伊豆に暮らす

伊豆に暮らす 〜賢い土地選び〜

株式会社 玉木 一級建築士事務所
一級建築士 玉木久夫

よい広告の選び方

住宅を購入するときは、まず不動産広告を見ることから始まります。
新聞広告や住宅情報誌が一般的ですが、不動産会社や信託銀行の店頭広告を見ることもできます。
はやる気持ちを押えて広告は慎重に点検したいものです。

オトリ広告に注意

不動産広告の広告文の書き方については、
不当景品類および不当表示防止法に基づく公正競争規約により自主規制が行われています。
しかし、現実には不当な広告も多く見受けられます。
そのうち、特に悪質なものの一つがオトリ広告です。オトリ広告とは

1.売るつもりのない物件
2.売ることのできない物件
3.実際にありもしない物件

これらの物件をスーパーマーケットの目玉商品のように表示し、客をおびきよせることだけを目的とした広告です。
これは、広告につられてやってきた客に
「その物件はもう売れてしまいました。別のよいものをお見せします。」といって、
まともに広告したのでは客がつかないような物件を言葉巧みに売りつける手口です。
不動産に格安品や掘出物はありません。怪しい広告には手を出さないよう心がけましょう。

よい広告とは

それは正確で情報量の多い広告です。
広告を見ただけで
「直接現地に行くことができる広告」
「登記などを調べることができる広告」
などは良い広告といってよいでしょう。

広告のチェックリスト
業者の取引態様売主、買主、媒介、代理の別が表示されているか。
業者の免許証番号無免許業者とは取引しないこと。
物件の所在地分譲物件は地番まで表示されているか。分譲物件以外は丁目まで表示されているか。
交通等の利便最寄り駅から物件までの距離、所要時間(※徒歩・バスの別)
※徒歩所要時間は80mを1分として計算
価格最低価格、最高価格、平均的な価格帯(最多販売価格帯)
前面道路の状況公道か私道か、私道負担があるか。
権利通常は所有権。賃借権等のこともある。
地目通常は宅地。田、畑の場合は要注意。
ローン金融機関名、融資額、利率、貸付期間、提携か紹介か。
法令に基づく制限用途地域や建ぺい率など。市街化調整区域の場合は要注意。
許可番号物件に必要な宅地造成、建築確認などの許可番号。

中古住宅の広告などでは、チェックリストにあるような詳しいことはわかりません。
詳しく知りたい場合は電話でよく確かめてください。
ただし、業者にあなたの住所をむやみに教えないようにしましょう。
良心的な業者は、あなたに必要な情報と考える時間的ゆとりを与えてくれます。

よい業者の選び方

不動産取引に失敗しないためには、なんといっても信用のある業者と取引することです。
経歴はどうか、義務は果たしているか、悪いうわさはないかなど、
いろいろなことを調べて、それらの結果を総合して判断してください。

業者の免許

不動産取引業を営むためには免許が必要です。
免許には建設大臣免許(二つ以上の都道府県に事務所を置いて営業する場合)と
都道府県知事免許(一つの都道府県にのみ事務所を置いて営業する場合)があります。

業者名簿の閲覧

各都道府県の担当課で、その地域内に事務所のある業者の業者名簿と免許申請書の閲覧ができます。
それを見れば業者の経歴や資産状況、行政処分歴などが分かり、ある程度業者の信用判断ができます。

閲覧のポイント

1.免許証番号

宅地建物取引業者の免許は、建設大臣又は知事免許(○)第○○○○号と表示されています。
()内の数字が大きいことは、業者の営業年数の長さを示すことにはなりますが、
営業歴が長いからといって安心はできません。
その業者の営業のやり方、実績、資力などについて調べることが必要です。

2.過去の営業成績

免許を更新している業者であれば更新の免許申請前5年間の取引件数や額が売買、代理・媒介の別でわかります。

3.商号、代表者、役員、事務所の所在地

たびたび変更しているような業者は注意が必要です。

4.取引主任者、従業員

出入りが激しい業者は注意が必要です。
従業者名簿の従業者証明書番号の頭部4桁はその業者での勤務開始年月(西暦)を示します。

5.資産状況等

個人営業の場合は代表者の資産状況、法人の場合は資本金、財務内容などがわかります。

6.納税状況

経営状態のチェックポイントのひとつです。

7.行政処分歴

過去に業務停止などの処分を受けていないかどうか。(担当課の職員に聞いてください。)

