伊豆に暮らす

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進行を防げ C型肝炎

肝臓病というと、お酒との関係が深いと考えるかもしれませんが、
患者さんの数が最も多いのは、ウイルスに感染して起こる肝炎です。
なかでもC型肝炎は、ウイルスをもっている人(キャリア)が150〜200万人と推計され、
肝硬変や肝臓がんにも進展しやすい、たいへん危険な病気です。
そこで今回は、C型肝炎の基礎知識を特集します。

ゆっくりと「最悪のルート」をたどるC型肝炎

C型肝炎は、おもに血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)に感染し、肝臓に炎症が起こる病気です。
といっても、ウイルスが肝臓の細胞を傷つけるわけではありません。
ウイルスが細胞内で増殖し始めると、
私たちの身体に備わっている免疫システム(ウイルスなどの外敵を攻撃して排除しようとする働き)が、
これを異物として認識し、ウイルスを攻撃します。
しかしその際に、健康な肝細胞自体も攻撃を受けて破壊されるため、肝臓に炎症が起こってしまうのです。
これがC型急性肝炎です。 ところが肝臓は、「沈黙の臓器」といわれるほど自覚症状の現われにくい臓器で、
C型肝炎の場合はとくに症状が乏しく、またまったく現われない人もいます。
そのため、病気を見過ごしてしまうことが多く、
急性肝炎の約70%の人が、慢性肝炎へと進行していきます。
こうなると自然に治ることはなく、ウイルスの棲みついた肝臓は、
長い時間をかけて肝細胞の破壊と再生を繰り返し、少しずつ線維化して硬くなっていきます。
これが肝硬変です。
C型慢性肝炎になった人の約半数が、肝硬変へ進むといわれています。
さらに、肝硬変が進むと、肝不全などのさまざまな合併症が起こってきます。
最も怖いのが肝臓がんで、肝硬変の患者さんの60〜70%が、がんへと進行していきます。
事実、肝臓がんの死亡者の約80%は、C型肝炎を原因として発がんしたケースなのです。

C型肝炎の発症と経過

このようにC型肝炎は、ゆっくりと長い時間をかけて、
慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんと、一定のルートをたどって進行していくのが特徴です。 しかもその間は、はっきりとした自覚症状が乏しく、
いざ気づいた時には、病気がかなり進行していることも少なくありません。
また日本では、C型肝炎ウイルスのキャリアでありながら、
感染に気づいていない人が、100万人以上いるともいわれています。
もちろん、感染したからといって、必ず肝炎を発症するわけではありません。
しかしながら、感染に早く気づくことができれば、
必要な治療を行ない、病状の進行を確実に抑えることができます。
C型肝炎の対策は、まず自分が感染しているかどうかを知ることから始まるのです。

40歳を過ぎたら要注意 1度は検査を受けよう

現在感染している人の多くは、かつて医療現場で適切な感染症予防策がとられていなかった時代に、
「輸血や血液製剤の投与」、あるいは「予防接種の注射針の使い回し」などが原因で、血液感染したケースです。
しかし現在では、輸血血液のスクリーニングや、使い捨て注射器の普及などによって、
こうした経路で新たに感染することは、ほとんどなくなっています。
今後は、入れ墨やピアスの穴開けに用いられる道具、
覚醒剤の回し打ちに使われる注射器、などからの感染が懸念されています。
ちなみに、くしゃみやせき、食器やコップの共用などで、
空気感染や口腔感染することはないので、日常生活であまり神経質になる必要はありません。 ともあれC型肝炎は、いつどこで感染したか不明な場合が多く、
さらには症状がはっきり現われないという特徴もあることから、
厚生労働省では、とくに下記に該当する人に対して、肝炎ウイルス検査を受けるように勧めています。

また該当しない場合でも、40歳を過ぎた方で、
まだ1度も検査をしたことのない人は、積極的に検査を受けるようにしてください。
最近は、定期的な特定健診と併せて実施する場合もありますが、
お住まいの地域の保健所や医療機関などでも受けることができます。
具体的な実施機関や費用などは、地域によって異なりますので、詳細については各自治体に問い合わせをしてください。
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査によってわかります。
具体的な検査内容は、次のような流れで行なわれていきます。

1.HCV(C型肝炎ウイルス)抗体検査

HCVに感染すると、身体の免疫システムの働きで、血液中にHCV抗体がつくられます。
したがって、この抗体の有無を調べ、
「陽性」ならば「感染の可能性がある」、
「陰性」であれば「感染していない」、と判断することができるのです。
ただし陽性であっても、抗体の量が少ない場合には、
過去に感染したものの自然に治癒した可能性があります。
逆に抗体量が多ければ、現在も感染が続いているという判断になります。
一方、抗体の量が中程度の場合は、この検査だけでは判定不能のため、次の検査を行ないます。

2.HCV-RNA(C型肝炎ウイルス遺伝子)検査

ウイルスそのものの有無を測定する検査です。
ここでまた陽性となれば、現在もウイルスに感染していることが確定します。
また、体内のウイルス量や、ウイルスの遺伝子の型などが調べられるので、
検査結果は今後の治療に役立てられます。

3.肝機能検査

血液中のAST(GOT)やALT(GPT)の数値を測定します。
これらは肝臓に含まれる酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に流れだし、数値が高くなります。
さらにこれらが異常値であれば、C型慢性肝炎と診断され、治療が必要な状態だとわかるのです。

治療技術の進歩によって、C型肝炎は克服できる

もし仮に、C型慢性肝炎を発症していたとしても、悲観的になる必要はありません。
肝炎に対する治療法は飛躍的に進んでおり、早期に適切な治療を行なえば、
肝硬変や肝臓がんへの悪化を防ぐことは、充分に可能なのです。 C型肝炎の治療は、注射薬のインターフェロンを使った療法が中心となります。
インターフェロンは、もともと私たちの身体のなかでつくられるたんぱく質で、
侵入してきたウイルスの増殖を抑える働きをします。
それを人工的につくり、一定期間注射によって補充することで、
ウイルスの排除を目的とする治療法なのです。
また近年は、改良型のインターフェロンで、
効果の持続性に優れたペグインターフェロンが使われるようになり、
抗ウイルス薬リバビリンとの併用で、治療効果を格段に向上させることができるようになりました。
また、肝臓の状態、ウイルスの型や量など、
個々の患者さんに応じた治療法(オーダーメイド医療)も可能となり、治療法の選択肢が広がっています。
もちろんいずれの治療法も、早く開始するほど根治する可能性が高まります。
そのためにも、積極的に検査を受けて早期発見に努めることが重要なのは、いうまでもありません。
なお、C型肝炎のインターフェロン治療には、医療費の助成制度があります。
治療費の自己負担の上限を、原則月額1万円と定め、それを超えた分は国と自治体が負担します。
助成期間は1年〜1年6か月で、さらに医師が医学的効果を認めた場合は、2回目の制度利用も可能になっています。
詳しい制度の内容については、かかりつけ医か専門医に相談してください。