伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

前向きに治しましょう 女性の尿もれ

人には相談しにくい尿のトラブル…。
でも、そんな悩みを抱えているのは、あなただけではありません。
多くの女性が経験している尿もれは、治療によって改善することができます。
恥ずかしいからとか、年のせいだとあきらめずに、積極的に治療に取り組んでいきましょう。

尿もれは、女性ならあって当たり前の症状です

皆さんは、くしゃみをした拍子にとか、冷たい水にふれた瞬間などに、尿がもれてしまった経験はありませんか?
このように、排尿の意思がないのにもかかわらず、
トイレ以外の場所で尿がでてしまうことを、尿もれ(尿失禁)といいます。 尿もれに悩む女性はたいへん多く、成人の3人に1人、
さらに40歳以上では、44%もの女性が経験しているといわれています。
ところが、病医院で治療を受けている人は、そのうちの1割程度と、非常に少ないのが現状です。
尿もれそれ自体が、命に関わることはありません。
しかし、「いつ、もれるかもしれない」という心配を抱えていると、
外出するのがおっくうになったり、仕事にも支障をきたすなどして、生活面でのさまざまな不便が起こってきます。
現在では、女性のQOL(生活の質)を下げる重大なトラブルとして認知されており、
婦人泌尿器科など、女性の尿もれを扱う専門外来も増えてきています。
恥ずかしがったり、あきらめたりせずに、
だれにでも起こりうることだと理解して、早めに対処するようにしてください。
さて、女性に多い尿もれをタイプ別にみると、
おなかに力が加わった時に尿がもれる腹圧性尿失禁が約50%、
急に強い尿意が起こってもれる切迫性尿失禁が約20%、
両方を併せもつ混合性尿失禁が約30%と、腹圧性尿失禁が多数を占めています。
これは、尿道が短くて動きやすいという女性の身体構造や、
妊娠・出産という女性特有の条件が関与しているため、もともと腹圧性尿失禁が起こりやすいからなのです。
尿もれは、これらのタイプによって、治療法や対処法が異なってきます。
まずは下の自己チェック表を使って、どんな時に尿がもれるかを判断し、ご自分のタイプを確認してみましょう。

尿もれチェック表

どんな時に尿もれをしますか?

1〜5に当てはまるものがあれば「腹圧性尿失禁」が疑われます。

6〜9に当てはまるものがあれば「切迫性尿失禁」が疑われます。

1〜5と6〜9の両方に当てはまるものがあれば「混合性尿失禁」が疑われます。

腹圧性尿失禁は、体操を続けて改善しましょう

女性の骨盤のなかには、膀胱や尿道、子宮、直腸など、さまざまな臓器があります。
そしてこれらの臓器は、骨盤の底にある筋肉などの集まり=骨盤底によって、
ハンモックのように下から支えられています。
この骨盤底の働きのお陰で、おなかに力を入れても、
膀胱の出口や尿道がしっかりと閉じられ、尿がもれないようになっているのです。 ところが、さまざまな原因によって、骨盤底がゆるんだり傷ついたりすると、
膀胱や尿道の位置がずれたり、グラグラして不安定になります。
すると、腹圧がかかった時に、膀胱や尿道が上から圧迫され、その力に耐えきれずに尿がもれてしまうのです。
これが、腹圧性尿失禁の起こる仕組みです。
骨盤底がゆるむおもな原因としては、
 妊娠・出産
 加齢
 肥満
 便秘
 ぜんそくなどの強い「せきこみ」
 矯正下着 などが挙げられ、患者さんは高齢者とは限りません。
また妊娠・出産に伴う尿もれの多くは、通常1年以内に改善しますが、
1度損傷を受けた骨盤底は、年齢とともにゆるみやすくなる傾向があるといわれています。
このように腹圧性尿失禁は、女性にとってはむしろ身近な症状で、必要以上に心配することはありません。
例えば、くしゃみの時にわずかに尿がもれる程度で、
さほど困っていないような軽症の場合には、まず骨盤底の筋肉を鍛える体操を行なってみましょう。
ただし体操の効果は、毎日こつこつと、3か月くらい続けなければ現われてきません。
尿もれの程度にもよりますが、この体操だけで、約70%の人に症状の改善がみられたとされており、
とくに産後の尿もれには、効果を発揮します。
骨盤底筋体操は、切迫性や混合性の尿失禁においても、治療や予防の基本となるものです。
方法を覚えて、現在は尿もれがない女性にも、ぜひ行なってほしい体操です。
一方、頻繁に尿がもれて、「仕事に差し支える」、「趣味が楽しめない」など、
生活に支障をきたしている場合には、積極的に治療を受けたほうがよいでしょう。
もれる量や回数だけではなく、ご自身の生活への影響を目安として判断し、泌尿器科や婦人科を受診してください。
腹圧性尿失禁に使われる薬は、β2(ベータツー)刺激薬といい、
膀胱をリラックスさせ、尿道のしまりをよくして、尿もれの軽減に役立ちます。
ただし根本的に治す薬ではないため、もっぱら骨盤底筋体操の効果が現われるまでの間に用いられます。
また、体操では症状の改善がみられず、尿もれの回数やもれる量が多い場合には、
患者さんの希望に基づいて、手術を行なう方法もあります。
現在主流となっているのはTVT手術といい、
下腹部を小さく切開して、尿道の下にメッシュ状のテープを通す方法です。
尿道がテープで支えられ、開くのを抑えられるので、おなかに圧力がかかっても尿がもれなくなります。
入院期間は3日程度で、傷あともほとんど残りません。
手術を受けた人の大部分が、満足感を得ているといわれます。