8.業界団体への加入状況

これもひとつの目安になります。

悪い業者の手口

1.オトリ広告

うまい文句で客をつり、広告とは異なる悪い物件を言葉巧みに売りつける手口。

例:Aさんはチラシで気に入り、業者を訪れたところ
 「その物件は昨日売れてしまいました」といわれ、別の悪い物件を買わされた。

2.原野商法

「数年先には必ず値上がりする。」といってニ足三文の原野を時価の数十倍から数百倍で売りつける手口。

例:Bさんは訪問セールスマンに
 「今、○○の土地を買っておけば、4年くらいで2倍以上になり銀行へ預けるよりはるかに有利です」
 といわれ100坪を100万円で買った。ところが、後日調べてみると一坪がわずか3円だった。
 しかも開発計画もないへんぴな所で、売りたくても買い手がつかないありさま。

3.契約をせきたてる

例:Cさんは「これは堀り出し物だから、すぐ仮契約をして物件を押さえなさい。」といわれ手付金を払った。
 後になり、それよりもよいものが見つかり解約したところ、手付金を没収されてしまった。

業者の法律上の義務

1.事務所の整備

業者の標識、報酬の限度額などがきちんと掲示され、事務所として整備されていなければなりません。
そして事務所ごとに従業者名簿を備え、
取引の関係者から請求があったときは閲覧に供しなければならないことになっています。

2.正しい広告(よい広告の選び方参照
3.媒介契約書又は代理契約書の交付
4.重要事項の説明

契約する前に、取引主任者が取引主任者証を提示して、
物件及び取引に関する重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して説明しなければなりません。

5.書面の交付

取引が成立したら、業者は法律で定められた事項を記載した書面
(通常は契約書)を作成して交付しなければなりません。

6.取引主任者証、従業者証明書

従業者証明書取引主任者証 従業員は
業者の発行する従業者証明書を、
加えて取引主任者は
都道府県知事の発行する取引主任者証
を携帯することになっており、
取引の関係者から請求があった時は、
それらを提示しなければなりません。

7.業者の立場の明示

業者は、宅地・建物の売買、貸借等について広告をするとき、
および注文を受けたときは、自ら当事者となるのか媒介か代理か、
業者の立場を明確にすることが義務づけられています。

現地調査のポイント

1.自分で、通常の交通機関を使って行く

最寄り駅やバス停を確認しながら、自分の足で現地へ行きましょう。
業者の案内する車に乗ったのでは交通の便がわかりません。

2.現地には二度以上行く

周辺の状況は曜日や時間、天候によっても違います。
雨の降る日や休日以外の日にも現地に行きたいものです。

3.近所や地元の人にもいろいろ聞いてみる

夜間の交通、また建物の評判など、その土地に詳しい人に聞いておくのも賢明です。

4.たくさんの人といっしょに行く

家族や経験のある人などのアドバイスも役立ちますので、
現地にはできるだけたくさんの人といっしょに行くようにしたいものです。

5.あらかじめチェックリストを作っておく

下記リストを参考にしてチェックをしてみてください。

チェックしたい項目

・敷地や建物は?… 地形、地盤、隣地との境界、構造、間取りなど。
・交通は便利か?… 通勤・通学のルート、所要時間など。
・住環境は?… 日照、通風、交通騒音、振動、臭気、ばい煙、隣地の建設計画など。
・日常生活は?… 買物、病院、公共施設など。
・供給施設・排水施設は?… 電気、ガス、水道、下水道など。施設の所有関係も。

中古住宅は次の項目もチェックをしてみてください。

・建物の築年数は?
・雨もり、白アリ、地盤沈下などはないか
・増築・改築により違反建築になっていないか?
・他人の排水施設、占有物件はないか?
・建築基準法上、再建築は可能か?(接道義務などを満たしているか)
・付帯設備(照明器具・冷暖房器具など)や植木・庭石などはどうなるのか?
・引渡時期は?… 売主が居住中で新しい住宅を他に求めている場合は、その取引の完了時点と連動します。
・小火(ボヤ)などの事故のあった物件ではないか?

