伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

命にかかわる合併症を誘発する 糖尿病

ランゲルハンス島 糖尿病やその合併症は、初期にはほとんど自覚症状がありません。
怖ろしい合併症を予防あるいはその進行を抑制するには、
糖尿病を早期に治療して、血糖値を正常に保つことが重要です。

食物中の炭水化物は、消化酵素の働きで
ブドウ糖に分解されて小腸で吸収されます。
これが血液に乗って全身の細胞に運ばれ、
エネルギーとして活用されるのです。
食事をすると血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がりますが、
その値が一定値を超えないように
調節する働きを担うインスリンというホルモンが、
膵臓のランゲルハンス島(膵島とも)という組織から分泌されます。
このインスリンが足りなくなったり充分に作用しなくなることで、
血糖値が慢性的に高くなってしまうのが糖尿病です。

急増している糖尿病

厚生労働省の調査で「糖尿病が強く疑われる人」は1997年に690万人、
「糖尿病の可能性を否定できない人」は680万人でしたが、
10年後の2007年にはそれぞれ890万人と1320万人に急増しています。 その理由として、日本人はインスリンの分泌量が欧米人の半分ほどしかなく、
糖尿病を起こしやすい体質であることが報告されています。
そこに拍車をかけだのが、戦後の日本の急速な欧米化に伴う食習慣の変化でしょう。
昔から穀類や野菜・魚を主に食べてきた日本人は、少量のインスリンで充分に糖を活用することが出来ました。
しかし、食生活にも欧米化か進んだことで、インスリンの分泌を抑制する動物性脂肪を摂取する機会が増えました。
それが日本人の糖尿病増加の一因と考えられています。
ほかにも食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが大きな環境要因となっています。

2つのタイプ

糖尿病には、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されてその分泌量が不足する「1型糖尿病」と、
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣に関係して
インスリンの分泌が少なくなったり働きが悪くなって起こる「2型糖尿病」とがあります。 1型は主に子どものうちに、2型は中高年になって発症することが多く、日本ではこの2型が95%以上を占めています。
ほかにも遺伝子の界常、肝臓や膵臓の病気、薬剤の作用などによって起こる場合もあります。
同じ2型でも、インスリンの分泌が血糖値の上昇に瞬時に反応できなくなるインスリン分泌不全と、
分泌はされているのにさまざまな原因でその作用が障害されたインスリン抵抗性とがあり、
どちらが強くかかわっているかは個々の症例によって全く違っています。

恐ろしい三大合併症と動脈硬化

インスリンが不足あるいは充分に作用しないと、筋肉や内臓にエネルギーが運ばれなくなってしまいます。
そして高血糖状態が続くと血液中に活性酸素の発生が促されて酸化反応が亢進され、血管の内膜を傷つけます。
そこにコレステロールなどが蓄積することで、全身の臓器にさまざまな合併症が起こりやすくなるのです。 なかでも細い血管が障害されて起こる、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症は三大合併症と呼ばれています。
また、太い血管では動脈硬化が促進されて、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などが起こりやすくなります。
糖尿病がある人は健康な人の2〜3倍、狭心症や心筋梗塞を起こしやすいことがわかっています。

3大合併症

糖尿病神経障害

手足のしびれ、けがや火傷の痛みに気がつかないといった末梢神経障害や、
筋肉の萎縮、胃腸の不調、めまいや立ちくらみ、インポテンツなどの自律神経障害が現われます。

糖尿病網膜症

網膜の血流障害により、視力の低下、失明につながる場合もあります。

糖尿病腎症

腎臓の濾過機能が低下。
進行すると人工透析が必要になります。

検査法

採血をして血液の状態を調べます。

空腹時血糖値

10時間以上絶食して、血糖値が充分に下がっているかを調べます。

ブドウ糖負荷試験

ブドウ糖の溶液を飲んで、30分、1時間、2時間後の血糖値を測定します。
特に負荷後2時間値が参考にされます。 空腹時血糖値が110mg/dl未満でブドウ糖負荷後2時間値が140mg/dl未満なら「正常型」、
空腹時が126mg/dl以上または負荷後2時問値が200mg/dl以上では「糖尿病型」と判定されます。
この間の数値の場合は「境界型」といって、いわゆる糖尿病予備軍にあたります。
なお空腹時血糖値の100〜109mg/dlは「正常高値」として取り扱うようになりましたので、
100mg/dlを越えたら生活習慣の改善に取り組んで下さい。

HbA1c

血液中で酸素を運ぶヘモグロビンとブドウ糖が結合してできたHbA1c(ヘモグロビンA1c)の数値を測定します。
その値が6.5パーセント以上で「糖尿病」と診断されます。

糖尿病の可能性チェック

※該当する項目がある場合は、糖尿病にかかっている可能性があります。早めに検査を受けましょう。

治療法

早期のうちでしたら、食事療法と運動療法で改善が望めますが、進行している場合は薬物療法が必要になります。 食事療法や運動療法は、日々日常生活の中で行なうものです。
内容については専門担当医と相談して行なうとよいでしょう。
治療を始めるにあたって、糖尿病教育を目的とした糖尿病教育入院を実施している病院もあります。
1週間前後のプログラムで、糖尿病についての正しい知識をはじめ、糖尿病とのつきあい方、
自分でコントロール出来るバランスのとれた食習慣や、無理なく出来る自分に合った運動のメニューなどを学びます。
食事療法や運動療法を続けても効果があらわれないときには、薬物療法が必要になります。
薬物療法は、血糖値を下げるための血糖降下薬の服用や、
不足しているインスリンを補うためのインスリン療法が行なわれます。
インスリン療法は、インスリン製剤を自分で注射することになります。
その方法はとても簡単になりましたが、運動量や食事時間などとの関係で、
副作用として低血糖が現われて冷や汗や動悸、震えや空腹感などに襲われて意識を失なう可能性もあります。
注射するタイミングや低血糖へ対処については、担当医の指示を必ず守って下さい。
ふだんから低血糖に備えて飴やゼリーなどを持ち歩くとよいでしょう。
しかし薬物療法を始めても、食事療法や運動療法も継続することが大切です。
また、糖尿病でない人も食事に気をつけ、運動を取り入れることは健康につながります。
糖尿病は周囲の協力と「生涯にわたって自己管理する」という自覚が最も重要です。
かかりつけ医と相談しながら前向きに日常生活を改善していきましょう。