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流行を阻止しよう HIV エイズ

HIVに感染しても、エイズを発症するまでに平均10年近く無症状の期間があります。
そのためHIVキャリアであることを認識せずに、相手にHIVを感染させてしまう危険性があります。
実際のキャリアは報告されている数をかなり上廻ることは間違いないでしょう。
エイズの流行を阻止するには、HIV検査を受けることが第一歩です。

世界のHIV感染者およびエイズ患者数は、2009年現在で約3330万人と報告されています。
日本での2010年の新規感染者および患者の報告数は1544件で、
7年連続して1000件を超え、累計は19000人を超えました。 この増加傾向は都市圏だけでなく地方においても同様です。
また感染者の多くは男性ですが、女性の感染者も増えています。
HIVやエイズを予防するには、感染経路を正しく理解して、正しい予防法を常に怠らないことが重要です。

HIVとは?

HIVとは、Human Immunodeficiency Virusの略で、ヒト免疫不全ウイルスと呼ばれています。
このウイルスは、免疫を司るTリンパ球の中のCD4陽性細胞に侵入して、そこで増殖します。
CD4陽性細胞がHIVウイルスによって破壊され続けることで、免疫の働きが徐々に低下していきます。

エイズとは?

エイズとは、Acquired Immunodeficiency Syndrom(後天性免疫不全症候群)のことで、
HIVに感染することによって起こります。
HIV感染によって免疫力が落ちると、
本来なら自分の力でおさえることのできる病気(日和見感染症)などを発症するようになります。
そこで発症する疾患のうち、23の指標となる疾患が決められていて、これらを発症した時点でエイズと診断されます。
代表的なものにカンジダ症、ニューモシスティス肺炎、サイトメガロウイルス感染症をはじめとする感染症や、
カポジ肉腫などの腫瘍があります。

カンジダ症

口腔、消化管、生殖器などに常在しているカンジダ菌(真菌)の異常繁殖によって起きる炎症やただれで、
かゆみや痛みを伴います(真菌とは、かびの仲間の総称です)

ニューモシスティス肺炎

ニューモシスティス・ジロヴェチ(真菌)によって起きる肺炎で、
空咳にはじまり、呼吸困難、発熱、低酸素血症へと進展します。
早い時期から呼吸困難が強く、以前はカリニ肺炎と呼ばれていました。

サイトメガロウイルス感染症

日本人の大多数は母子間でサイトメガロウイルスに感染、潜伏した状態で体内にウイルスを保有しています。
免疫力が低下すると潜伏感染していたウイルスが再活性化して、
発熱、白血球や血小板の減少、肝炎、関節炎、大腸炎、網膜炎、間質性肺炎といった症状が現われます。

カポジ肉腫

ヘルペスウイルス科のウイルスによる肉腫。
エイズ患者が発症するカポジ肉腫は悪性化しやすく、
皮膚のほかに口の中、リンパ節や内臓にもでき、消化管にできた場合、下痢や出血を引き起こします。

感染経路と予防法

HIVは感染者の血液、精液、膣分泌液、母乳に多く含まれていますので、
それらの体液が粘膜や傷ついた皮膚に直接触れないようにすることが重要です。
唾液、涙、尿などでは他に感染させるだけのウイルス量は分泌されません。
感染は、粘膜(腸管、膣、口腔内など)や血管に達する皮膚の傷からであり、傷のない皮膚からは感染しません。
感染経路は、主に次の3つがあげられます。

性的感染

性交渉によって性器の粘膜や細かい傷から、精液や膣分泌液に含まれるHIVウイルスが侵入することで感染します。
膣や口腔の粘膜は重層ですが、腸管粘膜は単層のために傷つきやすく、
アナルセックスでは膣性交よりも感染リスクが高くなります。
さらに性感染症に感染していて性器に炎症や潰瘍がある場合は、感染する危険性がより高くなります。
オーラルセックスでも、口腔粘膜から感染する危険性があります。 HIVの一番多い感染経路である性行為では、必ずコンドームを正しく使用しましょう。
性器と口、肛門と口の直接の接触を防ぐためのデンタルダムなどの保護膜も市販されています。

血液感染

麻薬や覚醒剤などの廻し打ち、医療現場による針刺し事故などで、注射針等に付着した血液を介して感染します。
針刺し事故などの場合、
2時間以内に抗HIV薬の予防内服を行なうことで、感染の危険性を低下させることができます。 輸血に使われる血液は、日本では現在、安全性が確保されていますので、感染の危険性は極めて低くなっています。

母子感染

母親が感染している場合、胎内感染や出産時の産道感染、また、母乳による感染の例もあります。
薬物療法や帝王切開、母乳を与えないなどの対策をとることにより、
現在では母子感染率を0.5%未満にまで低下させることが可能となっています。

治療法

HIV感染後の段階に合わせて、増殖を抑制するさまざまな薬が開発されています。

逆転写酵素阻害薬

◆HIV増殖の初期段階に適用
増殖のための遺伝情報が、逆転写酵素によって複写(逆転写)されるのを抑制する薬。

インテグラーゼ阻害薬

◆増殖の中期に適用
HIVの遺伝情報がインテグラーゼ(酵素)によって
CD4陽性細胞のDNAに組み込まれるのを抑制する薬。

プロテアーゼ阻害薬

◆後期に適用
HIVの遺伝情報をもとに作られたたんぱく質が、
プロテアーゼ(酵素)によって新しいHIVの材料となるのを抑制する薬。

現在、日本では約20種類の抗HIV薬が認可されています。
その中から複数の薬を組み合わせて服用する
多剤併用療法が大きな効果を上げて、HIV治療の主流となっています。 現在の医療技術では、HIVを体内から完全に排除することはできません。
そのためHIVの増殖を抑制する薬の服用を一生続ける必要があり、
抗HIV薬の長期間服用によっては、肝障害、脂質異常症、心血管障害などの副作用が起こる場合があります。
薬の組み合わせは、HIVの増殖段階と
患者の生活スタイルを考慮することが重要ですので、医師と充分に話し合いましょう。

エイズの流行を阻止するために

現状では、エイズの発症によって初めてHIVに感染していたと分かる例が全体の3割を占めていますが、
エイズを発症してからの治療の効果は、発症前と比較して明らかに劣ります。 エイズ発症前の無症状期にHIV感染を知ることができれば、
定期的な医療機関での受診およびフォローアップ検査により、最適な時期に治療を始めることができます。
ただし、治療は生涯続けなければならないので、その負担は決して軽くはありません。
10数年前までは、エイズ発症後の平均余命は2年ほどでした。
しかし今では、HIVは早めに発見して治療を行なうことで、普通の生活ができる病気となっています。
エイズを発症しないうちに治療を始めるためにも、
知らないうちにキャリアとなって相手に感染させないためにも、
正しい予防を常に心がけ、進んでHIV抗体検査を受けましょう。