現地にもっていくもの

地図、広告、時計、巻尺、磁石など。

重要事項の説明書をもらおう

業者は買主に対して、契約する前までに取引する物件について、

一定の重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を宅地建物取引主任者から交付させ、
それを説明させなければならないことになっていますので、
必ず契約前にもらい、自分の確かめたいこと、疑問のことなど遠慮なく質問し、
その説明をよく理解したうえで、取引するか否かを決めましょう。
また個々の取引においてはその他にも重要なことがあるはずです。
重要事項説明書に書いてある以外のことで説明を受けたこともはっきり書面に書いてもらいましょう。
口頭の説明では、後で「説明した」「聞いていない]といった水かけ論になる恐れがあります。

内容は間違っていないか。

重要事項説明書に書いてあることと、今までにあなたが調べたことを比較してみましょう。
もし、まだ調べていなければ、さっそく重要事項説明書がまちがっていないかどうか調査しましょう。

申込・予約等をする案内所等には必ず取引主任者がいます。

自分で調査して疑問に思った点はこの取引主任者に確認しましょう。

説明を受ける際は必ず取引主任者を確認しましょう。

その他の交付書類

図面等をもらいましょう

1.土地の実測図をもらいましょう。

2.重要事項説明を受けるときに
 建物の形状・構造などを書いた図面があればいっしょにもらい内容を調べましょう。

3.戸建住宅の場合、引き渡しを受けるときに新築はもちろん
 中古についても工事竣工図があるかどうかを確認し、ある場合はもらいましょう。
 これは、建物の構造、給排水衛生設備、電気・ガス設備などを示した図面で、
 増改築や補修工事などをするときに役立つからです。

登記の調査

登記された権利関係(所有権、抵当権、地役権など)を
物件所在地を管轄する登記所(法務局)の登記簿で調査しましょう。
また、登記所で公図(土地の地図台帳)も閲覧できるので道路の状況、隣地との関係などを確認しましょう。
わからない場合は、司法書士に依頼するのもよいでしょう。

法令に基づく制限

A.市街化調整区域ではないか

市街化調整区域は市街化を押さえるために設けられた区域で、原則として一般の住宅を建てることができません。

B.用途地域はどうなっているか

用途地域によって建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、建物の高さなどの制限が異なります。

C.開発許可、宅地造成工事許可等が必要な土地であるかどうか

造成地を購入する場合、開発許可や宅地造成工事許可、
あるいは農地転用許可などの許可が必要な土地があります。

D.都市計画道路にあたっていないかどうか

敷地が計画道路内のところは、建築ができなかったり、
将来、建物を撤去しなければならなくなるおそれがあります。

E.敷地が建築基準法に規定する道路に適法に接しているか

都市計画区域内にあっては、道路があっても必ず家が建つとは限りません。
道路の幅や道路位置指定など、建築基準法の条件を満たしているかどうかをよく調べましょう。

道路と敷地の関係 建築物の敷地は、道路(幅4メートル以上)に
2メートル以上接しなければなりません。(建築基準法第43条)
この「道路」は、国道、県道、市町村道などの公道である場合のほかは、
建築基準法の規定にもとづいて「位置の指定」された道路であることが必要です。
(指定番号・指定年月日を確認しましょう)
地方公共団体の条例などによって
道路の幅員及び接道の長さにさらに制限を加えている場合があります。

路地状敷地(敷地延長) 敷地が路地状部分のみによって道路に接する場合には、
その路地状部分の長さや幅員に制限を加えている場合があります。
この路地部分の長さ(L)及び幅(W)についての制限は
地方公共団体によって異なります。

2項道路(みなし道路)-A 幅4メートル未満の既存道路で、
建築基準法が適用されるようになった時に、
現に建築物が建ち並んでいる道路で
特定行政庁が道路として指定したものは建築基準法上の道路とみなされ、
道路の中心線から2メートルのところに
道路境界線があるとみなされます。(建築基準法第42条第2項)

2項道路(みなし道路)-B また、当該道路がその中心線からの
水平距離が2メートル未満で川やがけ等に沿っている場合は、
川やがけ等の境界線から4メートルのところに道路境界線があるとみなされます。
(建築基準法第42条第2項ただし書き)
※この道路とみなされる部分はセットバック部分とも呼ばれ
建物の建ぺい率、容積率計算のうえで敷地面積に含まれません。

