したりするのが上手にできないタイプだといわれています。
こうした性格的な素因も、発症原因の1つだとされています。
摂食障害は、これらさまざまな誘因が複合的に組み合わさって発症する、心の病気です。
それでは、拒食症、過食症のそれぞれについて、詳しくみていきましょう。

際限なくやせようと無理をしてしまう拒食症

拒食症のサイン 拒食症は、食べる量を極端に少なくし、
周囲から見るとやせ過ぎの状態にもかかわらず、
それでも体重が増えることを恐れて、
食事の制限をエスカレートさせていく症状です。
ほとんどの場合、ダイエットを目的とした
食事制限がきっかけで始まります。
体重が減ることに達成感や優越感を覚えるため、
さらに拒食を続ける悪循環に陥ってしまうのが特徴です。 当然、見た目は極度にやせ細り、身体が低栄養状態となっていきます。
にもかからず、とても元気で活発に行動し、
患者さん本人には病気の意識がありません。
また時折、がまんしていた食欲が抑えきれずに、
たくさんの量の食べものを食べてしまうこともあります。
しかし、あとでそのことを後悔し、吐いたり、下剤を使用したりして、
再び拒食に戻るケースが多くなっています。
病状が進行すると、憂うつ、イライラ、不安などが一度に押しよせ、
カッとして家族に当たったり、自暴自棄になるなど、精神的に不安定な症状がみられるようになります。
自分がだめな人間に思えたり、生きていることをとてもつらく感じることで、
自殺願望をもつこともあり、患者さんの心はたいへんつらい状態となっていきます。
一方、拒食症による低栄養の状態が続くと、身体にも重大な影響を及ぼします。
具体的には、以下のような身体的症状が現われますが、
重症化した場合には、多臓器不全に陥り、死の危機に瀕することもありますので、充分な警戒が必要です。

無月経

低栄養により女性ホルモンのバランスが崩れ、月経が止まる。

低血糖

血糖値が低くなり過ぎ、身体のほてり、手足のふるえ、吐き気、動悸、意識障害などが起こる。

不整脈

心臓の筋肉の量が減少したり、拍動に異常が起こり、突然死の原因ともなる。

骨粗鬆症

骨を生成する女性ホルモンが低下するため、骨がもろくなり、骨折しやすくなる。

腎不全

カリウムや塩素の血中濃度が下がって、尿を作る尿細管が傷み、腎臓の機能が著しく低下してしまう。

次に述べる過食症とともに、
拒食症は、患者さん本人が自覚していなかったり、自覚していても隠したりすることがあります。
しかしながら、命にかかわるケースもあるため、
周囲の人が拒食症のサインに早く気づき、早期に治療を受けさせることが重要なのです。

無意識のうちに大食し、排出を繰り返す過食症

過食症のサイン 過食症も、ダイエットをきっかけとして始まることが多く、
自分の意志でコントロールすることができずに、
普通では考えられない量を食べてしまう病気です。
症状自体は、拒食症とまったく正反対ですが、
拒食症から過食症に移行するケースも多く、
セットで現われることが目立っています。 無意識に食べてしまう一方で、
太りたくないという思いも強いため、そんな自分に罪悪感をもち、
食べたあとで吐いたり、大量の下剤を使って排出してしまいます。
すると、それがまた自己嫌悪の思いにつながって、
「もっとやせないといけない」と考え、
また新たなストレスを抱えて過食を繰り返す、という
悪循環に陥ってしまうのです。
過食が続くと、気分が激しく落ちこみ、うつ病を併発したり、引きこもってしまう場合も多くみられます。
また、自傷行為や自殺を企てるといったケースや、
アルコール依存症につながることもあり、精神面にたいへん深刻な影響を及ぼします。
また身体面では、食べものの排出行動に伴って、次のような症状を招きます。

食道炎

繰り返し吐くことで、胃酸が食道の粘膜を傷つけ、炎症が起こる。

虫歯

同じく歯も、嘔吐によって胃酸にさらされることが多くなり、虫歯の原因となる。

過食症が単独で起こった場合には、体重の変化があまりなく、外見からは気づきにくいものです。
しかしながら、食行動の異常は顕著に現われますので、
周りの人が発見するポイントとして、覚えておくとよいでしょう。

拒食症も過食症も、患者さん本人には病気の自覚がありません。
ご家族を含めた周囲の方が摂食障害のサインに気づいたら、粘りづよく説得し、
いっしょに病医院を受診して、摂食障害が疑われる状態であることを医師に伝えてください。 まずは、内科、小児科、婦人科などを受診し、
症状に応じて心療内科、精神科といった専門医を紹介してもらうとよいでしょう。
摂食障害の治療は、
 1.身体の状態を改善する治療
 2.自分が病気であることを自覚するための治療
 3.考え方を改め、自分をコントロールできるようにする治療
の3本柱で行なわれます。
また回復には、ご家族、医師を含めて、周囲の人の支えが不可欠です。
患者さんが抱く悩みや葛藤によく耳を傾け、
「いっしょに治していこう」という姿勢で、見守ってあげてください。