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きちんと検査を 大腸の病気

便秘や下痢、それに伴う腹痛といった症状は日常的によくみられますが、
どのような場合に医療機関を受診したら良いか迷われる方も多いのではないでしょうか。
今回は様々な大腸の病気についてみていきましょう。

神経細胞や免疫系は腸管に集中している

大腸 私たち人間の腸管は全長約7m、内面には襞があり、
広げるとテニスコート一面分の面積になります。
そしてそこには消化吸収のための細胞だけでなく、神経細胞や、
免疫系全体の60%以上のリンパ球や抗体が腸管に集中しています。
そのため腸管の免疫が弱まると様々な病気を引き起こしてしまいます。 便秘、下痢、腹痛などの症状の多くは、
一時的なものであれば特に問題はありません。
しかし、症状がいつもより強い場合、激しい腹痛血便がある場合などには、
虚血性腸炎など、大腸に何らかの病気が起こっている可能性があります。
その一方で、大腸憩室症や、大腸ポリープなど、
大腸の病気のなかにはあまり症状が現れないものもありますので注意しましょう。

虚血性腸炎

虚血性腸炎とは、大腸へ酸素や栄養を運ぶ血液の不足によって、
大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。
動脈硬化がある人や、慢性の便秘がある高齢者などに多くみられます。
突然の強い腹痛で発症し、血便や血性の下痢などが起こることもあります。

治療

通常は入院して絶食し、点滴で水分と栄養を補給します。
腹痛には鎮痛薬などで対処します。
潰瘍が治る過程で大腸に強い狭窄が起こった場合には
内視鏡を用いて狭窄部分を広げます。
まれに腸の組織が壊死を起こすことがありますが、
その場合には緊急手術が行われます。

大腸憩室症

憩室とは、大腸の壁の弱い部分が押し出されてできた直径数ミリ程度のくぼみで、
これが多数ある状態が大腸憩室症です。
憩室がある人は高齢になるほど増え、70歳代では約半数の人に憩室があるといわれます。
憩室があっても特に症状は現れませんが、
憩室に出血が起こると、腹痛や下痢を伴わない血便がみられます。
また、憩室に炎症が起こると、下腹部に強い痛みが現れることがあります。

治療

入院して絶食し、点滴で栄養や水分を補給して大腸を安静に保ちます。
出血が続く場合には、内視鏡を用いて出血部分をクリップで閉じます。
それでも止血できない場合は手術が行われます。
炎症には抗菌薬で対処しますが、
憩室に孔が開いて激しい炎症が起こった場合などは、手術の対象になります。

自覚症状はほとんどないからこそ検診を

潰瘍性大腸炎とクローン病

腸に炎症が起こり、下痢や腹痛などの症状を繰り返す病気に
潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
特に20代から30代に多くみられます。
原因ははっきりわかってはいませんが、
免疫に異常が生じ、自分の腸の粘膜を異物と認識して
攻撃してしまうために起こる炎症と考えられています。
これらの病気は、症状が現れる活動期と、
症状が落ち着いている寛解期を長期にわたって繰り返します。
発症すると10年、20年と長くつき合うことになります。
完全に治すことは難しいため、
治療は活動期をなるべく早く寛解期に移行させ、
寛解期を長く維持することを目標に行われます。

治療

まずは薬で症状を和らげます。
効果が得られない場合は、炎症にかかわる白血球の成分を
血液から取り除く血球成分除去療法が行われることもあります。
内科的治療で改善しない場合や、出血が止まらない、大腸の壁が破れた、
がんが発生したなどの場合には手術が検討されます。
どちらも長期にわたる病気です。
炎症が長く続くと、
特に潰瘍性大腸炎ではがんが生じるリスクが高くなります。
そのため、定期的に大腸の内視鏡検査を受けることが大切です。