契約をするときの心がまえ

不動産の売買では、売主と買主が対等の立場で契約を締結します。
したがって、いったん、契約書を作成すると、それ以降その取引は契約書の記載内容に従って進められ、
将来、取引について紛争が生じたときも原則として契約書に基づいて解決されることになります。

契約書は非常に大切なものです

不動産は買うにせよ売るにせよ、契約書の内容を十分確認しておかなければなりません。
契約書をよく読んで意味のわからないこと、納得のいかないことが書いてあったら、
納得できるまで聞いたり調べたりしてから契約しましょう。

【農地転用の許可】

これまで農地として利用されてきた土地を
宅地などに転用する目的で取引する場合には都道府県知事の許可が必要です。
許可を受けずに取引すると土地の所有権移転等の効力は生じず
現状回復などの是正措置命令がなされるほか、刑罰が適用されることがあります。
許可を受けようとする者は、市町村の農業委員会を経由して
知事に農地転用許可申請書を提出しなければなりません。
なお、市街化区域内にある農地を転用し、権利を移動させるためには、
あらかじめ農業委員会に転用の目的等を記載した届出書を提出する必要があります。

契約時の留意点

悪い業者は、あなたに不利な契約内容であることを隠すためにいろいろな手口を使います。
特に次のようなことに気をつけて、くれぐれも失敗のないようにしてください。

ハンは必ず自分で押すこと

「ハンを貸してください」といわれて渡したところ、
自分の知らない書類をつくられ大損させられた例もあります。

仮契約書、買付証明書、売渡承諾書は作らないこと

「仮契約だから…」といわれて気軽にハンを押し、後で多額の違約金を要求されたという例もあります。

口約束はトラブルのもと

後で「言った」「言わない」の水かけ論になります。
大切な約束事は必ず書面にしましょう。

拇印や署名だけでも契約書は有効

「ハンを押さないのだから心配いりませんよ」といって、
業者が「拇印を押すように」とか「署名をするように」と求めてきたので気軽に応じてしまい、
後で違約金を請求された例もあります。

契約する時期は

造成工事や建築工事が完了していない宅地や建物の売買は、
宅地造成の許可や建築確認などがあった後でなければ契約してはならないことになっています。
この許可や確認などを受けているかどうかをよく確かめてから契約しましょう。

手付金等を支払うとき

売主が業者の場合で、手付金等の支払額が一定金額を超えるときは保全措置を講じてもらう

業者が倒産して物件の引渡しが受けられないなどの不測の事態が発生したときでも、
買主が支払った手付金等についてはその返還を受けることができるように、
物件の売主業者に一定金額以上の手付金等を支払う場合には、保全措置を講じてもらいましょう。
すなわち、売買代金の10%(造成工事や建築工事が未完成の場合は5%)
または1,000万円を超える手付金等(契約日以降、物件引渡し前迄に支払う手付金のほか中間金等を合む)を
支払う場合には、保証機関の発行した保証書を売主業者からもらってください。
保証書等の交付がないときは、手付金等の支払いを拒めます。

具体的な保全措置には、次の種類があります。
どの措置をとってもらえるのか業者から説明してもらい確認しましょう。

1.建設大臣の指定を受けた信用保証会社等が業者との保証委託契約に基づき保証するもの。

2.保険会社が業者との保証保険契約に基づき保証するもの。

3.業者と建設大臣が指定する指定保管機関との間で手付金等寄託契約を、
 また業者と買主との間で質権設定契約を結び、手付金を保全するもの。
(工事完了物件の売買に限る)

なお、手付金等の額が上記の一定金額以下の場合や
買主への所有権移転登記がされた場合は保全措置の対象になりません。

契約の履行

契約の履行というのは契約当事者が取り決めたことを現実に実行していくことをいいます。
次のような点に注意しましょう。

代金は、売主に直接支払い領収書をもらう。もし仲介業者に支払うときは代理受領権限の有無を確認する。

最終決済日には所有権移転登記申請書類が完備しているか、残工事や補修工事が残っていないか確認する。

所有権移転登記手続が完了したら、登記済証(いわゆる権利証)をもらい登記簿謄本で内容を確認する。