伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜健康暮らし応援隊〜絆

認知症

認知症とは脳の病気によって認知機能が低下し、生活に支障をきたす状態です。
認知症の原因の約8割は、
「アルツハイマー病」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」の3つが占めているとされていますが、
原因となる病気にはこのほかにも様々なものがあります。
認知症の原因となる病気により、症状や進行の仕方、治療法がそれぞれ異なるため、
適切に対処するためにはそれぞれの病気の特徴をよく知る必要があります。
そして症状の進行を遅らせて良い状態を長く維持していくためには、
早期診断を受け、治療薬を早い段階から使用していくことが大切です。

もの忘れとの違い

認知症という言葉は知っていても、実際もの忘れとの区別が分からない方もいらっしゃると思います。
認知症とは、脳の病気が直接的な原因となって「認知機能障害」が起こり、
「もの忘れ」などが現れ日常生活、社会生活が営めない状態のことです。 一般に人の脳は50代をピークに老化がはじまるといわれています。
ですので人の名前が出てこない、などのもの忘れは誰にでも起こりうることです。
これは多くの場合、年齢相応のもの忘れで問題はありません。
しかし、たびたびもの忘れをするようになり、
その回数や程度が進行していく場合は、認知症としてのもの忘れを疑う必要があります。
特に自分の行なった行動を忘れてしまったり、電話のかけ方を忘れてしまうなど、
行為の仕方を忘れてしまうような場合は注意が必要です。

認知症の症状
失語

声は出るが、物の名前が言えない運動性失語や、声が聞こえるのに意味が理解できない感覚性失語があります。
また、何を聞いても同じように返す保続が起きます。

失行

運動障害はなく、手足が動くがまとまった行為や動作が出来ない状態です。
あいさつが出来なかったり、身近な文房具の使い方を忘れてしまうといったことが挙げられます。

失認

感覚障害はないが、見たり、聞いたり触ったりしてもそれが何か分からない状態。
また古い記憶は残るが、新しい記憶が残らず、記憶が消えたことも分からないことが多いようです。
また、知っているはすの場所が分からず、家に帰れなくなるといったことも挙げられます。

実行機能の障害

計画を立てて実行することができない状態。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、認知症の原因となる病気のなかで最も多い、約6割を占めています。
発病や進行にはさまざまな原因が関与していると考えられており、
症状はもの忘れから始まり、それがゆっくりと進行して日常生活に支障を来していくようになります。 初期症状としては不安や不眠の症状が出て、
自己中心的で頑固になったり、衣服の乱れを気にしなくなる
といったことも挙げられます。
アルツハイマー病は、脳の記憶を司る海馬という部分の神経細胞の働きが低下して、
神経細胞がゆっくりと減っていき、海馬に萎縮が起こります。
そして、脳全体に萎縮が広がり、記憶障害以外の症状もでてくるようになるのです。
多くの場合、認知症における認知機能の低下は、突然起こるわけではなく、徐々に低下していきます。
このときのわずかに認知機能の低下がみられ、
物忘れがあるけれど、日常の生活に支障を来していないという段階を軽度認知障害といいます。
アルツハイマー病の患者さんの脳にはまず、アミロイドβたんぱくが界常にたまります。
その後、脳内にタウたんぱくの凝集が生じ、やがて脳の神経細胞が障害され、
そのために神経細胞同士で行なわれる情報伝達に不具合が生じます。
その結果、認知機能が低下し、アルツハイマー病が発病、進行していきます。
アルツハイマー病などによる認知症は、根本的に治す治療法は現在無く、進行していく病気です。
そのため認知症とはいえない状態の軽度認知障害の段階で早期に受診して診断を受け、
認知症に至る前から適切な治療を始めることが必要
だと考えられるようになってきています。
ただし症状を改善する治療法はあり、
薬を使ってもの忘れなどの症状を改善し、認知機能の低下を遅らせることは出来ます。
また、適切なケアなどによってBPSD(認知症の行動・心理症状)などの
いわゆる問題行動を起こりにくくしたり、
生活の質を出来るだけよい状態に保ったりすることが出来ます。
根本的な治療法が無い現在、ケアなどを行なうことが非常に重要です。
日本で承認されているアルツハイマー病の治療薬は、
コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬に大きく分けられます。
これまで主に用いられてきた薬はコリンエステラーゼ阻害薬のドネペジルです。
2011年には同じコリンエステラーゼ阻害薬のガランタミンとリバスチグミンのほか、
NMDA受容体拮抗薬のメマンチンがそれぞれ承認されました。
副作用として、コリンエステラーゼ阻害薬には吐き気や下痢などが、
NMDA受容体拮抗薬にはめまい、眠気、頭痛、便秘などが起こることがあります。
副作用を抑えるために、薬の使用は少量からはじめ、段階的に量を増やしていきます。
使用に当たっては、担当医や薬剤師から詳しい使用法の説明を受けて下さい。
自分で薬を管理することが難しい場合は、
身の回りにいる人や介護サービスなどを利用して薬を管理していきましょう。
病気の進行を遅らせるためには早期診断がとても大切で、
もの忘れが気になったら、まずもの忘れ外来を受診することが勧められます。