骨盤底筋体操

ステップ1

1.身体をリラックスさせて、ゆっくり深呼吸をする。
 おなかには力を入れずに、肛門、膣、尿道に力を入れ、持ちあげる感じで止める。
2.そのままの状態を5秒間ほど保つ。
3.ゆっくり力を抜いて、しばらく楽にする。
4.(1)〜(3)を10回繰り返す。

ステップ2

1.ステップ1と同様に、おなかには力を入れず、
 肛門、膣、尿道をギユッとしめるようにして止め、すぐに力をゆるめる。
2.これを5回繰り返す。

ステップ1、2を1セットとし、1日5セット行なう。
骨盤底筋体操は、さまざまな姿勢で行うことができるので、生活のなかで習慣にしよう。

骨盤底筋体操-1 仰向けに寝て、脚を肩幅に開き、ひざを軽く曲げて行う。

骨盤底筋体操-2 いすに座って、脚は肩幅ぐらいに開く。
背筋は伸ばして、顔を正面に向ける。

骨盤底筋体操-3 机や台に手をつき、手に全体重をかける。
背筋は伸ばして、顔を正面に向けて行なう。

骨盤底筋体操-4 床にひじとひざをついて、四つんばいになる。
あごは手にのせて行なう。

切迫性尿失禁対策は、排尿のコントロールです

切迫性尿失禁は、急に抑えきれないほど強い尿意が起こり、がまんしきれずに尿がもれてしまうタイプです。
例えば、
 トイレのドアに手をかけた時や、下着を下ろしている間
 帰宅して玄関の鍵を開けようとした時
 炊事や洗濯など水仕事をしている時など、
排尿に関連した動作や、冷たさなどの刺激がきっかけとなって起こるのが特徴です。 通常は、尿がある程度膀胱にたまると尿意が起こり、自分の意思で排尿のタイミングを調節することができます。
ところが、膀胱が過敏に働いて勝手に収縮してしまうと、
それほどたまっていないのに強い尿意を催して、排尿のコントロールができず、尿をもらしてしまうのです。
このような膀胱の異常を過活動膀胱といい、切迫性尿失禁は、その一症状として起こります。
患者さんは中高年の人が多く、たいていは頻尿を伴います。
また、尿もれの量も多いため、つねにトイレのことが心配で、悩みは深刻だといえるでしょう。
症状に心あたりがある方は、1人で悩まずに、早めの受診をお勧めします。
排尿日誌 治療に際しては、問診などで排尿の状況を調べますが、
その時にたいへん役立つのが排尿日誌です。
これは右図のように、排尿した時間や尿の量、
尿もれがあったかどうかなどを、
患者さん自身が記録するものです。
その記録を元に、ご自分の尿もれパターンを把握したり、
また水分の摂取量を調節する目安にもなるので、
できれば受診する2、3日前から記録しておくとよいでしょう。
そのうえで、過敏な状態をコントロールするための膀胱訓練を行ないます。
過活動膀胱の場合は、急な尿意が起こっても、実際には尿でいっぱいになっているわけではありません。
そのことをよく理解し、15分、20分と少しずつがまんする時間をのばして、
排尿の間隔を空けるようにします。
最終的には2時間を目標に、焦らず訓練していきましょう。
併せて骨盤底筋体操を行なえば、さらに効果が期待できます。
訓練や体操の効果がでるまでや、あまり改善がみられない時は、抗コリン薬が処方されます。
これは、膀胱の収縮を妨げる薬で、過活動膀胱を起こしにくくする作用があります。