大腸ポリープ

大腸の粘膜が盛り上がってできるのが大腸ポリープで、
年齢が高くなるほどできやすくなり、その数も増加します。
ポリープは粘膜が隆起している形態を表す言葉で、
組織が良性か悪性かは関係がありません。
症状がなければ、良性のものはすぐ治療をする必要はありませんが、
悪性化してがんになるということもあり得ます。
がん化するかどうかは、内視鏡検査でポリープの細胞を採取してみないと分かりません。
再発する可能性も高く、手術でポリープを全部とっても、
7割ぐらいの人には、何年後かに再びポリープが見つかります。
また家族歴があるとリスクが高いので、早めに検査を受けましょう。
初期の段階では自覚症状がほとんどないため、
40歳以上の人を対象に毎年実施されている
大腸がん検診で便潜血検査を受けることが大切です。

大腸がんは死亡者数は増加傾向だが、早期発見で治る可能性が高い

大腸がん

現在、大腸がん検診の受診率は2割程度にとどまっていますが、
症状の有無に関係なく、定期的に検診を受けましょう。
大腸がんは、直腸やS状結腸にできた場合は、
便が出にくい、細くなる、血便が出る、
肛門に違和感がある、便秘と下痢を繰り返すなどの症状が起こります。
上行結腸や横行結腸にできた場合は、腹部のしこりや、貧血などが生じます。

検査

大腸ポリープ、大腸がんの検査は主に次の2種類の検査が用いられます。

便潜血検査

便に血液が混じっているかどうかを調べます。
便潜血検査を受けた人のうち、陽性になるのは約3〜5%です。
ポリープがある程度の大きさになると、便が接触して表面がこすられて、
少しずつ出血することがあります。
しかし出血といっても目で見てもほとんど分からないような出血ですので、
この検査により出血があるかどうかを調べます。
ただし大腸がんだけでなく、痔などの病気でも陽性になることがあります。
陽性の場合、内視鏡検査で大腸を詳しく調べる必要があります。

内視鏡検査

CCDカメラ付きの内視鏡を肛門から大腸の一番奥の盲腸まで入れ、
大腸内部の様子をモニターで観察します。検査時間は約20〜30分です。
異常があった場合は、その場で組織を検査に出したり、
小さなポリープはその場で切除することも出来ます。
内視鏡検査を受けた人の約4%に大腸がんが見つかりますが、
そのうちの約68%は0期と1期の早い段階のものです。
しかし、便潜血検査が陽性の人の約45%は内視鏡検査を受けておらず、
がんを早期発見する機会を逃している可能性があります。
現在、内視鏡検査に伴う苦痛はかなり軽減されました。
便潜血検査が陽性の場合は、必ず内視鏡検査を受けましょう。
ただし、心臓や脳循環の血栓予防、不整脈の治療で抗凝固薬、
抗血小板薬を飲んでいる方、また重度の心臓病や腹膜炎、
腸閉塞を起こしている人などは
検査を受けられないこともあるので、主治医と相談して下さい。

治療
内視鏡治療

治療としては、がんを切除するのが基本です。
がんの直径が2センチ程度までであれば、内視鏡を用いて切除することが多いようです。
内視鏡治療は開腹しないため、患者さんの体への負担が軽く、
また大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、
内視鏡治療で痛みを感じることはありません。
リスクとしては出血が起きたり、大腸の壁に孔が開くことがあげられます。

手術

内視鏡によって切除できない場合に行われます。
肛門を温存する手術など、患者さんの体にかかる負担が軽い方法が検討されます。

腹腔鏡手術

お腹に小さな孔を数ケ所開け、腹腔鏡と手術器具を挿入して行う手術です。
最近はある程度進行した結腸がんや、直腸がんでも行われる場合があります。
手術後の痛みは軽く、回復も早いために入院期間は短くなりますが、
手術時間は開腹手術よりも長くかかります。
ほかにも化学療法や放射線治療など、治療の選択肢は増えていますが、
早期発見、早期治療が最も大切です。定期的に検診を受けましょう。