最近は画像検査の技術が非常に進歩し、
脳の萎縮や血流の状態などを画像化して調べることが出来、診断が受けられるようになりました。
また、脳と脊髄の周囲を満たす脳脊髄液を腰から採取し、
アミロイドβたんぱくやタウたんぱくの蓄積状態を調べる脳脊髄液検査も
アルツハイマー病の診断法の一つとして注目されています。
また、脳脊髄液中のタウたんぱくを調べる場合は、健康保険が適用されるようになる予定です。
そして根治を目的とした治療薬の研究も進んでいます。
アルツハイマー病を引き起こすアミロイドβたんぱくや、
タウたんぱくの脳内での異常蓄積を阻害する薬に関しては、多数の薬が開発段階にあり、
こうした薬をより初期の段階から使い、根治を目指す研究がなされています。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症では、認知機能と関係がある
大脳皮質などの神経細胞に、「レビー小体」が溜まることで、認知機能が低下すると考えられています。
レビー小体とは、aシヌクレインというたんぱく質を主成分とする物質です。 主な症状は、認知機能障害による、もの忘れや判断力・注意力の低下、
現在の場所や時間がわからなくなる見当識障害などがあります。
ただし、初期に現れる症状はもの忘れだけでなく、
うつ症状や睡眠時に悪夢をみて暴れるなどの症状から始まることもあります。
さらに1日のなかで、あるいは日によってぼんやりしているときと
しっかりしているときの差が出る認知機能の変動や幻視といった症状が現れます。
さまざまな症状が出やすいので、それに対応したケアやリハビリテーションも重要な治療です。

血管性認知症

血管性認知症は、脳の血管が詰まったり切れたりする脳卒中が、認知機能と関係する部分に生じることで起こります。
つまり、脳卒中がきっかけとなって認知機能が低下する病気です。
主な症状として認知機能障害が起き、無気力・無頓着になったり、
手足の麻痺、言語の障害など脳卒中に伴う症状が現れることもあります。 血管性認知症は脳卒中の再発が起こるたびに認知機能が段階的に低下していきます。
つまり、脳卒中が再発しなければ、さらなる認知機能の低下を抑えることが可能です。
そのため、脳卒中のリスクである生活習慣病を防ぐ生活を心がけたり、
再発防止のための薬をしっかり服用したりするなど、
脳卒中の再発を防ぐ対策を十分にとることが大切です。

認知症か気になったら…

認知症が疑われたときに正しい判断を受けるには、
認知症を専門に診療している「もの忘れ外来」などを受診することがすすめられます。
またもの忘れの影に悪性疾患が隠れている場合もあります。 診断の際は、問診をはじめ、全身の診察、認知機能検査、画像検査、
血液検査、脳脊髄液検査、必要に応じてMRIなどが行なわれます。
これらの検査結果から、認知症の原因となる病気の有無や種類が診断され、治療方針が立てられます。
受診の際は患者本人だけでなく、身近にいる人が付き添うと良いでしょう。